【秋田県】おすすめの東北六県秋祭り「秋田編」、歴史と伝統の秋田の秋祭り3選
目次
秋田のお祭りと言えば「秋田竿燈(かんとう)まつり」など、7月から8月にかけての夏祭りが多い印象ですが、魅力たっぷりな秋祭りも各地で開催されています。
この記事ではそれらの中から国の「重用無形民俗文化財」に指定されている3つの祭りをご紹介します。
「秋祭り」とはいつからいつまで?
暦では、二十四節気の「立秋」の8月7日から「立冬」の11月7日の前日までが秋で、それを東北にあてはめれば、8月上旬に各地で開催される夏祭りの終わりが秋の訪れということになります。
この記事では暦に従い8月7日からを「秋」として、それ以降に開催される祭りを「秋祭り」としてご紹介しています。
祭りの定義とは?
ウィキペディアに掲載されている「祭り」の定義は、「感謝や祈り、慰霊のために神仏および祖先をまつる行為(儀式)」です。
その一方で、伝統ある宗教的な祭礼とは違う「音楽祭」や「収穫祭」などがあり、これらの音楽や地元の味覚を楽しむイベントもまた、世間一般では広い意味で「祭り」とされています。
西馬音内盆踊り(羽後町:8月16日~18日)
羽後(うご)町の西馬音内(にしもない)地区に伝わる盆踊りで、哀調を帯びていながらも賑やかなお囃子と、しなやかで優美な踊りが幻想的な雰囲気です。
徳島の阿波踊りと岐阜の郡上おどりとともに日本三大盆踊りとされ、国の重要無形民俗文化財で2022年(令和4年)にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。
その起源には諸説ありますが、700年以上前に修行僧が始めた豊年祈願の踊りと、戦国時代に滅んだ小野寺一族を偲ぶ亡者踊りが合体して現在の盆踊りなったとする説が有力です。
踊り手の顔が見えない独特の衣装
踊り手の衣装は亡者の姿を表すとされ、頭巾や半月型の編み笠で顔を隠して踊ります。
美人が多いと噂の秋田おばこですが、このことでより妖しい美しさう感じるのかもしれません。
彦三頭巾と藍染の浴衣
未成年女性は彦三頭巾(ひこさずきん)と呼ばれる目穴が開いた長い黒い布を被り、豆絞りの手ぬぐいを鉢巻にして固定します。
赤い袖口が特徴的な藍染め浴衣の腰に「しごき」と呼ばれる赤や黄の布を巻きます。 なお、男性も藍染浴衣と彦三頭巾が基本ですが、編み笠を被る人もいます。
端縫い衣装と編み笠
成人女性もまた編み笠を深く被り顔が見えず、「端縫い(はぬい)」と呼ばれる絹の端切れをバランス良く縫い合わせた衣装で踊ります。
端縫いの袖口と裾には同じ柄の生地を使い左右対称に配置するのがルールで、家ごとに代々伝えられる端縫いもあって、それを着られるのは一人前と認められた証拠とされています。
西馬音内盆踊りのお囃子と踊り
お囃子は笛・大太鼓・小太鼓・三味線・鼓・鉦に、「地口」や「甚句」の歌い手で編成されます。
街の中心にある「盆踊り会館」2階が囃子場となり、その前の道路にかがり火が並べられ、開始を告げる「寄せ太鼓」で踊り手たちが集まると大きな輪となって、かがり火を囲みながら踊ります。
踊りは2種類、「日本のラップ」秋田音頭に似たコミカルな「地口(歌詞)」の「音頭」では、踊り手が指をしなやかに反らせながら優雅に舞い、そのギャップが印象的です。
もう一つの「がんけ」は速いテンポで哀調を帯びた「甚句」が歌われ、人差し指を立てながらたもとを握り優美に回転しながら踊る様子にはもの悲しさがあります。
西馬音内盆踊り<Information>
- 名 称:西馬音内盆踊り
- 開催期間:毎年8月16日~8月18日(19:30~22:30、18日のみ23:00まで)
- 開催場所:秋田県雄勝郡羽後町西馬音内(本町通り)
- 問い合わせ先:羽後町役場 みらい産業交流課 観光交流班
- 電話番号:0183-62-2111
- URL:西馬音内盆踊り総合案内(羽後町公式サイト)
冬でも冷がけで食べる西馬音内そば
つなぎに海藻の布海苔(フノリ)が使われているコシが強いそばで、発祥となった江戸時代から六代続く「弥助そばや」を含めて町内7軒のそば屋で提供されています。
ノド越しを楽しむために、寒い季節でも冷たいつゆをかけて食べる「冷がけ」のそばです。
西馬音内そば<Information>
- URL:羽後町観光物産協会公式サイト
花輪ばやし(鹿角市花輪:8月19日~20日)
旧盛岡藩領の鹿角市花輪に伝わる「花輪ばやし」は秋田県無形民俗文化財と国の重要無形民俗文化財で、東京の神田囃子や京都の祇園囃子と並ぶ日本三大囃子です。
幸稲荷神社の祭礼のお囃子として、神社が建立された1204年(元久元年)から続くとされる由緒ある秋祭りです。
10台の屋台が奏でる12曲のお囃子
豪華絢爛で個性的な10台の屋台が街に繰り出し、本囃子・二本滝・宇現響・羯鼓・霧囃子・矢車・吉原格子・拳囃子・不二田・祇園・追込・シャギリの12の伝承曲が奏でられます。
「腰抜け屋台」と呼ばれる屋台には底がなく、屋台の中のお囃子演奏者はその動きに合わせて歩きながら演奏します。
祭りの見どころは毎夜20時頃からの「駅前行事」で、各町屋台が本囃子を奏でながらJR鹿角花輪駅前広場に集合して実施されるお囃子の競演です。
その際「町おどり」など郷土芸能も披露され、熱気は最高潮に達し、21時過ぎにお開きとなっても熱気を保ったまま屋台が朝まで運行されます。
「町境の挨拶(ちょうざかいのあいさつ)」とは?
各町に「外交」と書かれた提灯を持つ「外交部」という組織があり、屋台が他町内を通る際に交わされる外交部同士による交渉のことです。
通行を許可した他町屋台が町内を出る際には見送るなど通常は平和的ですが、まれに交渉がこじれてお囃子合戦や屋台をぶつけあう「けんか屋台」が発生します。
花輪ばやし<Information>
- 名 称:花輪ばやし
- 開催期間:毎年8月19日~8月20日
- 開催場所:秋田県鹿角市花輪
- 問い合わせ先:花輪ばやし祭典委員会事務局
- 電話番号:0186-22-6088
- URL:花輪ばやし公式サイト
安くて美味しい鹿角ホルモン
秋田名物「きりたんぽ」発祥の地である鹿角が誇るB級グルメは、甘く味付けされた味噌や醤油がベースのタレがもみ込まれた豚の腸・ミノ・ハツなどのホルモンをジンギスカン鍋で煮焼きする「鹿角ホルモン」です。
鍋にホルモンと大量のキャベツや豆腐をのせて火にかけ、染み出すタレをスプーンですくい上からかけ回しながら煮焼きすると、キャベツや豆腐に味が染みてビールやご飯が止まりません。
鹿角では「ホルモン幸楽」と「花千鳥」が双璧とされているほか花輪地区に数軒あり、ホルモン幸楽が盛岡などにも店舗を展開しているほか、持ち帰りやネット通販でお取り寄せもできます。
鹿角ホルモン<Information>
角館祭りのやま行事(仙北市角館:9月7日~9日)
武家屋敷と桜の名所として知られる角館(かくのだて)の神明社と成就院薬師堂の祭礼で、重要無形民俗文化財に指定されています。
丁内(ちょうない)と呼ばれる地域単位で曳山(ひきやま)が運行され、街中で出会った曳山同士がぶつけ合う「やまぶっつけ」が最高の見どころです。
ただ、このやまぶっつけは必ず起こるとは限らないため、中日の8日に指定された曳山による観光やまぶつけが行われます。
また、曳山のほかに大きな置山が、神明社鳥居前、薬師堂前、立町の十字路、下新町、駅前広場などに飾られます。
曳山と張番
武者人形や歌舞伎人形などで飾られた曳山の運行では、参拝後の曳山を「下り山」と呼び、参拝に向かう「上り山」と出会ったときは「下り山」が道を譲るなどの作法があります。
さらに丁内の張番(はりばん)と呼ばれる運営組織の交渉員の外交交渉により、「やまぶっつけ」は起こりにくいとされていますが、祭りの興奮が最高潮に達するとその限りではありません。
曳山の運行状態で変わる飾山囃子
飾山囃子(おやまばやし)・寄せ囃子(寄せ太鼓)・上り山囃子・道中囃子(下り山囃子)・下り藤・荷方囃子・神楽囃子などそれぞれが曳山の運行状態を表し、運行中は常に奏でられています。
これらの風情あふれるお囃子はさまざまな流派があり、各丁内ごとに微妙な違いがあってその違いを楽しめます。
秋田おばこの手踊り
曳山には舞台が設けられていて、選ばれた踊り手が二人一組となって息の合った「手踊り」を披露します。
お囃子とともに踊る秋田おばこの艶やかで美しい踊りは、勇壮な「やまぶっつけ」と並ぶ祭りの見どころです。
角館祭りのやま行事<Information>
- 名 称:角館祭りのやま行事
- 開催期間:毎年9月7日~9月9日
- 開催場所:秋田県仙北市角館
- 問い合わせ先:仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」
- 電話番号:0187-54-2700
- URL:仙北市公式サイト
佐竹の殿様が愛した「御狩場焼」
角館城主の佐竹北家では、鷹狩などで獲ったカモやキジをその場で焼いて味わっていました。
それを「御狩場焼(おかりばやき)」と名付けて、山椒味噌のつけ焼きという鶏肉料理として現代に復活させたもので、角館の新しいソウルフードとして町内の飲食店で提供されています。
御狩場焼き<Information>
- URL:田沢湖○角館観光協会 公式サイト
まとめ
見どころ満載の秋田の秋祭りですが、ご紹介したそれぞれの開催地は宿泊施設が少なく予約が取りづらいとされ、ゆっくり楽しむのであれば早目の予約が必須です。
ただ、西馬音内盆踊りなど全国的に人気が高い祭りでは観光ツアーが企画されています。
現地での自由が多少制限されるかもしれませんが、個人での予約が難しければそれらの利用をおすすめします。