【青森県】青森の寒い冬に欠かせない!郷土料理『じゃっぱ汁』とは?
目次
青森の寒い冬には体が温まる汁ものは欠かせません。青森には「けの汁」や「せんべい汁」それに「いちご煮」など、様々な汁物がありますが、今回ご紹介したいのは「じゃっぱ汁」です。聞きなれない「じゃっぱ汁」という料理はどんなものなのでしょうか?本記事ではじゃっぱ汁の「じゃっぱ」の意味や作られた背景、具材やレシピについて紹介します。
じゃっぱ汁とは?どんな料理なの?
まずはじゃっぱ汁がどんな料理なのか紹介します。
じゃっぱ汁は青森を代表する郷土料理
じゃっぱ汁は、青森県を代表する伝統的な郷土料理です。「じゃっぱ」とは「雑把」が訛ったもので、青森では「魚のあら」を指します。じゃっぱ汁は普段は捨てられてしまうような魚の頭や骨、内臓などを使い、冬に収穫できる大根やネギ、人参と共に味噌で煮込んだ郷土料理。ちなみに「魚のあら」と言っても、じゃっぱ汁で使うのは「鱈のあら」がほとんど。鮭やぶり、鯛のあらはよく売っていますが、これらはじゃっぱ汁の具材としては使いません。
魚のあらや根菜で作る
じゃっぱ汁の主な材料は、鱈のあらと根菜類です。じゃっぱ汁で使う鱈の骨にはカルシウム、内臓にビタミンAや鉄分が含まれており、とっても栄養豊富。さらに、皮にはコラーゲンが多く含まれており、女性に嬉しい食べ物なんです。
また、じゃっぱ汁には鱈のあらに加えて、大根や人参、白菜やゴボウと言った季節の野菜も多く使います。特に大根や人参、ゴボウなどの根菜類は、冬でも収穫できることから寒い時期の貴重な野菜として古くから重宝されてきました。鱈のあらと季節の根菜を煮るだけで完成するじゃっぱ汁は手間がかからず、それでいて栄養満点。冷えた体を温める、青森の冬の定番汁物として愛されてきたのです。
青森の厳しい冬に食べられる
じゃっぱ汁は、特に青森の厳しい冬の時期に食べられる料理です。寒い冬の時期に獲れる鱈は脂がのっていて、津軽の正月料理には欠かせない食材。昔は大きな鱈を一匹買い、身を食べた後に残った骨や内臓を汁物にし、冷え切った体を温めたそう。
特に漁師や農家の家庭では、冬に備えて秋ごろから保存食を作る傾向にあります。じゃっぱ汁もその一環として、魚を無駄にせず、栄養をしっかりと摂るための知恵が詰まった料理です。また、年末年始や冬の祭りでは、家庭や地域でじゃっぱ汁が振る舞われ、家族や友人と温かい食卓を囲むのが恒例。じゃっぱ汁は、青森の冬の風物詩として、季節の行事に欠かせない料理なのです。
じゃっぱ汁の作り方
新鮮なじゃっぱを使うのがコツ
じゃっぱ汁を作るためには、まず新鮮な鱈のあらを準備しなければなりません。青森県内では、冬が近づくと魚市場やスーパーで「じゃっぱ汁用のあら」が販売されるようになります。このあらは通常のものよりも可食部が多く、あらというよりも骨がついた切り身といった方がいいかもしれません。じゃっぱ汁用のあらには内臓や皮もたっぷり入っているので、かつてのように鱈を丸ごと買ってきて捌くという面倒な作業がなく、忙しい主婦にはとても嬉しい商品です。
あらの選び方としては、できるだけ新鮮なものを選ぶのがポイントです。あらは鮮度が落ちやすいため、購入後はできるだけ早く調理してくださいね。特に鱈に脂がのる冬は、あらの保存や鮮度が落ちにくいという意味でもじゃっぱ汁を作るのに最適な季節と言えます。
作り方
じゃっぱ汁の作り方はシンプルですが、生臭さが出ないようにあらの下処理を丁寧に行う必要があります。
まず、魚のあらをしっかりと水で洗い、血合いやぬめりを取り除きます。より生臭さを取りたい時や、あらを買ってから時間が経ってしまった時は、あらに酒や塩を振って時間を置きましょう。15分ほど経つと臭みを含んだ水分が出てくるので、綺麗に洗い流してください。この下処理を怠るとスープに生臭さが残ってしまうため、しっかりとぬめりや血合いを洗い流してくださいね。
次に、大根や人参、ねぎなどの野菜を一口大にカットし、鍋に水を張ります。ここに出汁を加え、火にかけます。沸騰したら、魚のあらと野菜を加えて20~30分ほど煮込み、あらの旨味を引き出しましょう。最後に、味噌で味を調えれば完成です。
今回紹介したレシピでは大根、人参、ねぎを使用しましたが、白菜や豆腐、こんにゃくを入れてもおいしいです。じゃっぱ汁の具材は各家庭によって異なり、ゴボウや油揚げを入れるという話も聞いたことがあります。冬には鱈の白子も出回るので、白子を入れて贅沢なじゃっぱ汁を楽しむのもいいですね。
まとめ
鱈のあらを使った豪快な汁物「じゃっぱ汁」は、青森の寒い冬には欠かせません。これからの時期はスーパーにも鱈のあらが並ぶので、もし見かけた方は作ってみてください。また、ご自分で作れないという方は、ぜひ弘前市や青森市の飲食店を訪れてみてください。