【秋田県男鹿市】鬼は実在か!! 男鹿半島各地に残る鬼が出現した跡-男鹿半島と鬼伝説2

ナマハゲは鬼か神様か、という議論はさておき、男鹿半島には鬼伝説が山ほどあります。もとになるのは“漢の武帝と一緒に来訪した5匹のコウモリが鬼に変身”という伝承です。そのあたりの詳しいお話は【男鹿半島と鬼伝説1】でご紹介しています。

ここでは実際に<>が付く名所をご案内しましょう。


鬼が人目を忍んで歩いた道「鬼の隠れ道」

鬼が温泉に通ったとか。ちょっと神秘的な「鬼の隠れ道」 ©男鹿半島・大潟ジオパーク

鬼の隠れ道」は、男鹿温泉郷にある鬼にまつわる名所です。温泉街近くの森に、垂直に切り立つ崖の間を抜ける切り通しは、いかにも鬼が身を隠しながら山里に下りてきた道の一部といった雰囲気で、「鬼の隠れ道」と名付けられました。

実際は、この一帯が明治から大正にかけて石灰岩の露天掘りが行われていた場所で、両側の崖は石灰岩でできています。現在採石場の跡はこの「鬼の隠れ道」部分しか残っていません。この細い道は採掘した石を集積場へ運ぶためのトロッコ道で、崖部分は露天掘りの遺構です。

崖を構成している石灰岩は、薄い岩の層を何枚も重ね合わせた巨大なミルフィーユ状になっていて、その成分は男鹿温泉郷の源泉に湯の花(石灰華=トラーバーチン)として含まれています。

鬼の隠れ道<Information>

  • 施設名称:鬼の隠れ道
  • 所在地:秋田県男鹿市北浦湯本字草木原
  • 電話番号:0185-33-3191(男鹿温泉郷協同組合)
  • URL:鬼の隠れ道
  • アクセス:
    • 公共交通機関/JR男鹿線男鹿駅から男鹿半島あいのりタクシーなまはげシャトルで約40分
    • 車/秋田自動車道昭和男鹿半島ICから男鹿半島方面へ約45分

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鬼が米俵を転がしながら運んだ「鬼の俵ころがし」

鬼が俵を転がした跡がくっきり残る「鬼の俵ころがし」 ©全国地質調査業協会連合会

海岸線のゴツゴツした黒い岩の間をぬって、赤茶けた石でできた一本の道があります。鬼たちが海岸に到着した船から、米俵などの重い荷物を住み家まで運ぶために造った道らしいということから「鬼の俵ころがし」と呼ばれるようになりました。

「鬼の俵ころがし」は、約9,000万年前の火山爆発で噴出した花崗岩(かこうがん)の割れ目に、約2,100万年前に流れ出た茶色の溶岩(玄武岩=げんぶがん/ドレライト)が入り込み、そのまま固まったものです。近くには約7,000年前の火山礫岩(かざんれきがん)という火山性の黒い岩石が見られ、学術的にも貴重な景観になっています。

鬼の俵ころがし<Information>

  • 施設名称:鬼の俵ころがし
  • 所在地:秋田県男鹿市北浦入道崎
  • 電話番号:0185-24-2100(男鹿市観光協会)
  • URL:鬼の俵ころがし
  • アクセス:
    • 鉄道/JR男鹿線男鹿駅からあいのりタクシー「なまはげシャトル」で約1時間5分
    • 車/秋田自動車道昭和男鹿半島ICから男鹿半島方面へ約45分

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鬼が一所懸命洗濯をしている姿が目に浮かぶ「鬼の洗濯岩」

洗濯板のように整然と並ぶ「「鬼の洗濯岩」 ©全国地質調査業協会連合会

鬼の洗濯岩」は“秋田のウユニ塩湖”として人気の鵜ノ崎海岸(うのさきかいがん)にある、洗濯板のように岩がきれいに並んでいる遠浅の海岸です。いかつい鬼がここで一所懸命洗濯をしている姿を想像するとなんとも微笑ましい風景が目に浮かびます。

ところで“洗濯板”ってどんなもの分かりますか(写真参照)?

木の薄い板に少し円形の溝が15~20本ほど入っていて、溝に石けんを付けた洗濯物をこすり当てることによって汚れを落とすものです。1950年代以降、電気洗濯機の普及やコインランドリーの登場で、ほとんど姿を消してしまいました。しかし、なんと2000年頃からまた売れ始めているといいます。もともとは縦50cm、横20cm位の大きさなのですが、あるメーカーが出張用に小さなサイズの洗濯板を発売したところ、思わぬ大ヒット、今までの売上合計が10億ほどにもなるというのですから驚きです。

脱線してしまいましたが、「鬼の洗濯岩」は、波の浸食作用によって柔らかい岩が削り取られ、硬い地層が残ったためにできた景観です。

「鬼の洗濯岩」がある鵜ノ崎海岸は“秋田のウユニ塩湖”と呼ばれ、水面に映る影が美しい海岸 ©秋田県

鬼の洗濯岩<Information>

  • 施設名称:鬼の洗濯岩(鵜ノ崎海岸)
  • 所在地:秋田県男鹿市船川港台島鵜ノ崎
  • 電話番号:0185-24-4700(男鹿市観光協会)
  • URL:鬼の洗濯板
  • アクセス:
  • 鉄道/JR男鹿線男鹿駅からタクシー利用か、男鹿駅近くにレンタカーあり
  • 車/秋田自動車道昭和男鹿半島ICから約70分

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寒風山に残る鬼の住居跡「鬼の隠れ里」

ピラミッド型の岩の中に鬼が住んでいたという3畳ほどの居住スペースが ©全国地質調査業協会連合会

男鹿半島の付け根にそびえる寒風山(かんぷうざん)は、標高約355mという低山で、草原の広がる頂上付近には回転展望台が設置され、男鹿半島から日本海、そして八郎湖(旧八郎潟)まで360度の大パノラマが望める男鹿半島の人気観光地です。

寒風山の噴火口跡。今は火山活動はしていない ©男鹿半島・大潟ジオパーク

寒風山は、もともとは約3万年前から約1万年前まで活動した火山で、現在は活動を停止しており活火山として登録はありません。最後の噴火は江戸時代の1810年に噴火記録が残っていますが、噴火の実態や被害状況が不明で、この噴火報告は、現在では秋田藩が噴火はなかったのに、被害があったようにみせかけて幕府に報告しようと藩内で創作したもの、というのが定説になっています。

寒風山には3つの噴火口跡が残っていますが、第一火口南西端には、草源の中に突然大きな岩が積み重なってピラミッドのようになっている場所があります。中に3畳ほどの空間があることから鬼が隠れ住んでいた場所「鬼の隠れ里」(または「石倉」)として伝わっているのです。

「鬼の隠れ里」は、地質学的には大昔の噴火の際に、地中から押し出されてきた溶岩が山のようになり、その重みに耐えられずに崩壊してできたものだそうです。

鬼の隠れ里/寒風山<Information>

  • 施設名称:鬼の隠れ里/寒風山
  • 所在地:秋田県男鹿市脇本富永字寒風山62-1 
  • 電話番号:0185-25-3055
  • 寒風山回転展望台/展望台レストラン
  • 営業期間:3月下旬~11月末ごろ
  • 休館日:営業期間中は無休、12月初め~3月中旬
  • 入館料:
  • 回転展望台/おとな 550円、小中学生 270円
  • ※回転レストランは入館料なしで利用可
  • URL:鬼の隠れ里/寒風山
  • アクセス:
  • 公共交通機関/JR男鹿線男鹿駅から寒風山観光タクシー(予約制)で約20分
  • 車/秋田自動車道昭和男鹿半島ICから約40分

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ナマハゲの起源となった真山神社

境内には「なまはげ館」「男鹿真山伝承館」が開設され、男鹿の鬼伝説が残る真山神社。「なまはげ柴灯まつり」も真山神社境内で催される ©秋田県

男鹿三山のうち一番北側にそびえるのが真山(しんざん/標高567m)です。真山、本山(ほんざん/715m)、毛無山(けなしざん/677m)の男鹿三山は、飛鳥時代に始まり平安時代に最も盛んに行われた、山にこもって禁欲的な厳しい修行する山岳宗教、修験道(しゅげんどう)の山として、信仰されていました。

真山神社(しんざんじんじゃ)は奈良時代初期に創建され、平安時代に慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん/天台宗の高僧)により建立されたと伝わります。江戸時代までは光飯寺(こうぼうじ)と称し、明治維新以降真山神社となりました。

平安時代から江戸時代にかけては、修験道の霊場として男鹿を支配した豪族や久保田藩佐竹氏などから庇護を受け、非常に栄えたといわれています。

真山神社は、鬼伝説が残る神社のひとつとして知られています。境内に「なまはげ館」「男鹿真山伝承館」が開設され、男鹿半島に伝わるさまざまなナマハゲ行事や150体にもなるナマハゲ面など展示、ナマハゲも体験できます。毎年2月第2金・土・日曜日には境内で「なまはげ柴灯(せど)まつり」が開催され、多くの観光客で賑わいます。

真山神社<Information>

  • 施設名称:真山神社
  • 所在地:秋田県男鹿市北浦真山字水喰沢
  • 電話番号:0185-22-5050
  • URL:なまはげ館
  • 公共交通機関/JR男鹿線男鹿駅から男鹿半島あいのりタクシー「なまはげシャトル」で約40分
  • 車/秋田自動車道昭和男鹿半島ICから約40分

  • 施設名称:なまはげ館
  • 入館料:一般 660円、小中高校生 330円、2館共通券/一般 1100円、小中高生 660円
  • 開園時間:8:30~17:00
  • 休館日:年中無休

  • 施設名称:男鹿真山伝承館
  • 入館料:一般 770円、小中高生 550円 2館共通券/一般 1100円、小中学生 660円
  • ナマハゲ習俗学習講座(ナマハゲ体験):
  • 4月~11月/9:00~16:30(所要時間 約20分 9:00~16:30の間
  • 12月~3月/9:30~15:30(1月1日~2日は9:00~15:00)
  • 休館日:年中無休

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