
木下駒 – 日本三大駒の一つで献上馬の胸に下げた木製の馬形が起源の郷土玩具【宮城県仙台市】
目次
青森県八戸市の八幡馬、福島県郡山市の三春駒とともに「日本三大駒」に数えられる木下駒という郷土玩具が宮城県仙台市に存在します。
木下駒とは?
木下駒(木ノ下駒)は木製の郷土玩具で、その起源は奈良・平安朝の時代まで遡るといわれています。

多賀城が陸奥国府として栄えていた時代、現在の仙台市宮城野区周辺は、有名な歌枕としてよく和歌に詠まれた「宮城野」と呼ばれる原野が広がっており、馬の放牧地としても最適な土地でした。

この頃、朝廷に対して馬を献上する「駒牽(こまひき)」という行事があり、多賀国府の長官はこの献上馬を木ノ下の陸奥国分寺薬師堂の境内で行われる馬市で選ぶのが慣例となっていました。

そしてこの献上馬は京都に贈られる際に「馬型」と呼ばれる木製の馬の飾りを首に下げており、この「馬型」を模して作られるようになった木馬が木下駒の起源といわれています。
その後は、木ノ下薬師の白山神社祭礼や岩沼市の竹駒神社の初午祭の露天等で売られるようになり、飼い馬の守り神として神棚に置いたり、厩(うまや)につるしたりとされるようになり世間に広まっていきました。
陸奥国分寺薬師堂<Information>
- 名 称:陸奥国分寺薬師堂
- 住 所:〒984-0047 宮城県仙台市若林区木ノ下3丁目8−1
- 電話番号:022-291-2840
- 公式URL:http://www.08943.com/
Google Map
一時は「木皿駒」と呼ばれたことも
時代が過ぎ、伊達政宗が仙台城を築き城下の町割りを行うと、陸奥国分寺付近の住民も城下へと移動し新たな町を作り上げます。これが現在東北一の繁華街とも呼ばれる国分町です。

住民が移動したことに伴い、薬師堂の境内で行われていた馬市も自然と国分町に引き継がれます。
さらに当時、岩沼で行われていた岩沼馬市とも合わさったことでその規模は仙台藩随一となり、仙台馬市(せんだいうまいち)または国分町馬市(こくぶんまちうまいち)と呼ばれ、領外からも買い付け人が訪れるほどの、全国的にも名を知られる大きな馬市へと発展しました。
そしてこの時、仙台馬市で木下駒を販売していたのは馬喰(牛や馬の仲買商人)である木皿家だったため、木下駒はこの当時「木皿駒(きさらこま)」と呼ばれるようになっていました。
国分町<Information>
- 名 称:国分町
- 住 所:〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町
- 電話番号:ー
- 公式URL:ー
Google Map
木下駒の現在
福島の三春駒や青森の八幡馬と違い、木下駒の伝統的な職人の歴史は残念ながら途絶えてしまっています。

しかし、宮城県の障害者就労支援事業所であるみやぎセルプ協働受注センターさんが、その活動の一環として木下駒の伝統を復活させています。
ここで作られた木下駒は「こけしのしまぬき」本店と当該事業所にて直接販売されているようなので興味がある方は問合せをしてみてください。
みやぎセルプ協働受注センター<Information>
- 名 称:特定非営利活動法人 みやぎセルプ協働受注センター
- 住 所:〒981-1102 宮城県仙台市太白区袋原5丁目12−1
- 電話番号:022-399-6299
- 公式URL:https://www.miyagi-selp.org/
Google Map
こけしのしまぬき<Information>
- 名 称:こけしのしまぬき 本店
- 住 所:〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町3丁目1−17 しまぬきビル 1階
- 電話番号:022-223-2370
- 公式URL:https://www.shimanuki.co.jp/