【秋田県湯沢市】火山のないところに温泉が湧く! 地球の神秘が間近に見られる「ゆざわジオパーク」
目次
秋田県湯沢市(ゆざわし)は、山形県や宮城県と接する稲庭うどんや日本酒などの地場産業が有名ですが、“湯”沢の名の通り、小安峡温泉や大湯温泉、秋の宮温泉郷など多くの温泉が湧き出す温泉天国でもあります。
湯沢市は、秋田県の内陸部に位置しています。そこに温泉がある、ということは一般的には近くに火山があることが多いのですが、市全体を見渡しても現在活動をしている火山らしきものはありません。隣接する宮城県には栗駒山(くりこまやま)という活火山がそびえていますが、湯沢市に温泉を湧き出させるには少し遠すぎます。では何故湯沢市には温泉が多いのでしょうか。
数十年万年前にあった火山の名残が高温の温泉を供給
湯沢市エリアの歴史をたどっていくと数百万年前から数十万年前には非常に激しい火山活動が起きていたことが分かっています。その火山は長い年月をかけ、地殻変動などで地下深くに沈み、地表では姿を消してしまったのです。しかし、その地下深いところにある火山の名残は、地表で姿を消しただけで、今なお地下で活動を続けています。
湯沢市には火山がないにもかかわらず亜硫酸ガスが噴出する不毛の台地「川原毛地獄(かわらげじごく)」や高温の蒸気や熱湯が噴き出す「小安峡大噴湯(おやすきょうだいふんとう)」などがあります。この現象が地下深くにある火山から供給されている証拠なのです。
湯沢市はそんな地球活動を大きな公園に見立てる地球の公園・Geopark(ジオパーク)『ゆざわジオパーク』に認定されました。
火山ではない高松岳山麓地下の地熱が300℃
「川原毛地獄」がある高松岳(たかまつだけ/標高1315m)は、約26万年前に噴火したのを最後に噴火活動を停止したのですが、その地下にはマグマが残っているといわれています。『ゆざわジオパーク』のブログによると、高松岳頂上から周辺地域の海抜マイナス500m地点の地熱温度は、頂上付近で300℃、頂上から2kmほどはなれた「川原毛地獄」で250℃、少し下った「上ノ岱地熱発電所(うえのたいじねつはつでんしょ)」付近200℃、さらに下った「秋の宮温泉郷」あたりでも100℃ほどあります。「上ノ岱地熱発電所」付近では地表近くで100℃ほどあるのです。
日本三大霊地のひとつ、草木が生えない「川原毛地獄」
「川原毛地獄」は、日本有数の地熱地帯湯沢市を代表する観光地です。高松岳の地下深くに眠るマグマの熱で温められた硫化水素を含む高温の蒸気が地表に噴出し、草木も生えず動物や昆虫さえも寄せ付けない荒涼たる白い台地が広がっています。
「川原毛地獄」は、807年にこの地を訪れた月窓和尚(げっそうおしょう)が霊通山全湯寺(れいつうざんぜんとうじ/現在は移転し湯沢町稲庭の広沢寺)を建立し、霊場として信仰の対象となりました。古代から中世にかけては恐山(青森県)、立山(富山県)とともに三大霊地のひとつとして多くの修験者や巡礼者が訪れています。足利時代に全湯寺が少し離れた山麓に移転され、江戸時代には硫黄採取場が設けられるなどして、「川原毛地獄」には修験者たちが訪れることは少なくなっていきました。
現在は観光地として遊歩道が設けられ、地球の活動を間近に見られる貴重な場になっています。「川原毛地獄」は、有毒な硫化水素などを含んだガスや100℃近い熱湯が噴出しているので、散策には注意が必要です。また、11月上旬から5月上旬までは積雪のため途中の道路が閉鎖されるため見学はできません。
INFORMATION
- 施設名称:川原毛地獄
- 住所:秋田県湯沢市高松番沢
- 電話番号:0183-55-8180(湯沢旅たび)
- 入園無料
- URL:川原毛地獄
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温泉が滝となって流れ落ちる「川原毛大湯滝」。滝壺は天然の露天風呂!
「川原毛大湯滝(かわげげおおゆたき)」は、「川原毛地獄」から流れ出る高温の温泉が沢の水と混じり合って20mの落差で落ちる滝で、滝壺は天然の露天風呂となっています。夏場はちょうど良い温度です。水着の着用が必要で、簡易脱衣所が設けられています。駐車場からは徒歩約15分、川原毛地獄駐車場からも歩いて35分ほどです。入湯は無料ですが11月上旬から5月上旬までは閉鎖されています。真夏でも降雨時や夏季以外のシーズンは気温が低いと冷たい場合があるので注意しましょう。
INFORMATION
- 施設名称:川原毛大湯滝
- 住所:秋田県湯沢市高松大檜内山
- 電話番号:0183-55-8180(湯沢旅たび)
- 入湯無料/水着着用
- URL:川原毛大湯滝
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火山性らしい硫黄分を含む高温の温泉が魅力の「泥湯温泉」
「泥湯温泉」は、「川原毛地獄」から2kmほどの高松岳中腹に湧く温泉です。温泉が発見されたのは約1200年前といわれ、白濁した高温の硫黄泉が湧き出しています。温泉施設は2軒で、施設周辺には地熱が100℃に達する場所があり、硫化水素を含んだガスや熱湯が噴き出していますので、立ち入り禁止になっています。
『泥湯温泉 奥山旅館』は、江戸時代より続く老舗宿です。温泉は硫黄泉(天狗の湯)のほか周辺に湧く単純温泉(新湯)や泥湯とは成分などが違う硫黄泉(硫化水素型/川の湯)を引いていて、温泉三昧のひとときが過ごせます。日帰り入浴も可能です。
もうひとつの『小椋旅館(おぐらりょかん)』は、日帰り入浴のみの温泉施設として営業しています。温泉の泉質は酸性泉です。冬季(11月中旬頃~4月頃)休業。
INFORMATION
泥湯温泉
- 施設名称:日本秘湯を守る会 泥湯温泉 奥山旅館
- 住所:秋田県湯沢市高松字泥湯沢25
- 電話番号:0183-79-3021
- URL:奥山旅館
- 施設名称:小椋旅館
- 住所:秋田県湯沢市高松字泥湯沢25 [周辺地図]
- 電話番号:0183-79-3035
- ※日帰り入浴のみ
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高温の温泉が岩の割れ目から噴き出す「小安峡大噴湯」
小安峡(おやすきょう)は、皆瀬川(みなせがわ)の浸食によってV字形に削られた渓谷で、長さは8kmにも及びます。川底の割れ目から地下に眠っていた高温の温泉が轟音とともに噴き出す「小安峡大噴湯(おやすきょうだいふんとう)」は、地球の活動が活発である証拠。散策路や橋上60mから風景は迫力満点です。駐車場のある『皆瀬観光物産館』には足湯があります。
INFORMATION
- 施設名称:小安峡大噴湯
- 住所:秋田県湯沢市皆瀬字湯元5-1
- 電話番号:電話番号:0183-47-5080(湯沢市観光物産協会皆瀬事務所)
- URL:小安峡大噴湯
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湯沢最大の温泉、江戸時代開湯の「小安峡温泉」
皆瀬川沿いには「小安峡温泉」と「大湯温泉」があります。
「小安峡温泉」は、「小安峡大噴湯」に近い皆瀬川沿いに11軒の温泉宿が並ぶ江戸時代に開湯されたという歴史ある温泉です。温泉はアルカリ性単純温泉などで、豊富な湯量を誇ります。
INFORMATION
- 施設名称:小安峡温泉
- 宿泊施設数:11軒
- 住所:秋田県湯沢市皆瀬湯元ほか
- 電話番号:0183-55-8180(湯沢市観光・ジオパーク推進課 観光物産班)
- URL:小安峡温泉
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小安峡温泉の奥に湧く秘境の温泉「大湯温泉」
「大湯温泉」は、皆瀬川最上流部にある温泉で、泉質はアルカリ性硫黄泉です。温泉施設は2軒。奥小安の大自然を満喫できる温泉宿です。
INFORMATION
- 施設名称:大湯温泉
- 住所:秋田県湯沢市皆瀬2ほか
- 電話番号:0183-55-8180(湯沢市観光・ジオパーク推進課 観光物産班)
- URL:大湯温泉
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6軒の宿がおのおの違う源泉を所有「秋の宮温泉郷」
「秋の宮温泉郷」は、高松岳西麓に点在する6か所の温泉の総称です。6か所の温泉はいずれも1軒宿で、おのおの違った泉質の源泉を所有しています。高松岳の周辺にはほかにも利用されていない無名の温泉が多数湧出していて、それが“湯沢”という名称の由来となっています。
INFORMATION
- 施設名称:秋の宮温泉郷
- 住所:秋田県湯沢市秋ノ宮字殿上ほか
- 電話番号:0183-55-8180(湯沢市観光・ジオパーク推進課 観光物産班)
- URL:秋の宮温泉郷
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湯沢市全体をまかなえる発電量「上の岱地熱発電所」
「上ノ岱地熱発電所」は、高松岳地下にたまっている高温の蒸気を活用して発電する地熱発電所です。発電出力は28,800kw(2022年現在)で、湯沢市全体の使用電気量に相当する発電量です。
INFORMATION
- 施設名称:上ノ岱地熱発電所
- 住所:秋田県湯沢市高松字大日台
- 電話番号:018-848-5312(東北電力秋田支店 企画管理部門総務広報グループ))
- 見学:2022年現在見学は不可(再開時期未定)
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地球を学び、遊べる「湯沢ジオパーク」
『ゆざわジオパーク』には、約700万年~300万年前の噴火活動でできたカルデラ跡がいくつもあります。また、古い時代の地層が露出する“露頭”など、地球の活動が活発だった時代の痕跡が多く残り、その風景は壮観です。地球は温泉ばかりでなく、清らかな真水でも人々の生活を潤い、稲庭うどんや『爛漫』や『両関』に代表される日本酒など多くの特産品を生み出しています。地球のダイナミックな活動も目の当たりにできる『ゆざわジオパーク』で休日を過ごしてみませんか。
ゆざわジオパーク
- 電話番号:0183-55-8195
- URL:ゆざわジオパーク