【秋田県・男鹿半島】映画『ゴジラ-1.0』で大人気。ゴジラやガメラがいる男鹿半島南西端の潮瀬崎。南海岸にはSNS映えスポット“秋田のウユニ塩湖”も
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男鹿半島の北の先端部分には入道崎(にゅうどうざき)があります。日本海の大パノラマが広がる丘の上には貴重な登れる灯台、入道埼灯台があり、近くの海岸には「鹿落とし」、「鬼の俵ころがし」などの奇岩の数々、そして、北緯40度のモニュメントなどがあります。北緯40℃は、北京(中国)、フィラデルフィア(米国)、それにほんのちょっとはずれていますがニューヨーク(米国)などと同じ緯度です。また近くには天然温泉が楽しめる男鹿温泉郷があり、宿泊施設や石焼料理などが楽しめる食事処も揃っていて、男鹿半島で最も人気の観光地になっています。
男鹿半島西海岸は断崖絶壁の岩だらけの海岸線が続き、砂浜がほとんどないという特異な形状をしています。それだけに「大桟橋(だいさんきょう)」や「舞台島」などの何千万年も前の岩石が波などに削られた、不思議な形の奇岩がいくつも存在します。
今にも始まりそうなゴジラとガメラの戦いが見られる南西端の「潮瀬崎」
男鹿半島南西端の潮瀬崎は、波食台(波食棚)といって、もともとは浅い海底の岩が波によって平らに削られたもので、少し隆起したため海上に姿を現しました。比較的平坦な地形なのですが、その上にいくつものゴツゴツした岩の塊が見えます。
「ゴジラ岩」はやはり一番はじめに目につきます。
この岩、昼間普通に見てもゴジラに似ているのですが、晴れの日の夕刻になると姿が豹変します。夕焼けを背景にするとなんと口から火を噴いているように、太陽が口に入ったときは火を食べているように、さらには夕闇が迫る頃には海に姿を消してゆくような姿に。ゴジラファンならずとも、いつまでも見ていられる感動的なシーンが目の前で繰り広げられます。さすが世界的名優ゴジラです。
「ゴジラ岩」は、1996年(平成8年)のあるとき、夕焼けに染まるこの岩を見た地元の人が、シルエットで黒く浮かび上がる岩がまるでゴジラのように火を噴いているように見えたので名付けたそうです。“火を噴くゴジラ”は10月頃、“夕日を食べるゴジラ”は4月頃がベストシーズンです。
「ゴジラ岩」は、土台となっている岩が3,000万年前に火山から噴出した岩が固まった火山礫凝灰岩(かざんれきぎょうかいがん)という岩石で、その火山礫凝灰岩が波に浸食されて平坦になっても削られずに残った火山角礫岩(かざんかくれきがん)という硬い岩石なのです。
ゴジラに戦いを挑む機会を狙っている「ガメラ岩」
潮瀬崎ではガメラがゴジラの近くにひそんでいます。ゴジラとガメラの戦いはまだ実現していない(ゴジラ=東宝、ガメラ=大映なので、今まで対決は実現していません。おとなの事情なのです)のですが、ここではその戦いを挑もうとガメラが岩となってゴジラを狙っているのです。
「ガメラ岩」は「ゴジラ岩」のように硬い岩でできているのではなく、潮瀬崎全体を構成している穴が多くあいた火山礫凝灰岩でできています。
尻尾にそっくりな「ゴジラの尻尾岩」
「ゴジラの尻尾岩」は、岩盤から薄く長い岩が飛び出ているのが“ゴジラの尻尾”に見えることから名付けられました。
「ゴジラの尻尾岩」は、柔らかい泥の上に火山噴出物が降り注ぎ、その重さで泥が盛り上がってできたものです。もともと柔らかかった泥は、その上に大量の灰や岩が積み重なり長い年月をかけて硬い泥(泥岩)となったものです。「ゴジラの尻尾岩」のある一帯は、もともと海底だったところで、柔らかい火山礫凝灰岩は波の浸食作用によって削られ、硬い泥岩部分が「ゴジラの尻尾岩」として残り、隆起して地上に現れたと考えられています。
「ゴジラ岩」「ガメラ岩」「ゴジラの尻尾岩」は、非常に近い場所にありながら3つとも違った岩石でできています。潮瀬崎にはこの3つの岩のほかにもさまざまな形をした岩がいっぱいあります。まさしく潮瀬崎は“地球の美術館”なのです。
地球活動の一端が見られる貴重な「双子岩」
「双子岩(ふたごいわ)」は、「ゴジラ岩」近くにあり、同じような形をした岩が2つ並んで立っています。この岩は形がよく似ているから有名なだけでなく、3,000万年前の火山礫凝灰岩の中に、1000万年後に上昇してきた溶岩(粗粒玄武岩/そりゅうげんぶがん)が垂直方向(岩脈/がんみゃく)と水平方向(岩床/がんしょう)に入り込んだ跡が見られることで、歴史的だけでなく地学的にも貴重な岩なのです。
江戸時代から観光名所だった「帆掛島」
「帆掛島(ほかけじま)」は、名称は島ですが、陸続きの大きな岩です。江戸時代初期に描かれた『男鹿図屏風』では、完全な島として描かれていて、名称も“帆かけ島”となっているので、400年に間に隆起して陸続きになったと考えられています。
名称の「帆掛島」は、岩の姿が当時の北前船などの帆掛け船が、帆を広げて航行する姿に似ているから付けられたと伝わっています。「ゴジラ岩」や「ガメラ岩」と違って、長い歴史を持つ名称なんですね。
「帆掛島」は、高さ約30m、幅は60m以上と巨大な一枚岩で、約3000万年前の火山凝灰岩でできています。Googlemapでは島として描かれていますが、男鹿市役所に問い合わせたところ、大潮のときでも現在は島になったことはない、とのことです。
帆掛島 Google Maps
地球の活動によってグリーンに変化した岩が露出する「グリーンタフ」
男鹿半島線西南端の潮瀬崎から海岸線(おが潮風街道)を東に2kmほどのところに館山崎(たてやまざき)があります。ここも奇岩の宝庫として知られています。
「グリーンタフ」は、独立した岩ではなく、斜面に岩が露出した崖の総称です。グリーンタフと呼ばれているのは、露出した岩が緑色をしているためで、タフとは凝灰岩という意味です。グリーンタフは2,100万年前の火山噴出物と考えられています。日本海側にはグリーンタフが露出している場所が多くあるのですが、館山崎のものはスケールが大きく、また色が鮮やかなので大変貴重なものです。
館山崎には「椿の白岩」と呼ばれている奇岩がありますが、こちらは白色の凝灰岩でできています。凝灰岩は本来このような白い色をしているのですが、グリーンタフの方は、火山から噴出する際に冷やされることにより岩石に含まれる一部の成分が変化しグリーンになったものです。
50年ほど前に形が変わってまった「ろうそく岩」
「ろうそく岩」は、グリーンタフの近くにある蝋燭(ろうそく)のように細長く立っている岩です。この岩は50年ほど前まではろうそく状の岩の上に顔のような岩が載っていたため“観音岩”と呼ばれていました。しかし、東北地方独特の季節風や雨、雪などによって風化し、ついには頭部分が落ちてしまったため現在の「ろうそく岩」になったのです。
SNSで大人気。映えスポット“秋田のウユニ塩湖”鵜ノ崎海岸
最後に奇岩ではありませんが、今SNSで大人気のスポットをご紹介。
鵜ノ崎海岸(うのさきかいがん)は、館山崎からおが潮風街道を約5km、JR男鹿駅からも約5km、男鹿半島南岸の中央部にあり、“秋田のウユニ塩湖”として注目を浴びている美しい海岸です。
鵜ノ崎は海岸といっても砂浜でできている海岸ではありません。海岸すれすれに200mほど沖まで波によって削られた岩場が続く“波食台”で、干潮時には平らな岩場が海上に姿を現し、沖の方まで歩いて行けます(干満の時間には要注意)。
岩場が海に沈み、波穏やかな晴天の日には周りの景色が海面に映り込み、南米ボリビアのウユニ塩湖みたいな素敵な写真や動画を撮るチャンス。映えスポットとして大人気でSNSにも多く登場しています。
鵜ノ崎海海岸には「鬼の洗濯板(おにのせんたくいた)」や「小豆岩(あずきいわ)」といった奇岩があります。今は“ウユニ塩湖”鵜ノ崎海岸にすっかり人気を取られてしまいましたが鵜ノ崎海岸を訪れた際は是非立ち寄ってください。
潮瀬崎・館山崎・鵜ノ崎海岸<Information>
- 電話番号:0185-24-4700(男鹿市観光協会)
- URL:男鹿なび
- アクセス:
- 鉄道/JR男鹿線男鹿駅からタクシー利用か、男鹿駅近くにレンタカーあり
- 車/秋田自動車道昭和男鹿半島ICから約50分~70分
Google Maps
ご紹介した奇岩たちも「ろうそく岩」のように風化や地震や台風などの自然災害、あるいは人為的な開発などによって、今の形が明日なくなってしまうかもしれません。是非男鹿半島の今を楽しみに来ませんか。
男鹿半島・大潟ジオパーク<Information>
- 男鹿半島・大潟ジオパーク
- URL:男鹿半島・大潟ジオパーク