【岩手】鹿踊とは?特徴から踊りがもっと楽しくなるエピソードまで詳しくご紹介

日本の各地に伝わる伝統舞踊は地域によってさまざまに個性が異なりますが、岩手県に広く伝わる鹿踊もそんな伝統舞踊の1つです。

この記事では鹿踊がもっと楽しくなる、知っておきたいエピソードを3つご紹介します。


鹿踊とは?

岩手県の伝統舞踊「鹿踊」
岩手県の伝統舞踊「鹿踊」

鹿踊とは主に岩手県に伝わる伝統舞踊で、鹿頭とそれから垂らした布で上半身を覆い、ささらを背負った踊り手が、鹿の動きを表現するように上体を大きく前後に揺らし、激しく跳びはねて踊ります。

鹿踊は踊り手が演奏をするかどうかで幕踊りと太鼓踊りの2種類に大きく分かれますが、それぞれの特徴を表にまとめてみました。

 

伝わる場所

演奏

鹿頭

所作

特徴

幕踊り

岩手県北部~中部

しない

木製の角や家紋などの透かし彫りを配した木彫りの鹿頭

踊りに合わせて幕を手に持ち、大きく振る所作がある

柳の一種である木をカンナで薄く削って作った「カンナガラ」や、紙製の髪の毛「ザイ」が特徴

太鼓踊り

岩手県南部

する

本物の鹿角と馬の毛で出来た「ザイ」と呼ばれる髪の毛を付けた木彫りの鹿頭

踊りの中で、ささらを地に叩きつけ、悪霊を祓う所作がある

3m以上ある割いた竹に障子紙を貼って御幣に見立てたささらを背中に背負う

太鼓踊りはさらに大きく行山流、金津流、春日流の3つに分類されます。

元々共同体のお祭りで披露されてきましたが、現在では部活動として取り組む学校もあるため、時代の流れとともに鹿踊の形も変化してきていると言えるでしょう。


鹿踊がもっと楽しくなる知っておきたいエピソード

花巻鹿踊
花巻鹿踊

鹿踊を見るのがもっと楽しくなる、知っておきたいエピソードを3つご紹介します。

【episode1】鹿踊と「まれびと信仰」

前の項目でもご紹介した通り鹿踊に使用する鹿頭はどこか不気味さを感じさせますが、これは鹿踊が「まれびと信仰」の表れの1つではないかと考えられているためです。

「まれびと信仰」とは国文学者折口信夫が定義づけた言葉で、死霊が住む常世から人々を悪霊から守る祖先が毎年定期的にやってきて、人々を祝福してくれるという信仰のことを指し、日本人の信仰を探るための手がかりとして民俗学上でも重要なことと位置づけられています。

鹿踊は元々山々から住宅の庭にやってくるものとして行われ、悪魔を祓って場を清めた後五穀豊穣のお祈り、新盆供養、その他楽しい演目を行って場を和ませるなどの役割がありました。

今でもこの形の鹿踊が岩手県奥州市江刺区に残っています。

【episode2】鹿踊の演目

鹿踊の演目には目的に合わせてさまざまな演目があり、難易度もそれぞれに異なります。

幕踊りの主な演目は次の通りです。

  • 入端
  • 庭ぼめ
  • 小切
  • 引端

また太鼓踊りの主な演目は次の通りです。

  • 牝鹿(めじし)がくし
  • 案山子
  • 春駒
  • 鉄砲踊
  • 土佐 

このうち牝鹿(めじし)がくしはよく踊られる演目の1つで、「中立(なかだち)」と呼ばれる親鹿役と、6人の牡鹿役とで踊り、隠れてしまった牝鹿を牡鹿が探しまわりますが表現力が問われる演目と言われています。

【episode3】宮沢賢治の童話に描かれた「鹿踊」

岩手県出身の詩人・童話作家である宮沢賢治は鹿踊をモチーフにした作品「鹿踊りのはじまり」という作品を残しています。

「私」が西風による伝聞を語る形の作品ですが、鹿踊の本当の精神がテーマになっているとされています。

宮沢賢治は文字に色を感じたり、味やにおいに形を感じたりするといった感覚が混合する性質の「共感覚」を持っていたとされますが、鹿踊りのはじまりに描かれた「西風による伝聞」は音に言葉を感じる宮沢賢治の共感覚が表現されていると言われているのです。

人が自分と鹿との区別を忘れ一緒に踊ろうとすることにどのような精神が宿っているのかを、宮沢賢治の感じていた共感覚の世界から紐解きたい人はぜひ「鹿踊りのはじまり」を読んでみてください。

参考:青空文庫「鹿踊りのはじまり」


まとめ

鹿踊は大きく幕踊りと太鼓踊りの2種類に分かれ、お祭りや部活動などさまざまな形で現在も踊られていますが、まれびと信仰や演目、宮沢賢治の童話に描かれた鹿踊の世界観などにも目を向けると、より楽しめることがわかりました。

この記事も参考にして、ぜひ鹿踊の鑑賞をより楽しんでみてください。


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