日本酒

【秋田県】清水が育てた人と米と酒王「秀よし」 大人になることと故郷の味と

画像は秋田県大仙市(旧中仙町)にある㈴鈴木酒造店さんの秋限定品「ヒデヨシ Cloud」。

姉妹品に青ラベルの夏限定吟醸バージョンが有る、比較的新しい銘柄です。

オレンジラベルの秋バージョンは精米歩合を65%とした特別純米酒。

酒米は「めんこいな」100%、AK-1酵母で醸したもので、冷から燗までバランス良く楽しめる、食の秋から冬にかけて最適な味。

春取れの新酒の中から丹念に利き酒をし、秋頃に飲み頃を迎えるものを厳選しており、その手間暇、品質を考えると極めてコストパフォーマンスに優れた一品と言えます。

季節限定品ということもあり、入手機会も限られて来てはおりますが、各通販サイト等では僅かですが在庫が確認できます。

ということで、今回は鈴木酒造店さんの看板銘柄「秀よし」、そして蔵を取り巻く風景や地物料理などについてご紹介したいと思います。

思い返せば「酒造好適地」の我が故郷

「秀よし」には「酒王」の形容が冠せられています。決して自称ではなく、古く江戸時代、当時の領主佐竹氏から「他に秀でてよし」「まさに酒の王」との評価を得たのが所以とのこと

なお、創業期の銘柄は「初嵐」であったそうです。

蔵が所在する旧中仙町は、秋田有数の穀倉地帯である仙北平野の真ん中、

まさに「中仙」に位置し、東は奥羽山脈、西は出羽丘陵に囲まれた水脈豊かな地域。

現在でも多くの集落、家々が地域共同のポンプにて井戸水を汲み揚げて生活用水に充てているほどで、近くには「清水」という名の地区もあります。

西高東低の冬の気圧配置がもたらす雪、その雪を一身に集めた奥羽山系の伏流水がもたらす恵みにより、古くから干ばつや冷害等が少なく、米どころ秋田を支えた地域のひとつです。

そこに根付いた蔵の歴史は古く、起源は江戸元禄時代に遡るそうで、開祖は伊勢(現在の三重県)出身とのこと。

どんな経緯があって秋田に根付いたのか等興味は尽きませんが、いずれ強い開拓の気風を感じずにはいられません。

そうした気風は今も蔵に息づいているようで、蔵では常に時代に合った日本酒の楽しみ方を模索しておられ、ここではCloudを取り上げましたが、伝統の品から発泡酒まで、一度は手に取って頂きたい品々を送り出しています。

加えて、2019年には地元「道の駅なかせん」に直営レストラン「蔵人」を構えられ、地域と共に新しい分野へと、これまた開拓の途を進んでおられます。

 

食の好みとお酒と郷土料理

さて、せっかく手に入れた秀よしの季節限定酒。何をお共としましょうか。

そこでふと考えるのですが、人は年齢とともにいつの間にか食の好みは変わり、と申しますか幅広くなり、酒を嗜むようであればその基準が「酒に合うかどうか」になっていたりします。

子供の頃はさして興味は無くとも、大人になると好物になったりする、押しなべて郷土料理の類はそういう要素が強い食べ物だったりします。

例えば秋田の郷土料理と言えばきりたんぽ鍋。

それは実に、酒飲みの嗜好をくすぐる仕様に洗練された料理でもあります。

ともすれば幼少期には苦手な、素材の野趣が際立つその風味は、お酒と共に味わうことで一層の魅力が引き出される感があるものです。

甚だ個人的主観ながら、地物と酒の組み合わせを愛するようになると、それがある種大人への入り口ということなのかな、と思わずにはいられません。

ならばきりたんぽ鍋をご用意。

と言いたいところですが、秀よしの地元、秋田県南部ならではのまた異なった鍋の楽しみがあります。

 

秋田県南部と言えば芋の子汁

そう、山野の恵みの集大成「芋の子汁」。

実のところ、秋田県南部で鍋と言えば芋の子汁が主流だったりします。

芋の子汁に取り合わせる素材、レシピに絶対はないのですが、里芋を中心にネギ、白滝や油揚げ、肉も鶏だったり豚だったり、時に我が家の場合は鍋の主役がきりたんぽから里芋に変わるだけのこともあります。

きのこなど投入したならば、それはもう、酒のお供に相応しい逸品へと仕上がるのです。醤油仕立て、味噌仕立てどちらも有りです。

なお、地域の小学校では昔から、秋の恒例行事として「なべっこ遠足」があります。

6年生を中心に企画・立案し、付近の河原に赴き火起こし段階から制作に取り組むのですが、メニューは自由選択ながら、人気の中心は味噌仕立ての芋の子汁だと言えます。

そして後に知った事なのですが、こうした子供の野外活動は秋田オリジナルの慣習とのこと。

お隣山形で有名な「芋煮会」と何かしらルーツを共有しているのか、機会があれば調べてみたいものです。

 

秋田の酒は元来、濃密で甘み豊かなのが持ち味と個人的はに思っています。

不思議と、年齢とともにその味が恋しくなる昨今。齢を重ねて尚そうした嗜好の推移を体感するに、大人の階段にはまだまだ先がありそうだ、などとしみじみ思います。

ということで、今宵は秀よしCloudを片手に、芋の子汁をば。

INFORMATION



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Editor-SK

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NEFT編集部の人間です。
酒、音楽、旅行が好きで平日は仕事終わりに酒に溺れ、休日は空きあれば近隣へ旅行に出かけています。いづれはNEFT取材で東北の縁を探しに海外へ!を目標に日々勤しんでおります。

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