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夏の岩手の代名詞である盛岡さんさ踊りは、「東北5大祭り」の中で最も早い8月1日~4日の日程で東北の夏を最初に盛り上げてくれるお祭りです。
今回はそんな盛岡さんさ踊りの歴史や種類などを詳しくご紹介します。
さんさ踊りの由来
さんさ踊りのルーツは「鬼退治」にあるといわれています。
その昔、盛岡城下では”羅刹(らせつ)”という鬼が悪事を働いており、困り果てた人々は三ツ石神社の神様に鬼退治を祈願します。
すると願いを聞き入れた神様は羅刹を捕まえ、境内にある大岩(三ツ石)に括り付けました。
捕らえられた羅刹は二度と悪さをしないと誓い、その証として大岩に自分の手形を押して逃げ去っていったそうです。
平穏な暮らしを取り戻した人々は大いに喜び、鬼が手形を残した大岩の周りを「さんさ、さんさ」と言いながら踊り囃したのがさんさ踊りのはじまりといわれています。
なお、このエピソードは「岩に手形」で岩手県の名前の由来であるとも伝えられています。
ギネス世界記録保持!世界最大の太鼓パレード
盛岡さんさ踊りは2014年に「和太鼓演奏者数最多(Largest Japanese drum ensemble)」でギネス世界記録に認定されています。
2007年にも参加者2,571人で一度ギネス認定されていましたが、2011年に熊本市で行われたイベント「三千人太鼓」が参加者2,778人を集めさんさ踊りの記録を更新。
ギネス世界記録奪還と東日本大震災からの復興を願い、2014年に岩手県のみならず全国各地から多くの参加者が集結し、これまでの記録をはるかに上回る3,437人で再度栄光を取り戻しました。
盛岡さんさ踊りってどんな踊り?

盛岡さんさ踊りは昭和53年にスタートしたお祭りですが、さんさ踊り自体の歴史は古く、今から300年以上も前の南部藩時代から盛岡市とその周辺地域でお盆などに踊られていたといわれています。
さんさ踊りの種類は大きく「伝統さんさ」と「統一さんさ」の2つに分けられます。
- 伝統さんさ
南部藩時代から各地域に伝わる踊りで、衣装や踊り方が地域ごとに異なります。
貴重な郷土芸能である伝統さんさを後世に伝えていくための保存会が各地に存在し、岩手県指定無形民俗文化財に4団体、盛岡市指定無形民俗文化財に15団体が登録されています。
- 統一さんさ
昭和53年の盛岡さんさ踊りの始まりに合わせて作られた踊りです。
各地域の伝統さんさを参考にしながら、誰もが一緒に踊れる振付けとして考えられました。
統一さんさには4種類の演目があります。
一番 統合さんさ
二番 七夕くずし
三番 栄夜差(えやさ)踊り
四番 福呼(ふっこ)踊り
さんさ踊り期間中は統一さんさによる圧巻のパレードはもちろん、歴史と伝統の舞いが光る「伝統さんさ踊り競演会」も行われています。
幸せを呼ぶ呪文?「サッコラ チョイワヤッセ」の掛け声の意味とは
さんさ踊りでは踊り手も太鼓の叩き手も「サッコラ チョイワヤッセ」の掛け声を出しながら踊っています。
「サッコラ」を漢字で表すと「幸呼来」、「幸せを呼ぶ、来る」という意味になるんです。
他にも「ハラ、ハラ、ハラセ!」という掛け声がありますが、こちらには「邪気を祓う」という意味があるんだとか。
邪気を払い、幸せを呼ぶ縁起の良い掛け声、太鼓のリズムに合わせてぜひ一緒に声にしてみましょう!
さんさ踊りで使われる楽器

さんさ踊りの演奏は太鼓、笛、鉦(かね)で構成されています。
その中でも祭りの代名詞ともいえる太鼓は直径が約50㎝あり、重さは約7㎏。
7㎏というと、500ml入りのペットボトル約14本分にもなります。
実際に太鼓の叩き手としてパレードに参加した経験がありますが、その重さはなかなかのもの。
身体を左右に振ったり、片足で飛んだり跳ねたりしながら太鼓を叩き、パレードの約1㎞を練り歩きます。
まとめ
さんさ踊りは鬼伝説が多く残る岩手ならではのエピソードをもつ喜びの踊りです。
世界的に新型コロナウイルスという災いに苦しめられている現代。
鬼を退治して幸せを呼び寄せた当時の盛岡の人々にあやかって、ぜひ一緒に「サッコラーチョイワヤッセ」の掛け声で東北の短い夏を楽しみましょう!