【青森県八戸市】八戸の不思議な郷土料理『いちご煮』とは?歴史から名前の由来、レシピまで詳しくご紹介します。

八戸市は、青森県南部に位置する海の幸に恵まれた港町です。そんな八戸の郷土料理として知られる『いちご煮』はをご存じでしょうか?赤くて甘い「いちご」の汁物かと思いきや、実は新鮮なウニとアワビを使った高級潮汁だったのです!

その独特な名前と豪華な食材から、多くの人に驚かれるこの料理ですが、実は地元の漁師たちの生活から生まれた伝統的な一品。この記事では、『いちご煮』の由来、歴史、食べ方、そして家庭での楽しみ方について詳しく解説します。


いちご煮とは?名前の由来や歴史を紹介

まずはいちご煮とはどんな食べ物なのか紹介します。

いちご煮はウニとアワビの潮汁

『いちご煮』という名前からフルーツを使った奇抜な料理かと思いきや、実は高級食材のウニとアワビを使ったれっきとした郷土料理。ウニは海の風味が凝縮されており、その甘さがスープ全体にコクを出す一方、アワビはコリコリとした食感と深い旨味が特徴で、潮汁に豊かな風味を与えます。これらの食材の鮮度が料理の仕上がりを大きく左右するため、旬の時期に新鮮なものを使うことが肝心です。

いちご煮の名前の由来

野イチゴ

『いちご煮』という料理名は、ウニが煮えたときの形や色が「野いちご」に似ていることに由来します。少し白濁した汁の表面に浮かぶウニが、朝霞にかすむ野いちごに見えたことから、この名前が付けられました。

青森県内ではたびたびいちご煮のCMが流れており、見るたびに「いちごを煮た料理なんて食べたくないな」と思っていましたが、大人になってようやくこの料理の魅力に気付きました。実際には果物の「いちご」は使われていないのですが、初めて聞いた人にとってはインパクトのある名前ですよね。その意外性も『いちご煮』の魅力のひとつなのかもしれません。

八戸の漁師が生み出した伝統料理

『いちご煮』は、八戸の漁師たちが獲ったウニやアワビを浜で煮て、シンプルに塩だけで味付けして食べ始めたのが始まり。当時は浜で豪快に鍋で煮て作っていたそうですが、大正時代に料亭で提供され、現在のような美しい盛り付けに変化しました。

ウニとアワビのうまみを存分に味わえるいちご煮は、かつては家庭料理として普段の食卓に並んでいました。しかし、ウニとアワビが高級食材として扱われるようになり、次第に各家庭で作る機会が減少。それからは祝いの席やお正月などの特別な場でも提供され、身近な料理とはいえなくなりましたが、缶詰が発売されたことで全国的に知名度が上がりました。おかげで観光客にも人気があり、八戸市内の飲食店の中には、味噌汁の代わりにいちご煮を提供する店も。ぜひ八戸を訪れた際はいちご煮を食べてみてください。


いちご煮の作り方やアレンジ方法を紹介

基本的ないちご煮の作り方やアレンジ料理を紹介していきます。

いちご煮の作り方

『いちご煮』の作り方はシンプルですが、素材の鮮度が命です。鮮度の落ちたウニを使うと生臭さが出てしまい、潮汁の命である出汁のうまみが消えてしまいます。そのことを知らずに外国産のウニで作ったことがありますが、苦みと臭みが出て全くおいしくなかったです。できるだけ国内産の、新鮮なウニを使うことをおすすめします。

  1. まず昆布でだしを取ります。
  2. 次に、薄くスライスしたアワビをだしに加え、さっと煮ます。
  3. その後、新鮮なウニを加え、さっと火を通します。
    ※ウニが崩れないように必要以上にかき混ぜない
  4. 最後に塩と酒で味を調えることで完成します。

とても簡単なレシピですが、たったこれだけの工程でウニとアワビの自然な旨味を味わうことができます。ちなみに、かき混ぜすぎるとウニがとけてしまうので、ウニを入れてからはあまり混ぜないよう注意してください。

アレンジ方法

『いちご煮』はそのままでも絶品ですが、余ってしまった時はアレンジして楽しむことも出来ます。例えば、いちご煮を使った炊き込みご飯や、パスタに加えれば濃厚な海鮮出汁を楽しむシーフードパスタに早変わり。また、卵を溶き入れて蒸せば即席の茶わん蒸しにもなります。

意外に幅広い料理にアレンジができるので、「缶詰を貰ったけどそのままは飽きたな」という時は色々な調理法で楽しんでみてくださいね。


いちご煮は缶詰でも売ってる

近年では、『いちご煮』は缶詰としても販売されており、家庭でも手軽に楽しめるようになっています。缶詰は温めるだけで本場の味が楽しめるため、八戸を訪れた観光客のお土産としても人気があります。遠方に住んでいても、缶詰を使えばいつでも郷土の味を楽しめるのは嬉しいですよね。缶詰でも、ウニとアワビの風味がしっかりと生きており、手軽に八戸の郷土料理を味わえますよ。


まとめ

『いちご煮』は、ウニとアワビという贅沢な海の幸を活かした八戸ならではの潮汁です。その名前の由来や歴史を知ることで、より一層味わい深く感じられるでしょう。今や全国的に有名になった『せんべい汁』に匹敵するおいしさなので、八戸を訪れる際にはぜひ地元の食文化に触れ、『いちご煮』を味わってみてください。その繊細な味わいと、海の香りが広がる一杯は、忘れられない食体験となるはずです。


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