【秋田県大仙市】縁結び・子宝・安産と、女性の生涯を守る神様「境の唐松さま」

秋田県大仙市協和にある「唐松神社(からまつじんじゃ)」は、女性の生涯を守る「女一代守神※」であり、縁結び、子宝、安産の神、地元では「境の唐松さま」とも呼ばれ親しまれています。


女一代守神(めいいかたもりのかみ)とは、女性の生涯を守る神様のことで、縁結びや子宝、安産にご利益があるとされています。


秋田県では小野寺氏や佐竹氏の崇敬社であるとされていますが、平安時代後期、神仏習合‹2›の「唐松山光雲寺」となり、定朝作の不空羂索観音像坐像も祀られ、江戸時代には秋田六郡三十三観音霊場の18番札所に数えられましたが、神仏分離‹3›の際に愛宕神社と唐松神社の二社に分社されました。


※‹2›-神仏習合(しんぶつしゅうごう)とは、日本土着の神祇信仰(神道)と仏教信仰(日本の仏教)が融合し一つの信仰体系として再構成された宗教現象のことを言います。

※‹3›-神仏分離(しんぶつぶんり)とは、神仏習合の慣習を禁止し、神道と仏教、神と仏、神社と寺院とをはっきり区別させることを言います。明治新政府により出された神仏判然令に基づき、全国で公的に行われました。


唐松神社の由来は韓服宮(からまつのみや)という名からきており、伝承ですが神功皇后の三韓征伐(新羅、百済、高句麗)で「韓国(からくに)を征服したこと」を讃えて膽咋連(いくいのむらじ)が社を建立した故事に由来しています。現在の「唐松神社」の名で記録されるようになるのは1509年(永正6年)以降です。なお膽咋連は三韓征伐の際、懐妊中の神功皇后に腹帯を献上し後に下賜され、これが秋田物部氏に伝わり神宝とされたといわれています。

後の応神天皇が生まれた際にはこの腹帯が唐松神社のご神体となり、子授安産の守り神として祀られるようになりました。

以上の理由から秋田県大仙市協和の唐松神社は全国から参拝者の絶えない由緒ある神社になります。


この日、私は前日に大仙市大曲に一泊しており、その際に地元の方に周辺の立ち寄り先を聞いた際に「せっかくだから唐松神社に行ってみたら?」という勧めでここまで来ました。

まさかここまで幻想的で、不思議な場所だとは思ってもいませんでした。今回はふらっと立ち寄った「唐松神社」のご紹介です。

160m続く唐松神社の老杉の参道

唐松神社の参道は大仙市協和の住宅街から入れます。

参道にある杉は樹齢約100~350年になり、1679年に佐竹藩主が植えたと伝わっています。

参道を真っすぐに進むと鳥居が見えてきます。

そしてさらに先へと進むと拝殿になりますが途中に唐松山天日宮の鳥居が見えます。

神仏習合のなごり?唐松山天日宮

唐松神社に隣接する「唐松山天日宮(からまつさんあまつひのみや)」は物部家邸宅の庭園内に位置する物部家ゆかりの神様を祭る神社になります。佐竹義処の唐松神社の移転の際に唐松山光雲寺を別当(管理者)として現在の場所に移築、後に氏神とされ秋田物部氏の邸内祭神となりました。

池の真ん中にひっそりと佇む姿は幻想的です。現在の社殿は1914年に再建された剥面神明造りになり、かつて大和の地に建立されたものを再現したといわれています。石垣は講中や崇拝者から奉納された天然石、約10万個を積み上げて造られたもので、庭園は1932年に完成しました。

社殿の裏側には子を授かる「抱石男石(写真左)」、縁結びと安産をかなえる「玉鉾石(写真中)」、子宝に恵まれる「女石(写真右)」の3体の抱石があり、御神体に直接お参りすることができます。お参りするときには願い事を唱えながら男性は右回りに進んで玉鉾石を、女性は左回りに進んで抱石男石と玉鉾石を触るという手順を3回繰り返します。

唐松山天日宮を後にし、唐松神社拝殿へと向かいます。

他では見られない稀な作り、唐松神社拝殿

唐松神社の拝殿は、他の神社とは異なり一段低い窪地に置かれており、下り参道になります。そして拝殿と本殿が一棟となった造りで全国的にも珍しい神社ではないか?と思います。お参りしているとタイミングよく神主さんに合うことができました。

神主さんは「拝殿内を見学しても大丈夫ですよ。」とのこと、ありがとうございます。とお伝えしお言葉に甘え、中を見学することにしましたが私はここで驚愕の様子を見ることになります。

そもそも今回、唐松神社に立ち寄った理由は「地元民からの勧め」のみ、今はこうやって記事に書いているのでその言われなど理解していますが参拝した当時はまだ何の神社かも知らない状況。中に入りここで私は唐松神社の所以を知ることになります。

縁結び、子宝、安産の神、「境の唐松さま」

見てくださいこの鈴。これぞまさに「鈴なり」。大きさは2mを超えるのではないでしょうか。

これはご祈祷後に子を授かった方などが奉納した鈴で、古いものでは江戸時代に奉納されたのもあるみたいです、他にも近代では手作りの鈴緒を付けた鈴などが奉納されています。

全国から様々な鈴・鈴緒が奉納されており、唐松神社が子宝祈願の神社として信仰が厚いことが伺えます。

「なんじゃこりゃぁ~」と度肝を抜かれた私はお辞儀をし、唐松神社を後にしました。

神聖な雰囲気に包まれ、自然の美しさをも満喫することができる秋田県大仙市協和の「唐松神社」、一度訪れる事おススメします。

Information

  • 名称 唐松神社
  • 所在地 〒019-2411 秋田県大仙市協和境下台94
  • 創建 伝 982年(天元5年)
  • 例祭 5月3日
  • 御祭神 
    • 軻遇突命(かぐつちのみこと)
    • 息気長足姫命(おきながたらしひめのみこと)
    • 豊宇気姫命(とようけひめのみこと)
    • 高皇魂命(たかみむすびのみこと)
    • 神皇魂命(かみむすびのみこと)

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