
実際に行ってみた、青森冬の三大まつり「八戸のえんぶり」現地レポ【青森県八戸市】
東北には様々な「おまつり」があり、夏は秋田の竿灯まつりに山形の花笠、それに青森のねぶたや盛岡さんさ踊り、それに仙台七夕など各地多種多様な「おまつり」があります。
厳しい冬が続く東北では「夏のおまつり」ばかりに目がいくことと思いますが、青森県八戸市には国の重要無形民俗文化財に指定されている「八戸えんぶり」という地域に伝わる豊作を願う郷土芸能・おまつりがあります。
今回は実際に八戸えんぶりを見に青森県八戸市まで行ってきましたので皆様に「八戸えんぶり」の魅力をご紹介しようと思います。
八戸えんぶり?青森の冬のおまつり?

現地レポ!の前に、八戸えんぶりについてご説明します。まず、「えんぶり」という名は田の土を平らにならすためのT字型の農具「朳(えぶり)」が名前の由来といわれ、その名の通り、「朳」を使って稲の豊作を祈願する神事芸能の事を言います。

「えんぶり」は田植え前の豊作を願う予祝芸能
また、「えんぶり」は予祝芸能(あらかじめ祝福することで、そのことの実現を祈願する芸能・信仰)であるため毎年、田植え前の2月17日から20日の4日間開催され「冬のおまつり」とも言われています。
「えんぶり」の演目は種まきから始まる稲作の様子を一つの物語として表現したもので組によって若干の違いもありますが、基本は以下4つからの構成となります。
1 摺りこみ
えんぶりを始める口上を、太夫のリーダーである藤九郎が述べながら入場する導入部。
2 摺りはじめ
年の初めの祝い歌に始まり、苗代に種をまき、馬に田を耕させる田植え準備を表す摺り。
3 中の摺り
育った苗を田に植えることを表す摺り。
4 摺りおさめ
稲刈りを終え、俵を蔵に積むまでを表す摺り。宝物を手に入れ「諸国の宝を摺りよせた」と唄い、収穫のお祝いと豊作祈願をします。
5 畦留め(くろどめ)
大事な田から水が漏れないように、呪文の言葉を唱える「畦留め」でえんぶりは終わります。
※えんぶりは組単位で行われ、「親方」「太夫」「舞子」「お囃子」などの総勢20〜30人で構成されます。
※上の「藤九郎」とは「太夫」のことを指します。
尚、今回は「八戸えんぶり」としてご紹介しておりますが、「えんぶり」とは青森県八戸市一円を中心とする青森県南部地方各地で広く行われる予祝芸能の一種であり、今回私が訪れたのは八戸市の「えんぶり」という事をお忘れなきよう。
現地レポ!八戸えんぶり!

八戸えんぶりの開催期間は毎年2月17日から20日の4日間ですが、私が訪れたのは3日目の2月19日、本来であれば初日の2月17日に下の写真のような八戸市中心街を練り歩く「えんぶり行列」を見たかったのですがスケジュールと合わず、、3日目での観覧となりました。
初日の盛り上がりが見れず悔しいところもありますが、八戸えんぶりを見れることに変わりはありませんので人生初の八戸も一緒に楽しもう!と気持ちを切り替え八戸へと降り立ちました。

今回の日程で「八戸えんぶり」の観覧スケジュールは来る前に既に決めています。まずは「史跡根城の広場」にて開催される「史跡根城えんぶり」と「更上閣」にて夕方から開催される完全予約制の「お庭えんぶり」です。
史跡で体験!八戸えんぶり!

仙台駅から東北新幹線に乗車し八戸駅に10時頃到着、まずは予定していた史跡根城の広場での「史跡根城えんぶり」を見に行きます。演目開始は11:00から、30分ほど前からすでにお客さんたちが続々と集まってきています。
ちなみに、「史跡根城えんぶり」は開催期間中、中日の18日と19日に公演されますが午前中、11:00~12:00のみとなっています。
観覧料も無料とはなっていますが、別途「史跡根城」への入場料が八戸市外の方に限り大人:250円、大学・高校生:150円かかりますのでご注意を。
私も観覧者にまざり人生初の「八戸えんぶり」を今か今かと待っていると、、、

来ました!えんぶり組だ!
下調べもほとんどしてない私はこの後も続く行列にビックリ、後々調べると「えんぶり」は組によってまちまちですがそれぞれに役割があり、平均でも20~30名ほどで演舞をするそう。

4つの構成からなる「えんぶり」は時間にして30分ほど?でしょうか。厳しい冬を乗り越えて久々に町に響き渡る太鼓の音に感動し、興奮すらしている私、うん、見に来て良かった。と納得しました。これだったら夕方から更上閣にて講演される「えんぶり」も楽しみです。

中盤頃に演舞される「えびす舞」、沿岸地域だからか農業だけではなく一本釣りの表現も演舞に組み込まれています。
ちなみに、「えんぶり」と言ったら一番目立つのは頭の烏帽子棒と言ってもいいと思います。写真下、烏帽子のサイドに花飾りが付けられていますが、これは「太夫(藤九郎)」の証とされています。演舞のリーダー的なことでしょう。

夕方からはちょっと贅沢に「お庭えんぶり」

午前に「史跡根城えんぶり」を見た私は、夕方から開催される「お庭えんぶり」まで時間が空いていたため市内の探索をします。が、ここで話すと長くなるので市内探索のお話はまたの機会に、
冒頭でも今回の「えんぶり」のスケジュールを説明していましたが、夕方からは国の有形文化財にも登録されている「更上閣(こうじょうかく)」にて開催される「お庭えんぶり」へと向かいます。
「お庭えんぶり」は開催期間中、全日程で行われ、夕方の17:00~18:10と19:15~20:20の一日二回の公演になります。「お庭えんぶり」は無料での観覧はなく、完全前売制、チケット購入(3,000~3,500円)での観覧になります。

「お庭えんぶり」の特徴は何と言っても「殿様気分」で観覧できるところ、しかも特典付きです。何だったら酒類も会場内で販売されているので昼間とは違った夕暮れの幻想的な会場でお酒を飲みながら見れる。こんな贅沢な事、、、、嬉しい限りです。

特典の甘酒とせんべい汁で冷めた身体を温めていると、司会者が現れいよいよ演舞開始。

日中に根城で見た「えんぶり」とは違い5人構成、日中の「横町えんぶり組」は3人構成で一人一人ゆっくりと観覧できましたが今回演舞する「糖塚組・中居林えんぶり組」の講演は篝火もあり、幻想的でまた違った迫力があります。

18時過ぎには「お庭えんぶり」公演を終了。このあと私は一人で初の八戸の夜へ消えていきました。
「青森冬の三大まつり、八戸えんぶりとは?」からスタートした今回の旅、しかも初八戸、厳冬の町で春を待ち望み、願い、受け継がれてきた「芸能」。夏の賑わいだけではない、冬の幻想的なお祭り「八戸えんぶり」は一度訪れることをお勧めします。
