【青森県】一から九まで「戸の付く地名」五戸・六戸編 地味な印象だけど味わい深い2つの戸

青森県の三戸郡北部から上北郡南部にかけて国道4号線沿いに南から五戸(ごのへ)、六戸(ろくのへ)とつながっていきます。

五戸は全体に山間部に位置していて森林が多く、慶長年間以降は木村氏が代々南部藩の五戸代官として治めており、城郭はなく代官所跡が五戸町図書館の敷地内に残されています。

その北にある六戸は十和田湖から流れ出る奥入瀬(おいらせ)川の流域に豊かな農地が広がり、冬の積雪が少なく穏やかな気候で住みやすいとされている地域です。


五戸は鎌倉幕府の直轄地だったって本当?

五戸町役場
五戸町役場

木村氏が五戸代官として定着する以前は、鎌倉幕府によって平盛時(たいらのもりとき)が地頭の代職として任命されたとされ、幕府直轄地であったのではないかとみられています。

五戸郡として、江戸時代末期には1万4千石の石高を有していたとされていますが城下町は存在せず、明治になってから五戸村ができ、大正時代に五戸町となり、数度の合併を経て今日に至りました。

五戸町に残る南部九牧の名残

かつて南部九牧であった名残として、五戸町には「南部駒踊(なんぶこまおどり)」が残されています。

この踊りは南部藩時代に行われていた野馬捕りを芸能化したものとされ、毎年8月下旬から9月上旬にかけて行われる「五戸まつり」で披露される300年以上の伝統をもつ踊りです。

また、毎年2月に開催される「えんぶり」もかつて馬産地であった名残の一つとして500年以上の歴史があり、馬の形の烏帽子をかぶり独特の囃子で豊作を祈願しながら町内を練り歩きます。

「ごのへ三大肉」とは、桜肉・倉石牛・青森シャモロック

馬肉料理
南部 馬肉料理 出典:青森県観光情報サイト

五戸は全国的にも美味しい馬肉の産地として知られ、町内の多くの飲食店で味わうことができ、定番の馬肉鍋や馬刺のほか「義経鍋」を使った焼肉に、しゃぶしゃぶ・ハンバーグなども味わえます。

倉石牛
見事な霜降りの倉石牛 出典:青森県観光情報サイト

また、年間出荷頭数わずか400頭という「あおもり倉石牛」は霜降り具合と赤身の味わいのバランスが絶妙で、流通量が少ないことから幻のブランド牛として人気です。

そして五戸の肉用地鶏を改良してできた「青森シャモロック」は、締まった肉質と深い味わいが特徴で、どのような料理にしてもコクのある美味しさを味わえます。


六戸は今よりずっと広かったというのは本当?

旧苫米地家住宅
道の駅ろくのへの敷地にある旧苫米地家住宅

この地域もまた五戸と同様に「六戸」と呼ばれていたものの中心となる城郭跡などはなく、村となったのは五戸と同じ明治で、町になったのは戦後の昭和32年(1957年)でした。

その広さについては、現在のおいらせ町や三沢市南部も含めた奥入瀬川流域一帯までもが六戸郡であったとする説もあり、どれほどであったかははっきりわかっておりません。

主要産業は肥沃な土地からの恵みによる農業で、米・長いも・ニンジンなどで、そのほかにも次に紹介するユニークな特産品があります。

六戸の特産品は青森シャモロックと大玉ニンニク

道の駅ろくのへ メープルふれあいセンター 産直などがあり青森シャモロックや大玉ニンニクを購入できる

五戸町でもご紹介した青森シャモロックですが、六戸町ではさらに特別な飼育方法を開発して手間とコストをかけて「ザ・プレミアム#6(ナンバーシックス)」という地鶏を誕生させました。

青森シャモロック ザ・プレミアム#6
メープルふれあいセンターで販売されている青森シャモロック ザ・プレミアム#6

この「ザ・プレミアム#6」は普通の方法で飼育された「青森シャモロック」と比べてうまみが強く感じられ、歯応えも増して食べごたえのある地鶏です。

また、普通のニンニクよりはるかに大きく、直径が7センチ以上、重さ130グラム以上もある大玉ニンニクも六戸町の特産品です。

これらは町内の飲食店で味わえるほか、商店・スーパーや道の駅「ろくのへ」メイプルふれあいセンターなどで購入できます。

道の駅ろくのへ<Information>

  • 施設名称:道の駅ろくのへ
  • 所在地:青森県上北郡六戸町犬落瀬後田87-87
  • 電話番号:0176-55-4134
  • 営業時間:9:00~18:00(冬季11月~03月は17:30閉店)
  • URL:道の駅ろくのへ公式サイト

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六戸町立義務教育学校六戸学園

六戸町役場
六戸町役場

この聞きなれない名前の学校は青森県内では初めてとなる、9年間の小中一貫教育を男女共学で実施する義務教育学校です。

六戸町唯一の町立学校として2025年(令和7年)4月に開校が予定されていて、すでに町内にある町立小中学校は全てこの学園に併合されることになります。

校舎は2022年に廃校となった青森県立六戸高校の跡地に建設される予定です。

六戸町では青森県でもとくに住みやすいとされ、年間を通して穏やかな気候であることをアピールして、子育てがしやすい街として都会住まいの若い家族の移住を募集しています。

六戸町
町役場などがある六戸町内の通りは広くきれいに整備され、町政が暮らしを重視していることが伝わる

きれいな街づくりや広い道路の整備などのほかに、こうしたユニークな教育制度もまた、若い世代を引き付けるための方策として注力しています。


まとめ

「戸の付く地名」のなかでも五戸と六戸は、武将や大名などに直接統治されていた歴史がなく、防御拠点としての城跡などの旧跡もなく、全国的に有名な名所もありません。

その代わりに、どちらの戸も農業が主産業であるために、馬肉や青森シャモロックなどのようによその地域では味わえない美味しい特産品がたくさんあります。

これらは他の地域にあまり出荷されておらず、地元でなければ味わうことが難しいので、ぜひ一度この2つの戸を訪れてこれらの特産品を味わってみてください!


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