まめぶ汁(1)

【岩手県久慈市】まめぶ汁とは?NHKの連続ドラマ「あまちゃん」に登場した味を詳しく解説

2013年にNHK連続ドラマ小説として放送された「あまちゃん」の第1話で、主人公のアキが夏休みに母親に連れられて北三陸市へと足を運び、初めてまめぶ汁を口にするシーンがあったのを覚えているでしょうか。

この記事ではあまちゃんの中で「おかずかおやつか分からない微妙な食べ物」と紹介されたことから、急に知名度が上がったまめぶについて詳しく解説します。


まめぶ汁とは?

まめぶ汁とは岩手県久慈市山形町(旧山形村)地域に伝わる郷土料理で、煮干しと昆布のだし汁にゴボウ・にんじん・油揚げ・しめじ・かんぴょう・焼き豆腐を加え、醤油で味を整えた後、まめぶという小麦粉にくるみと黒砂糖を包んだ団子を入れて、煮込んで作ります。

まめぶ汁(2)
まめぶ汁

まめぶは、江戸時代に幕府から南部藩に対し凶作に備えて「百姓は麺類やそばきりを食べてはいけない」との通達があったことから、代用食としてくるみの実を小麦粉で包んで団子にして食べたのが始まりではないかと言われています。

まめぶ
まめぶの中身(くるみ・黒砂糖)

まめぶの名前の由来は団子が手毬麩(てまりふ)に似ていることからきたという説や、「まめまめしくあってほしい」という願いを込めて名付けられた説などがありますが、はっきりしたことはわかっていません。

また慶事にはまめぶを大きくし、凶事にはまめぶを小さくしてだしを昆布のみで取り精進料理とすることで、「ハレ」「ケガレ」の両方で食べられてきた料理であるのが特徴的と言えるでしょう。


まめぶで久慈市の活性化を図る団体「久慈まめぶ部屋」とは?

久慈まめぶ部屋とはまめぶ汁を全国デビューさせ、地域の活性化につなげたいと考える有志によって運営されている団体です。

久慈まめぶ部屋は相撲部屋になぞらえて名前に「部屋」がついているため、活動を「巡業」と称しており、最新の活動内容はFacebookとブログでチェックすることができます。

久慈まめぶ部屋では岩手県内でまめぶ汁を「お振舞い」して味を広く知っていただく活動に始まり、まめぶ食フェスタの開催から文化庁のヒアリング対応まで、まめぶに関する幅広い啓蒙活動を行っているのが特徴的と言えるでしょう。

このような久慈まめぶ部屋の活動の甲斐があり、まめぶは全国各地のご当地グルメを通じた町おこし団体の共同イベントである全国B-1グランプリへ2011年に初出展し、豊川大会で第5位に入賞しています。

B-1グランプリに参加するB級グルメは郷土料理だけではない中入賞できたことで、まめぶ汁は岩手県の人だけではないさまざまな人たちに愛される味であることを証明したと言えるでしょう。

久慈まめぶ部屋では、2021年よりまめぶの味を将来へとつなぐために「まめぶ未来継承講座」を子供たちを対象に行っています。

また2021年7月には、まめぶを国の無形民俗文化財とするために文化庁の「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業に応募し採択されているのです。

まめぶは岩手県の歴史における貴重な食文化を未来へとつなぐ料理として、これからも受け継がれていくのではないでしょうか。


まとめ

まめぶ汁とは岩手県久慈市山形町に伝わる郷土料理で、煮干しと昆布のだし汁に野菜や豆腐を加え、醤油で味を整えた後、まめぶという小麦粉にくるみと黒砂糖を包んだ団子を入れて煮込んで作りますが、B-1グランプリでの入賞歴があり無形民俗文化財を目指すなど、今も岩手県民に愛され続けていることがわかりました。

岩手に足を運んだ際は、ぜひまめぶを口にしてみてください。


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