歴史

【福島県伊達郡】伊達氏発祥の地、奥州街道の宿場町「桑折」

福島県伊達郡桑折町(だてぐんこおりまち)は、福島県の中通り地方(中央部)北部にある町です。

国の重要文化財に指定されている「旧伊達郡役所」 ©桑折町

桑折には古代(古墳時代~平安時代)・中世(鎌倉時代~安土桃山時代)の主要街道のひとつ、京都と東北地方(陸奥国/むつのくに・出羽国/でわのくち)を結んでいた東山道(とうさんどう)が通っていました。東山道は江戸時代以降、奥州街道と呼ばれ、桑折は秋田方面に向かう羽州街道(うしゅうかいどう)との分岐点だったため、宿場町桑折宿として大いに発展したのです。

「桑折」という地名の由来は不明ですが、伊達郡の郡家(こおりのみやけ/古代律令制度での郡役所)が置かれたことから、これが転じて“こおり”“桑折”という文字が当てられとの説があります。鎌倉時代には“桑折氏”が“伊達氏”から分かれて誕生したとされています。

鎌倉時代に桑折地方を治めた領主が「伊達」を名乗る

伊達家初代朝宗の墓。現在の五輪塔(ごりんとう)は江戸時代に伊達藩によって安置されたもの ©桑折町

伊達氏は源頼朝による奥州合戦(1189年・頼朝が平泉の奥州藤原氏を滅ぼした戦い)で戦果を挙げた常陸入道念西朝宗(ひたちにゅうどうねんさいともむね)が、伊達郡を与えられた際に伊達氏(だてし)を名乗ったことから始まったといわれています。仙台藩主の伊達政宗(だてまさむね)は、朝宗から数えて17代目に当たります。

伊達朝宗は、はじめ高子(伊達市)に入ったといわれていて、その後桑折に進出し、瓦葺きの寺院も建立しました。この寺は朝宗の菩提寺となり、墓所が営まれました。代々の当主は領地内のいくつかの地に居城を移しましたが、14代の稙宗(たねむね)が1532年頃「桑折西山城」を築いて梁川城から本拠を移しました。現在の跡本丸周辺には、稙宗の時代のものが残されています。

INFORMATION


  • 施設名称:伊達朝宗の墓所
  • 住所:福島県伊達郡桑折町大字万正寺字下万正寺 地内
  • 電話番号:024-582-2403(桑折町教育文化課生涯学習係)

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親子の争いから廃城になってしまった桑折西山城

伊達家14代当主稙宗が築城した「桑折西山城」跡地 ©桑折町

伊達氏14代稙宗が築城した桑折西山城は、戦国時代の伊達家全盛だったときの城で、標高193mの高舘山(たかだてやま)に本丸、二ノ丸、中館、西館を配置していました。本丸には稙宗が政治を行っていた建物が建てられていました。桑折西山城堀や土塁などで全体の守りを固めた、当時としてはかなり大がかりな城でした。城の周辺には家臣たちの屋敷が造られていたようです。

しかし、稙宗は息子の晴宗(はるむね)と対立し、親子の戦い(天文の乱/1542年~1548年)に敗れて桑折西山城を去り、家督を継いだ晴宗も、桑折西山城の室町幕府から廃城を命令されたため、米沢(山形県)に移りました。

桑折西山城の門だったとされる桑折寺山門 ©桑折町

現在「桑折西山城跡」には建物はひとつも残っていませんが、土塁や空堀などから桑折西山城の遺構が確認できます。「桑折西山城跡」から南へ1.5kmほどのところにある「桑折寺山門」は、廃城されたとこに移築された西山城の門だと伝わっており、福島県の重要文化財に指定されています。

INFORMATION


  • 施設名称:桑折西山城跡
  • 住所:福島県伊達郡桑折町大字万正寺字本丸ほか 地内
  • 電話番号:024-582-2403(桑折町教育文化課生涯学習係)
  • 見学自由
  • 文化財:国指定史跡

 

  • 施設名称:桑折寺山門
  • 住所:福島県伊達郡桑折町字新町32
  • 電話番号:024-582-2690(桑折寺)
  • 見学自由
  • 文化財:福島県指定重要文化財

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「おくのほそ道」に登場。松尾芭蕉が通った桑折宿

松尾芭蕉は飯塚(飯坂温泉)を訪れた後、仙台方面へ向かう際に桑折宿まで馬で移動したことを『おくのほそ道』の中で記しています。飯坂温泉では散々な目に遭い、体調不良のまま桑折宿に向かいました。桑折宿の法圓寺には、後に弟子が建立した「田植塚」が残されています。

奥州街道と羽州街道の分岐点、追分

右が奥州街道、左が羽州街道。整備された分岐点「追分」 ©桑折町

「奥州・羽州街道追分(おいわけ)」は、奥州街道と羽州街道との分岐点を2006年(平成18年)に整備・再現したものです。敷地内には江戸時代の道標を中心に東屋、案内看板などが設置されています。

INFORMATION


  • 施設名称:奥州・羽州街道追分
  • 住所:福島県伊達郡桑折町大字谷地字追分1
  • 電話番号:024-582-2403(桑折町教育文化課生涯学習係)

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国の重要文化財に指定されている明治時代の「旧伊達郡役所」

バルコニー部分は和風の入母屋造りになっているのが面白い「旧伊達郡役所」 ©ふくしまの旅

桑折は、街道はもちろん、近くに流れる阿武隈川の水運もあり、江戸時代中期以降伊達郡で生産された絹糸や蚕種(さんしゅ/蚕の卵)の集積地としても大いに賑わいました。1883年(明治16年)には伊達郡役所が置かれ、伊達地方の政治経済の中心地となったのです。

明治初期としては珍しいモダンな室内 ©桑折町

この伊達郡役所は1926年(大正15年)に廃止されましたが、その後も建物は県の出先機関などとして使われ、1969年(昭和44年)のその役割を終えています。

建物は一見洋風建築なのですが、バルコニーの屋根が入母屋造りになっているなど、和風建築様式が取り入れられている和洋折衷型(擬洋風建築/ぎようふうけんちく)になっています。中央の塔は明治時代に一度解体撤去されましたが、1979年(昭和54年)に復元されたものです。この建物は現存する郡役所として最大級のもので、しかも明治初期の和洋折衷建築として文化財的価値が非常に高いため1977年(昭和52年)に国の重要文化財に指定されています。

「旧伊達郡役所」は2011年(平成23年)の東日本大震災や2021年(令和3ねん)の福島県沖地震により一部被害を受け修復工事をしていましたが、2022年(令和4年)12月に工事が終わり、それ以降再開館される予定です。

INFORMATION


  • 施設名称:旧伊達郡役所
  • 住所:福島県伊達郡桑折町字陣屋12
  • 電話番号:024-582-5507(桑折町文化記念館)
  • 開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
  • 入館料:無料
  • 休館日:月曜日(月曜が祝日の場合その翌日)、祝日の翌日
  • 文化財:国指定重要文化財

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かつて日本三大鉱山と呼ばれ、わが国最大の銀産出量を誇った半田銀山

道路は羽州街道で、石垣上には銀を運ぶための軌道が架けられていた ©桑折町

桑折にある半田山(はんだやま・標高863m)にはかつて佐渡金山(さどきんざん/新潟県・世界遺産候補)や生野銀山(いくのぎんざん/兵庫県・近代化遺産)と並ぶ日本三大鉱山と呼ばれるほど産出量が豊富な半田銀山がありました。

半田銀山は平安時代に発見されたと伝わり、戦国時代から江戸時代初期にかけて当地を領有していた領主や藩主たちにより採掘され、領主たちの財源となっていました。江戸時代中期には江戸幕府の天領となり、佐渡金山や石見銀山などから優れた代官や技術者が派遣されて産出量が大幅に増え、銀山には大きな町ができました。

江戸時代後半からは鉱脈が枯渇し産出量が減ったのですが、明治時代になり薩摩出身の五代友厚が近代技術を導入して再開発し、再び黄金期が訪れます。この時代には日本一の産出量を誇る銀鉱山となったのです。

半田山の巨大な地滑りと半田銀山の廃鉱

崩壊した半田山や半田沼を整備した「半田山自然公園」©桑折町

しかし、銀山のある半田山に地滑りという異変が起きます。その兆候は1891年(明治24年)ごろから現れはじめ、1901年(明治34年)から1903年(明治36年)にかけて大規模な地滑りが起き、これによって生じた半田新沼が1919年(明治43年)に決壊し、半田銀山も大きな被害を受けますが、そのときは規模を縮小しながら再建されました。その後日本鉱業の経営に代わりましたが、1950年(昭和25年)に休山、採算の合うような新たな鉱脈が見つからず、ついに1976年(昭和51年)閉山となりました。

半田銀山の鉱石を運ぶトロッコの線路跡や橋を架けた石垣などが残る跡地は「半田銀山史跡公園」、半田山の崩壊や決壊した半田沼一帯は、67年という長い年月をかけて治山工事が行われるとともに、周辺が「半田山自然公園」として整備され、ハイキングやトレッキングなどの自然散策が人気になっています。

INFORMATION


  • 施設名称:半田銀山史跡公園
  • 住所:福島県伊達郡桑折町大字南半田字女郎橋 地内
  • 電話番号:024-582-2403(桑折町教育文化課生涯学習係)
  • 見学自由

 

  • 施設名称:半田山自然公園
  • 住所:桑折町半田山周辺
  • 電話番号:024-582-2126(桑折町産業振興課農林振興係)

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桑折町観光情報


桑折宿まちなか街道



NORIJUN

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旅が好きが高じて一昔前は旅行誌、今はWEBの旅行ライターをしています。取材では東北地方を中心に全国47都道府県すべて訪れていますが、楽しみは温泉に入り、古い町並みや暮らし、芸能工芸など日本の伝統文化にふれることです。

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