山形県の名門・名家にルーツを持つ苗字30選

日本全国どこの土地でも、いわゆる「地元の名士」と囁かれるような名門・名家が存在します。「うちはごく普通の一般家庭です」という方でも、よくよく先祖を辿れば実は由緒ある武家の家柄だった…というのも珍しくありません。

今回の記事では、山形県内各地の名門・名家と呼ばれる苗字について調べてみました。「同級生にそんな苗字の人がいたなぁ…」なんてことがあったら実はその友達は良家のお家柄かもしれませんね…。

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山形県内の名門・名家につながる苗字30選（五十音順）

日本海側である庄内地方には豪商にルーツを持つ苗字、内陸部には有力武家につながる苗字が多い印象でした。

鮎貝（あゆかい）

出羽国置賜郡の国衆で、米沢伊達氏の家臣として最上家との領境に位置する鮎貝城（山形県西置賜郡白鷹町鮎貝）を居城としていた。その後伊達政宗の岩出山移封の際、盛次も柴田郡堤邑（宮城県柴田郡）へと移る。

秋野（あきの）

田川郡加茂村（鶴岡市）の豪商。後に酒造業も始め、明治末期から大正時代にかけては加茂町の町長も輩出した家柄。

鐙谷（あぶみや）

酒田湊（酒田市）で「鐙屋」の屋号で廻船問屋を営んでいた豪商。1807年から屋号である「鐙屋」から転じた「鐙谷」を苗字とした。復元改修された旧鐙屋は国指定史跡として保存・公開されている。

リンク：やまがた庄内観光サイト – 旧鐙屋

上杉（うえすぎ）

米沢藩主であった越後上杉家の家柄で、戦国大名 上杉謙信、豊臣政権五大老の一人 上杉景勝、米沢藩の財政立て直しで有名な米沢藩九代藩主 上杉鷹山など、著名な人物が多い名族。

大江（おおえ）

鎌倉殿の13人の一人として有名な鎌倉幕府の重臣「大江広元」を祖とする名族。大江町の地名との関係も指摘される。東根市を中心とした村山地方に多い。

置賜（おきたま）

置賜地方（米沢・長井・南陽など）にルーツを持つ一族。江戸期の豪農・庄屋層に分布。置賜地方に10人程度しかいないとされる激レアな苗字。

織田（おだ）

織田信長の末裔が高畠を経て1830年に天童に転じた一族。元天童藩主。

小野田（おのだ）

元禄時代に鶴岡城下（鶴岡市）で味噌・醤油醸造業で台頭した豪商。

風折（かざおり）

鶴岡城下（鶴岡市）で伊勢屋の屋号で米問屋として繫栄した豪商。

風間（かざま）

鶴岡城下（鶴岡市）で「金屋」の屋号で呉服・太物問屋として台頭した豪商。明治に入り貸金業を始め、本間家に次ぐ大地主としても有名だった。同家の貸金業の店舗兼住居だった丙申堂（へいしんどう）は国指定重要文化財として保存・公開されている。

リンク：旧風間家住宅 – 丙申堂（へいしんどう）

上山（かみのやま）

上山城（現在の山形県上山市）を本拠とした出羽の有力国人。現在はなぜか山形よりも岩手や青森に「上山」を名乗る家が多い。

酒井（さかい）

鶴岡藩（後の大泉藩）の藩主。徳川四天王・徳川十六神将の筆頭と称される酒井忠次（さかい ただつぐ）の流れを汲む家柄。酒田市の観光名所である山居倉庫は庄内藩主 酒井家の指図により豪商 本間家が建設したもの。国の史跡に指定されている。

リンク：【文化庁】文化遺産オンライン – 山居倉庫

寒河江（さがえ）

鎌倉殿の13人の一人として有名な鎌倉幕府の重臣「大江広元」の支流の一族で、寒河江荘を国人領主として支配した。別名：寒河江大江氏とも呼ばれる出羽の戦国大名。現在では山形県山形市を中心に県内に広く分布する苗字。

鮭延（さけのべ）

出羽国最上郡の国衆。現在の最上郡真室川町に鮭延城を築城し最上家と争うが敗れ、以降は最上家に属して最上郡北部を支配した。およそ10人ほどしか存在しないといわれる希少な苗字。

地主（じぬし）

もとは三河国（現在の愛知県東半部）出身で酒井氏の庄内転封に従い鶴岡に移住。江戸時代後期には多くの土地を所有する豪商となりつつ、家禄150石の藩士でもあった。現在東北では山形県庄内地方と秋田県に多い苗字。

白鳥（しらとり）

出羽国最上郡の白鳥城（山形市白鳥）城主。最上氏に属する。現在の東北地方では宮城県栗原市や青森県青森市に多く存在する。

大宝寺（だいほうじ）

出羽国田川郡の戦国大名。源頼朝に仕えた武藤氏が祖で、大泉荘の地頭となったことから大泉を名乗るが、南北朝時代に現在の鶴岡市馬場町に大宝寺城（後の鶴ヶ岡城）を築城し、以後大宝寺を名乗り庄内地方を支配した。

竹俣（たけまた）

米沢藩の家老で、戦国時代には上杉 謙信の側近として活躍した家柄。現在は山形県の他に福島県でもみられる苗字。

楯岡（たておか）

最上氏の庶流の一族で、出羽国楯岡城（山形県村山市楯岡）を領していた楯岡氏の流れを汲む苗字。戦国時代から江戸時代前期にかけての武将 楯岡満茂（たておかみつしげ）が有名。

千坂（ちさか）

室町時代から代々上杉家に仕える家臣で米沢藩家老の家柄。「忠臣蔵」に登場する千坂兵部が有名。現在では宮城県によくみられる苗字。

天童（てんどう）

出羽の戦国大名。天童城（現在の山形県天童市）を本拠とした。もともとは清和源氏新田氏流里見氏の流れを汲む家系だが、南北朝時代に最上氏から養子を迎えたことで、足利氏、斯波氏の流れを汲む存在となった。戦国時代末期に村山地方北部に一大勢力を築き、村山地方の有力国人同盟である「最上八楯」の盟主を務めた。現在は秋田県湯沢市や岩手県一関市に多い苗字。

戸沢（とざわ）

出羽新庄藩主。もとは秋田県の仙北地方の戦国大名で、1622年に新庄に移封される。智勇に優れ「鬼九郎」「夜叉九郎」の異名で恐れられた戸沢盛安（とざわ もりやす）が有名。現在でもそのルーツである秋田県仙北市によくみられる苗字。

延沢（のべさわ）

延沢城（尾花沢市）の主で、村山地方の有力国人同盟である「最上八楯」の一角を務めた名将 延沢満延（のべさわ みつのぶ） が有名。満延が最上家に引き抜かれたことをきっかけに最上八楯が崩壊したともいわれている。銀山温泉付近の延沢銀山遺跡にもその名前が残っている。絶対数が少ないが、現在は山形県の他に兵庫県や東京都に見られる苗字。

芳賀（はが）

鶴岡城下（鶴岡市）で古着・太物商を営んだ商家。代々町年寄を世襲し、江戸中期ごろまで鶴岡を代表する豪商の一人だった。

本間（ほんま）

酒田湊（酒田市）の豪商。「本間様には及びもないが、せめてなりたや殿様に」と詠われるほど多くの土地を所有し、当時は日本一の大地主といわれた一族。現在本間家の旧本邸が保存・公開されている。

リンク：本間家旧本邸公式HP

水野（みずの）

江戸幕府老中 水野忠邦（みずの ただくに）の一族。1845年から1870年の約25年間に渡って出羽山形藩の藩主を務めた。

最上（もがみ）

清和源氏斯波氏の流れを汲む戦国大名。室町幕府の羽州探題を世襲できる家柄で、第11代当主 最上義光（もがみ よしあき）の時代には山形藩57万石を領する大大名となった。現在は青森・秋田・山形の東北地方日本海側と宮城県に比較的多い苗字。

谷柏（やがしわ）

出羽国村山郡の国衆。最上家の家臣 谷柏直家（やがしわ なおいえ）が有名。最上氏と伊達氏の対立の際には和睦の使者を務め、義光と伊達晴宗・輝宗の対面の席にも出席している。

山家（やんべ）

出羽国村山郡山家村（現在の東村山郡）発祥の姓といわれる。伊達家の家臣として伊予国宇和島へ渡った事で西日本にも広まったといわれている。宮城県南部の蔵王町周辺に多い。

米津（よねきつ）

1798年から1870年頃まで長瀞藩（東根市）の藩主を務めた一族。

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参考書籍：47都道府県ご当地文化百科・山形県 – 丸善出版

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