歴史

【秋田県秋田市】秋田市の基礎は佐竹義宣が新たに造り上げた久保田城の城下町

復元された久保田城大手門。千秋公園内にあり桜の名所としても知られる ©秋田市

秋田市は、「佐竹義宣が国替えになった1602年に始まる」と秋田市ホームページに書かれています。

佐竹義宣(さたけよしのぶ)が秋田の地へやってきたのは1602年。江戸幕府の将軍徳川家康に命じられ、長年住み慣れた常陸国(ひたちのくに/茨城県)から一族郎党を引き連れて引っ越して来ました。佐竹氏は豊臣秀吉に気に入られていたので、常陸国では約54万石もの石高を誇り、大きな勢力を持っていました。しかし、関ヶ原の戦い(1600年)では、秀吉・家康どちらにも加勢しないという曖昧な態度をとってしまい、勝利した家康の心証は悪く、20万石に減らされた上に当時最もへんぴだった北国秋田(出羽国)へ行くことになったのです。

秋田藩の領地 秋田領六郡絵図 所蔵:秋田県立博物館

秋田転封後すぐに始まった久保田城の建立

秋田は当時、秋田氏という豪族が支配していたのですが、佐竹氏が秋田に国替えを命じられたと同時に、佐竹氏と入れ代わるように常陸国への移動を命じられたのです。秋田氏は土崎湊(つちざきみなと・現在の秋田市土崎港)に湊城を築き本拠としており、義宣も当初は湊城に入りました。

しかし、50万石以上の大名だった佐竹氏の家臣たちが住むには、湊城があまりにも手狭だったようで、義宣はすぐに久保田といわれた地に新しい城を築くことにしました。築城は1603年にはじまり1631年頃まで続きました。

はじめから天守を持たなかった久保田城。堀は自然の川を改修

久保田城図 所蔵:秋田県立博物館

当時、現在秋田市となっている地域の中心地は、雄物川河口にある土崎湊(つちざきみなと)であり、湊城もこのエリアにありました。しかし、義宣はそこから少し離れた雄物川の支流旭川の河畔にある久保田という地に城を築き、新たな町造りを始めたのです。

本丸に選ばれたのは神明山という小高い丘の頂上で、理由ははっきりとしませんが、義宣ははじめから天守を建てませんでした。本丸を中心に、その南東側に二ノ丸があり、本丸、二ノ丸を内堀が囲んでいます。本丸の北側には三の丸があり、東側を外堀が囲み、北西側は旭川が作る湿地帯になっています。湿地帯は天然の要害になっていました。堀は天然の川を長年の工事で堀に改修したといわれています。また、久保田城は石垣がないのも特長のひとつとなっています。

久保田城建立と同じくして城下町の整備が始まる

城下絵図(宝暦13年) 所蔵:秋田県立博物館

義宣は久保田城を囲むように町作りをします。まず城の周りに内町といわれる侍町を構築、町人は城の西側、旭川を挟んだ対岸に住まわせました。町人町は外町(とまち)といって、土崎湊から商人を呼び寄せ町造りをしたといわれています。町は職業別にまとめられていて、非常に整然とした造りになっていました。

外町のさらに外側には寺院が配置されています。寺院は土崎か移転してきた寺院が多かったのですが、常陸国から佐竹氏に同行してきたところもありました。

久保田城(千秋公園)からの現在の秋田市街 ©秋田市

明治時代の大火でほとんどの建物を焼失してしまった久保田城と城下町

秋田藩(久保田藩)は、明治維新の戊辰戦争(ぼしんせんそう/1868年~1869年)で東北地方としては数少ない新政府軍に加わりました。会津藩をはじめ庄内藩、南部藩などの東北の各藩は奥羽越列藩同盟(おううえつれっぱんどうめい)を組んで新政府に対抗します。秋田藩もはじめは同盟に参加し政府軍と戦っていましたが、後に脱退し新政府軍に加わったのです。

戊辰戦争は新政府軍に軍配があがったのですが、その戦いで多くの城や町、集落は破壊されてしまいました。久保田城は、同盟軍からの攻撃を受けるもほとんど被害がなかったといわれています。しかし、1880年(明治13年)に起きた大火で久保田城や内町の建物は、御物頭御番所と裏門を残してことごとく焼失してしまいます。また、1886年(明治19年)に起きた俵屋火事(たわらやかじ)と呼ばれる火災で寺町と外町の建物はほとんど焼けてしまいました。その後も何回もの火事に見舞われ、残念ながら秋田市内には古い建物がほとんど残っていないのです。

久保田城は大火の後、千秋公園(せんしゅうこうえん)として整備され、いくつかの建物が復元されています。

久保田城跡地を造園し、日本庭園として再設計した「千秋公園」

千秋公園案内図 ©秋田市

久保田城の跡地を整備した公園です。本丸などほとんどの建物が火事によって失われてしまった久保田城跡を、1896年(明治治29年)、近代公園設計の先駆者長岡安平(ながおかやすへい)が日本庭園として設計した公園になっています。千秋公園の千秋とは秋田の<秋>に長く続く(長久/ちょうきゅう)という意味の<千>と合わせたもので、秋田県出身の漢学者狩野良知(かのうりょうち)が命名しました。

園内には、本丸の石段や門跡、御物頭番所、堀の一部などが残っていて、御隅櫓(おすみやぐら)や、表門なども復元されています。桜の名所として知られていて、入園は無料です。

INFORMATON

  • 施設名称:千秋公園
  • 所在地:秋田県秋田市千秋公園1-1
  • 電話番号:018-888-5753
  • 入園無料
  • 年中無休
  • URL:千秋公園
  • アクセス:
    • 鉄道/秋田新幹線・奥羽本線秋田駅から徒歩でポケットパークまで約5分、二ノ丸まで約15分
    • 車/秋田自動車道秋田中央ICから車で約15分

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千秋公園内に残る唯一の江戸時代の建物「御物頭御番所」

久保田城跡で唯一残る江戸時代の建物「御物頭御番所」 ©アキタッチ

御物頭御番所(おものがしらごばんしょ)は、千秋公園内に唯一現存する江戸時代の建物です。久保田城内の火災の消火等を担当していた物頭足軽の詰所だったところで、江戸時代中期に建てられたものと推定されています。秋田市指定文化財です。

INFORMATON

  • 施設名称:御物頭御番所
  • 所在地:千秋公園内 
  • 電話番号:018-888-5753

久保田城の見張り場。復元された「久保田城御隅櫓」

武器庫としての役割を持っていた「久保田城御隅櫓」(復元) ©秋田市

久保田城御隅櫓(くぼたじょうおすみやぐら)は久保田城の北西隅にあった櫓で、見張り場と武器庫の役割を持っていました。この櫓を復元するに当たり、史料に基づいて2階造りとして、その上階に秋田市内が一望できる展望室が設けられています。

INFORMATON

  • 施設名称:久保田城御隅櫓
  • 所在地:千秋公園内
  • 電話番号:018-888-5753
  • 開館時間:9:00~16:30(ただし、市立小中学校の夏季休業日は19:00まで)
  • 入館料:100円(高校生以下無料)
  • 休館日:12月1日から翌年の3月31日

絵図などをもとに復元された久保田城の表門

絵図などをもとに復元された久保田城の表門

久保田城表門は、久保田城本丸の正門を復元したものです。史料や絵図などを基に瓦葺き屋根で2階建ての門が再建されました。

INFORMATON

  • 施設名称:久保田城表門
  • 所在地:千秋公園内
  • 電話番号:018-888-5753
  • 見学自由

江戸時代の姿を残す大変貴重な武家屋敷「旧黒澤家住宅」

何回もの大火にも焼失せず江戸時代の姿を残す「旧黒澤家住宅」 ©秋田市

旧黒澤家住宅は、秋田藩の上級武士の屋敷で、江戸時代の建物がほとんどそのまま残っている全国的にも貴重なものです。秋田藩では武家屋敷は藩の所有物で、身分によってあてがわれていました。昇格や移動、藩の都合などによって転居することも多く、この屋敷も芳賀家、赤田家、吉成家、平井家と変わっていて、黒澤家は1829年から居住していました。

黒澤家住宅は秋田市中通3丁目にあったのですが、1985年(昭和60年)に一つ森公園内に移転されています。旧黒澤住宅は国指定重要文化財です。

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  • 施設名称:旧黒澤住宅
  • 所在地:秋田県秋田市楢山字石塚谷地297-99一つ森公園内
  • 電話番号:018-831-0285
  • 開館時間:9:30~16:30
  • 休暇日:12月29日~1月3日
  • 入館料:100円(高校生以下無料)
  • URL:旧黒澤住宅
  • アクセス:
    • 鉄道/秋田新幹線・奥羽本線秋田駅から路線バスで大戸入口バス停下車、徒歩で約25分または横森2丁目バス停下車、徒歩で約15分
    • 車/秋田自動車道秋田南ICから約10分または秋田中央ICから約15分

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久保田城外に藩主の御休所として造られた「如斯亭庭園」

藩主別邸の庭園 ©秋田市

旧秋田藩主佐竹氏別邸如斯亭庭園(じょしていていえん)は、秋田藩第9代藩主佐竹義和(よしまさ)によって整備された庭園で、如斯亭は藩主の“御休所(おやすみどころ)です。2014年(平成26年)から以降や史料を基に修復工事が行われ、2017年(平成29年)に開園しました。国の名勝に指定されています。

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  • 施設名称:旧秋田藩主佐竹氏別邸(如斯亭)庭園
  • 所在地:秋田県秋田市旭川南町2-73号
  • 電話番号:018-834-6300
  • 開園時間:
    • 4月~11月/9:00~16:30
    • 12月~3月/9:30~16:00
  • 入園料:210円(高校生以下無料)
  • 休園日:12月29日~1月3日
  • アクセス:
    • 鉄道/秋田新幹線・奥羽本線秋田駅から路線バスで約10分、からみでんまたは扇田バス停下車、徒歩で約5分
    • 車/秋田自動車道秋田中央ICまたは秋田北ICから約15分

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旅が好きが高じて一昔前は旅行誌、今はWEBの旅行ライターをしています。取材では東北地方を中心に全国47都道府県すべて訪れていますが、楽しみは温泉に入り、古い町並みや暮らし、芸能工芸など日本の伝統文化にふれることです。

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