【岩手県】夜遅くに始まり朝まで続く?日本三大奇祭の一つ「黒石寺蘇民祭」

東北では冬のお祭りが数多く見受けられますがその中でも異彩を放ち、歴史も長いのが岩手県奥州市水沢黒石町の妙見山黒石寺で開催される『黒石寺蘇民祭』です。


歴史は長く何と1000年以上も続くお祭り

この黒石寺蘇民祭、歴史は長く何と1000年以上も続くお祭りです。

黒石寺蘇民祭

そもそも蘇民祭とは岩手県を中心に日本各地に伝わる裸祭りで、

「北海より南方に旅をしていた武塔神が人間に化身し、貧しい蘇民将来(そみんしょうらい)と裕福な巨丹(こたん)という2人の兄弟に一夜の宿を求めたところ巨丹はこれを拒み、蘇民将来は快く旅人を泊め粟飯で貧しいながらも精一杯もてなした。それから数年後、妻を娶り子を為した蘇民将来の所に再び武塔の神が現れ、自分の正体が建速須佐之男命であることを明かすと共に茅の茎で作った輪を身に付け『我は蘇民将来の子孫である』と唱えれば無病息災が約束されるであろうと告げた」

wikipediaより引用

とされ、この逸話を元に平安時代中期に蘇民祭の原型が出来上がったのではないか?とされています。

このお話にも登場する「武塔神」は地域によって正体も様々で奥州市水沢の黒石寺では「薬師如来であった、」と言い伝えられており、旧正月7日に五穀豊穣、無病息災を祈って行われるお祭りです。


祭の始まりは夜10時から、その内容とは?

ではこのお祭り、果たして祭行事の内容は?となりますが旧正月7日夜の22時からがスタートとなります。

以下祭りの順です。

裸参り 午後10時-

裸の男たちが鐘の合図で社務所前に集まり、各自角燈と割竹にはさんだ浄飯米を持ち、瑠璃壺川(山内川)で身を浄め「ジャッソー・ジョヤサ」の掛け声で、薬師堂、妙見堂を巡り、五穀豊穣、災厄消除の祈願を行います。

紫燈登 午後11時30分-

鐘の合図で行列をつくり腰をかがめて、「イヨーイヨー」の掛け声で、柴、たきつけ、ごま殻、塩をもって進みます。 本堂前に前日に境内の山中から採れた生松割木を井桁に3メートル以上の高さに2箇所積み重ねて火を焚き、若人、群集は裸になり柴燈木の上に登って火の粉をあびながら山内節をうたい気勢をあげ祈願します。

別当登 午前2時-

鐘の合図で社務所に集まり、手木が祓人に配られ、別当並びに蘇民袋を捧げもった総代が守護役、祓人に前後を守られ、ホラ貝、太鼓等を従えて薬師堂内陣に登り、護摩焚き供養を行い、参拝者、祈願者に護摩を授けます。

鬼子登 午前4時-

檀家の7歳になる男子2名に麻衣を着せ、籠手をつけさせ、木槌を持たせ、鬼面を逆さに背負わせ、素裸で水垢離をとりとった大人に背負われ薬師堂に登り、参拝します。

蘇民袋総奪戦 午前5時-

鬼子登の式が終わると、蘇民袋争奪戦が始まります。

五穀豊穣、無病息災を願って故事にならい、疫病の護符である將軍木を削って六方形とし、面毎に「蘇民」「將来」「子孫」「門戸」「也☆・」(そみんしょうらいしそんもんこなり)」の九字を書き、寸角に切って麻袋に入れた「蘇民袋」を檀徒の1人が抱き、外に向って「蘇民将来」と3度叫び終るや、裸体の若者達がこれを奪いあい、堂の外陣は八方から袋を目がけて飛びかかる肉弾相うつ、るつぼと化します。

堂の外陣で一揉み揉んだ挙げ句、裸形の群は堂外へ潮のごとく押し出されてきます。氷点下、寒冷積雪の中である。西に奔り、東に飛んで、生きものの如き袋の行く方を追って奪ったり、奪い返えされたり、汗みどろの争奪戦が明け方までくりひろげられます。白一色の中に展開される男性美の極致です。

かくて激闘3時間近くに及び、ようやく夜が明けそめる頃、取主が凱歌を挙げる時刻となり、袋を奪った者の地が五穀豊穣が約束されるといわれています。


一般参加は可能?

黒石寺蘇民祭はどの地域の方でも当日申込で参加は可能です!

祭当日午前0時から現地受け付け会場で登録が可能です。

参加が決まったらしきたり、ルール、参加方法を再度しっかりと理解しよう!

ただし、参加する為には、どの祭でもそうですがしきたり、ルールがあります。

参加を検討される方は詳細をしっかりと調べましょう。

これを守れないようでただ裸になる事を目的とするのであれば祭参加は控えましょう。

原則的には祭の一週間前から精進潔斎に務めなければならず、肉・魚・ニラやニンニクのような臭いの強い食物、或いはそれらを調理した火を通した食物を口にすることが禁じられています。

祭りに参加するのですから精進潔斎を厳守し、宗教行事である事をしっかりと理解することが大事です。


まとめ

水沢黒石町は岩手県の世界遺産「平泉」の隣町でもあり、昭和40年より蘇民祭は平泉の毛越寺が中心となって現在の執行方法となっています。

温泉施設、旅館も多数あるエリアでもあり、冬には最高の旅行となることは間違いなし、もちろん見物だけでも大丈夫ですのでお時間の合う方は是非一度訪れてみてはいかがでしょうか?

祭りに参加される方は精進潔斎を厳守し、宗教行事である事をしっかりと理解し参加しましょう!

黒石寺<Information>

  • 名  称:天台宗 妙見山 黒石寺
  • 住  所:岩手県奥州市水沢黒石町山内17
  • 電話番号:0197-26-4168
  • 公式URL:https://kokusekiji.jp/

Google Map


関連記事一覧