アケビの果実

【山形・秋田】日本の流通量の90%以上が東北産!秋の味覚の一つ「アケビ」

流通する果物としてはあまり一般的とはいえませんが、秋の味覚の一つとして有名なアケビ

山間部に自生しているイメージが強いですが実は商業栽培もされていて、国内生産量の90%以上を山形・秋田両県で占めているんです。


アケビとは?

アケビは、北海道を除く本州・四国・九州に分布するアケビ科の蔓(つる)性落葉低木の一種で、主に日当たりのよい山野に自生しています。

自生しているアケビ
自生しているアケビ

茎は蔓になって他の樹木などに絡みついて成長し、果実は熟すと縦に割れて白く甘い果肉と黒い種子が露出します。この様子が開(あけ)実(み)とされ「アケビ」の名前の由来になっています。

食材として様々な用途があるアケビ

秋に果実が熟すアケビは、白くねっとりとした果肉がバナナのような食感で甘いことから果物のイメージが強いですが、その果皮も食べることができます。

アケビの果肉
アケビの果肉

果皮の方は野菜のような使い方で、ひき肉と味噌で炒めたり、そのまま中に肉・味噌・キノコなどを刻んで詰め物にして揚げ焼きにしたりと、ニガウリのようなほろ苦さとナスのような食感から、油と相性がいいことが知られています。

リンク:農林水産省「うちの郷土料理」 – あけびの味噌詰め焼き/あけびの油焼き

アケビの花と蕾
アケビの花と蕾

更に春頃に芽吹く若芽は山菜として利用されたり、成長して木質化した蔓状の茎部分は生薬として利用することもあるのだとか。

秋田県ではアケビの種子を搾油し、食用油として利用していた地域もあり、かつては「食用油の王様」と呼ばれる高級品だったそうです。安価な食用油が広まり一度衰退しましたが、2017年に旧西木村(現:仙北市)が中心となり高級食用油として再び商品化されました。

まさに捨てるところがない万能植物ですね。

アケビの栄養素

果肉には「ビタミンC」を多く含み、可食部100g中のビタミンC含有量はキウイフルーツ、柿に次いで多い65mgとなっており、果物の中でもトップクラスです。また、貧血予防に効果があるとされる「葉酸」も含まれています。

また果皮には塩分の排出を促して高血圧を予防する「カリウム」が多く含まれます。

メナード化粧品が発見したアケビのダイエット効果?

アケビ果実から抽出したエキスに、皮下組織で脂肪を熱として消費する性質を持つベージュ脂肪細胞を増やす効果を日本メナード化粧品株式会社が発見し、2023年に発表されました。

以降、アケビエキスを含んだ健康食品も販売されるようになっています。


山形県・秋田県で全国の流通量の90%以上を生産

もともと商業栽培として作付けされている面積も多くなく、流通の絶対量が少ない作物ですが、日本国内で流通しているアケビはほぼ東北地方産のものになります。

栽培されているアケビ
栽培されているアケビ

2020年の農林水産省統計によると

  1. 山形県 収穫量:44.8トン 割合(シェア):73.44%
  2. 秋田県 収穫量:16.2トン 割合(シェア):26.56%
  3. なし

となっており、国内生産量の100%を山形・秋田両県で生産している…となっていました。しかし、ごく少量でも他の地域でも生産しているところはあるのでは?という憶測から、あえて100%の明言は避けさせていただきました…。

山形県では、天童市の団体が山から採取したものを関東方面に出荷したところ、高い評価を受けたことをきっかけに天童市・白鷹町・朝日町を中心に生産が増えました。秋田県では由利本荘市での生産が多いようです。

リンク:おいしい山形 – 郷土独自の食文化を発信する「あけび」


まとめ

果実に果皮、茎に種子と、余すことなく利用できる万能植物アケビ。

あまり食べる機会は多くない食材ですが、機会があれば一度試してみてはいかがでしょうか!

収穫時期である9~10月頃になると各種オンラインショップでも購入が可能になります。


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