【山形県遊佐町】鳥海山からの恵みで潤う庄内平野-遊佐・酒田
目次
鳥海山(ちょうかいさん)は、日本海の海抜0mからそのまま2,236mの山頂まで続く2つのピーク(東鳥海山新山・西鳥海山鍋森)を持つ珍しい山です。その姿の美しさから“出羽富士”と呼ばれています。活火山で、麓の遊佐・酒田・象潟(きさかた/秋田県にかほ市)、由利(ゆり/秋田県由利本荘市)などに暮らす人々は、時々怒りをぶつけるように火を噴き、大地を揺らす鳥海山を恐れるとともにまた、豊かな水をもたらしてくれる存在として、神様の宿る山と崇めてきました。
江戸時代の大噴火で現在の形になった鳥海山
鳥海山は55万年ほど前に活動を開始し、約16~2万年前には溶岩が西鳥海山(鍋森溶岩ドーム/なべもりようがんドーム/標高1,652m)の表面を覆ったとされています。約2万年前以降は、山体東部の東鳥海山が形成された時期で、約2600年前、東鳥海山の山頂部が崩壊して、その溶岩によって火口原(カルデラ)が形成され、その堆積物によって山麓の地形ができあがりました。東鳥海山にある2つの中央火口丘のうち、新山(しんざん/2236m)は、1801年(享和元年)の噴火で生じた溶岩ドームで、別名享和岳(きょうわだけ)と呼ばれています。
鳥海山噴火は、平安時代後期(900年代)まではたびたび起こっています。その後1600年代半では噴火の記録はなく、1659年ごろから再び活動を始めます。そして1801年には有史に残る大噴火が起きました。
山体や庄内平野に残る大噴火の痕跡
1800年から始まった水蒸気噴火は次第に激しくなり、1801年8月下旬に大爆発を起こし登山者8名が死亡しました。1804年(文化元年)には大地震(象潟地震)が起き、山麓地域に甚大な被害をもたらしています。
その後は大規模な噴火は起きていません。最近の噴火は1974年(昭和49年)の新山付近で起きた小規模な水蒸気噴火で、泥流と降灰が確認されています。また、1987年(昭和62年)には群発地震が発生しました。
活火山鳥海山は噴火や地震の度に大地の形を変え、人々に襲いかかってきました。痕跡は今なお断層や溶岩流など庄内地方ならではの地形として残っています。その特異な地形は地球の公園「鳥海山・飛島ジオパーク」に認定されています。
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- 鳥海山・飛島ジオパーク
- 電話番号:0184-62-9777(鳥海山・飛島ジオパーク 推進協議会事務局)
- URL:鳥海山・飛島ジオパーク
激しい爆発跡の溶岩ドーム新山
新山は、1801年の東鳥海山で起きた大爆発の際にできた溶岩ドームで、火口原から70mの高さがあります。新山まで登山することができ、登山道大平口(山形県遊佐町)、登山道鉾立(ほこだて)口(秋田県にかほ市)から約5時間30分、鳥海山大物忌神社(ちょうかいさんおおものいみじんじゃ)の山頂本殿横にある御室(おむろ)小屋(御室参籠所/おむろさんろうじょ)/宿泊施設)から約20分です。山頂本殿近くにある大きな岩は新山誕生時に飛んできた火山弾で300トンもの重さがあります。新山噴火がいかに激しかったかを物語っています。
雪解け水をたたえる火口湖の鳥海湖
鳥海湖(ちょうかいこ/鳥ノ海/とりのうみ)は、新山(東鳥海山)の西3kmほど、西鳥海山の標高約1,600mにある火口湖です。直径は200mほどで南北に長い楕円形をしています。水は降り積もった雪が溶けたもので、厳冬期には水深4.7mある湖底まですべて凍結する珍しい湖です。近くには鳥ノ海御浜神社が鎮座し、宿泊施設の御浜小屋(御浜参籠所)があります。
山腹を走る鳥海山の正断層群
鳥海山の山腹には火山特有の活断層群があります。西鳥海山の馬蹄の形をしたカルデラ(西鳥海馬蹄形カルデラ)から西の中腹にかけてと、月山森(1,650m)と呼ばれる付近に多く分布しています。鳥海山の活断層は正断層で、日本では九州に多く見られ、北日本では珍しい断層です。西山腹のものは洗沢断層と呼ばれ、落差最大約30mの崖が2.5kmに渡って続きます。月山森断層は最大落差約50mで長さ1.5kmです。
35kmも一直線に続く庄内平野東縁断層帯
庄内平野には平野の縁を縫うように活断層が続いています。庄内平野東縁断層帯と呼ばれ、鳥海山の麓遊佐町から南へ35kmほど、酒田市、庄内町、鶴岡市まで続いています。2022年現在庄内平野東縁断層帯での100年以内地震発生率は、北部で0%、南部で20%以内(文部科学省研究開発局地震・防災研究課 地震本部 平成21年10月19日公表)となっていますが、過去には1894年(明治27年)の庄内地震を引き起こしたともいわれており、活きた断層なので十分な警戒が必要です。
庄内平野を潤す鳥海山の豊かな水
遊佐町の中心部元町地区は、鳥海山を源流とする月光川の扇状地にあり、地下水が非常に豊富です。そのため井戸を掘ると水が噴き出し、その数は約300、1日に4,200トンもの湧出量があります。
遊佐駅前から月光川沿いの散策コース遊佐元町湧水群(まちめぐりパーク)は、14か所の自噴井戸を所有者からの厚意で自由に味わえます。ただし、検査はOKとなっていますが、殺菌していないので飲用は自己責任で。
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- 施設名称:遊佐元町湧水群(まちめぐりパーク)
- 所在地:山形県遊佐町JR遊佐駅周辺
- 電話番号:0234-72-5666(遊佐鳥海観光協会)
- URL:まちめぐりパーク
生活に欠かせない神の山からの恵み「神子の水」
神子の水は遊佐町の女鹿(めが)集落にある湧き水を利用した洗い場です。女鹿は神の山鳥海山の麓が日本海に沈み込む海岸線の集落で、湧き水は神の山から引いている水ということで“神泉の水”と名付けられています。湧水は6つの水槽に仕切られ、使い道によって分けられています。
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- 施設名称:神子の水
- 所在地: 山形県飽海郡遊佐町吹浦女鹿64
- 電話番号:0184-62-9777(鳥海山・飛島ジオパーク 推進協議会事務局)
- アクセス
- 車/山形自動車道酒田みなとICから国道7号線を秋田方面へ約25分
- 鉄道/JR羽越本線女鹿駅から徒歩約5分
- トイレ:なし
- 駐車場:なし
- URL:神子の水
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湧き水でできた牛渡川と丸池様
牛渡川(うしわたりがわ)は、鳥海山の日本海側すそ野にある全長4㎞ほどの短い川で、流れのほぼ100%が湧水です。水温は1年を通じて11℃ほどで、秋になると鮭が遡上します。
丸池様(まるいけさま)は牛渡川近くにあり直径は約20m、水深3.5mほどの湧き水でできた池です。牛渡川の源流のひとつで、ほとりには丸池様をご神体とする丸池神社があります。
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- 施設名称:牛渡川と丸池様
- 電話番号:0234-72-5666(遊佐鳥海観光協会)
- アクセス
- 車/山形自動車道酒田みなとICから国道7号線を秋田方面へ約25分
- 鉄道/JR羽越本線吹浦駅から車で約5分
- トイレ:あり(仮設)
- 駐車場:あり(無料)
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神の山・鳥海山をご神体とする鳥海山大物忌神社
鳥海山大物忌神社は、鳥海山の怒りを鎮めるために祈りを捧げた神社で、古墳時代後期の564年(第29代欽明天皇25年)に創建されたと伝わっています。本社の鳥海山大物忌神社山頂本殿は、新山近くの鳥海山山頂に鎮座し、麓には吹浦(ふくら/鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮)と蕨岡(わらびおか/鳥海山大物忌神社蕨岡口ノ宮)の2か所に“口ノ宮”と呼ばれる里宮があります。
平安時代後期ごろには出羽国一の宮に列せられ、出羽国の最高位の神社です。山頂の本殿は、伊勢神宮と同様に20年ごとに建て替えられています。
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- 施設名称:鳥海山大物忌神社山頂本殿
- 所在地:鳥海山山頂
- 電話番号:0234-77-2301
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- 施設名称:鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮
- 所在地:山形県飽海郡遊佐町吹浦布倉1
- 電話番号:0234-77-2301
- アクセス
- 車/山形自動車道酒田みなとICから国道7号線を秋田方面へ約20分
- 鉄道/JR羽越本線吹浦駅から徒歩約10分
- トイレ あり
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- 施設名称:鳥海山大物忌神社蕨岡口ノ宮
- 所在地:山形県飽海郡遊佐町上蕨岡松ヶ岡51
- 電話番号:0234-77-2301
- アクセス
- 車/日本海東北自動車道酒田みなとICから約20分
- 鉄道/JR羽越本線遊佐駅から車で約10分
- URL:鳥海山大物忌神社
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溶岩に彫られた海難事故を供養する十六羅漢岩
十六羅漢岩(じゅうろくらかんいわ)は、日本海に面した吹浦漁港近くの海岸にある鳥海山から流れ出た溶岩に彫られた磨崖仏です。16体の羅漢像(最高位の修行に達した聖者)と文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、普賢菩薩(ふげんぼさつ)などあわせて22体の仏様が彫られています。
磨崖仏は海難事故で亡くなった漁師たちの供養と海上安全を願って、吹浦海禅寺の寛海和尚が中心となって彫ったもので、明治元年に完成しました。
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- 施設名称:十六羅漢岩
- 所在地:山形県飽海郡遊佐町吹浦字西楯
- 電話番号:0234-72-5666(遊佐鳥海観光協会)
- 見学無料
- アクセス
- 車/日本海東北自動車道遊佐比子ICから約15分
- 鉄道/JR羽越本線吹浦駅から徒歩約15分
- URL:十六羅漢岩
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- 名称:鳥海山・飛島ジオパーク
- 電話番号:0184-62-9777
- URL:鳥海山・飛島ジオパーク
- 名称:遊佐鳥海観光協会
- 電話番号:0234-72-5666
- URL:遊佐鳥海観光協会