【福島県福島市】飯坂温泉の名産品「ラジウム玉子」とは?ただの温泉玉子と侮るなかれ
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福島県福島市にある温泉郷「飯坂温泉」には「ラジウム玉子」という名物があります。黄身はねっとりと濃厚な味わい。白身はつるりとなめらかなのど越し。あなたのイメージする温泉玉子とはワケが違う、オンリーワンな逸品です。
今回はラジウム玉子の魅力を深掘りします。
飯坂温泉のラジウム玉子とは?
「ラジウム玉子」…この、いかめしい名前の食べ物は、一体何者なのでしょうか。
その正体は、一般的には温泉玉子と呼ばれる食べ物です。しかし飯坂温泉で作られるラジウム玉子には、ポピュラーな温泉玉子との違いがあります。
- うまみが濃縮された黄身
- トロっと加減が絶妙な白身
- 生臭さがなく混じり気のない味わい
特に特筆すべき点は、黄身のうまさでしょう。箸で割ると、オレンジ色を帯びた黄身がねっとりと現れ、見ただけで容易に「味の濃さ」が想像できます。そして白身部分は、つるりとなめらか。炊きたてのほかほかご飯の上にラジウム玉子を乗せ、付属のタレをひと回し。生たまごよりも玉子本来の味を実感できる「ラジウム玉子丼」の完成です。ぜひこの「口福(こうふく)」を味わっていただきたい…!
このラジウム玉子のおいしさは、「こだわりの製造方法」によってつくられています。ラジウム玉子を製造する阿部留商店では、開発当初の製法を今も受け継ぎ、以下のこだわりを守り続けているのです。
- 餌からこだわった鶏卵を使用
- ラジウム玉子の製造に適した温度の天然源泉を、100%使用
- 鍛え抜かれた職人の技で、源泉温度・気温などが変化しても一定の品質を保持
- ヒビやワレを確認しながら一つひとつを手包みで包装
このような製造者の熱い思いとたゆまぬ努力が実を結び、いつしか旅館の朝食や土産品の定番として定着。ラジウム玉子は飯坂温泉の看板商品となっていきました。複数のメーカーが製造していますので、食べ比べてみてもよいかもしれません。
ちなみに、ラジウム玉子の「ラジウム」とは、キュリー夫妻が発見した元素。日本で初めてラジウムが確認され、学会でラジウム泉として発表されたのが、飯坂温泉だったと言われています。
なぜ福島市民はラジウム玉子への愛が深いのか?
福島市民にとって、ラジウム玉子は、あくまでもラジウム玉子。温泉玉子とは一線を画す存在です。福島市民がラジウム玉子を愛する理由の1つとして、「あまりにも身近な存在であること」が挙げられます。
一般的に温泉街の名物といえば、温泉まんじゅう然り、「観光客向け」で「非日常的」なイメージをもつことが多いのではないでしょうか?しかし、福島市民とラジウム玉子は、常日頃から「濃密」な関係をもっています。
市内のスーパーマーケットでは、常にラジウム玉子の姿アリ。食べたいと思ったなら、いつでも買えます。時には学校給食にも出されるほど、「常にそばにいる存在」なのです。そんじょそこらの恋人よりも、距離感が近いかもしれませんね。福島市出身である筆者は、ある程度の年齢になるまで、「ラジウム玉子」が全国区の言葉だと勘違いすらしてました。
濃密な玉子と、濃密な関係を築く福島市民。とろりと絡みつく贅沢なアイツは、今日も福島市の多くの食卓で、たくさん愛でられていることでしょう。
ラジウム玉子を産んだ飯坂温泉とは
福島市の北部に位置する飯坂温泉は、歴史の深い温泉です。宮城県の鳴子温泉・秋保温泉と共に、奥州三名湯に数えられています。摺上川の両岸に広がる、名前の通り「坂」の多い温泉街です。
飯坂温泉へのアクセスは、車でなら、福島市街地から20分ほど、東北自動車道福島飯坂インターチェンジから10分ほど。JR福島駅から福島交通飯坂線(通称:飯坂電車)へ乗りこみ、電車旅もおすすめ。レトロ感満載の銀色の車体に揺られ、のどかな風景を楽しめます。
飯坂温泉の泉質は弱アルカリ性の単純泉。クセの少ないお湯です。各旅館で日帰り入浴等も行っていますが、より「らしさ」を楽しみたいのであれば、9つある共同浴場を利用するのもアリです。早朝6時~夜10時まで利用可能なのもうれしいポイント。
しかし1つだけ注意してほしいのが…飯坂温泉は「お湯が熱い」こと。地元っ子は気持ちよさそうに浸かっているお湯でも、慣れてない人にとってはめちゃくちゃ熱い…!ということもザラです。共同浴場のなかには、ぬるめの浴槽も用意している場所もあります。熱さ耐性に自信がなければ、そちらの利用もご検討ください。
Google Map(飯坂温泉)
福島市のソウルフード「ラジウム玉子」をご賞味あれ
今回は福島市飯坂温泉の名物「ラジウム玉子」をご紹介しました。
一般的な温泉玉子とは異なるアイデンティティーをもつラジウム玉子。福島市内で根強い人気を誇っているのは、そのオンリーワンのおいしさゆえ。福島市、そして飯坂温泉を訪れる際には、ぜひ召し上がってみてくださいね。