【青森県】一から九まで「戸の付く地名」三戸編 南部氏発祥の地・三戸は、ゆかりの名所・旧跡と猫の街
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岩手県北部から国道4号線をさらに北上して青森県との県境を越えたところにある三戸(さんのへ)郡は、三戸南部氏発祥の地であり盛岡藩にとってはゆかりの深い地域です。
鎌倉時代初期に源頼朝(みなもとよりとも)が奥州藤原氏を滅ぼした奥州合戦の軍功によって、甲斐の南部光行(なんぶみつゆき)に糠部(ぬかのぶ)郡に与えられました。
それによって南部氏は三戸郡(三戸町と南部町)を本拠として移り住み、この地に菩提寺や代々の墓所などが今でも残されています。
「三日月の丸くなるまで南部領」の中心だった三戸
「南部領を通過するには、毎日歩いても三日月が満月になるほどの日数がかかる」と謳われるほど最盛期の南部領は広大でした。
江戸時代になって南部氏が盛岡城に本拠を移すまでは三戸城が南部領の中心とされ、三戸町ととなりの南部町には南部氏にかかわる名所や旧跡がたくさん残されています。
そのほか三戸町は縄文時代の遺跡や遺物なども数多く出土されるほか、現代においては人気絵本「11ぴきのねこ」の作者である漫画家の馬場のぼる氏の出身地としても有名です。
馬場氏が描いた猫は町のシンボルキャラクターとされ、三戸町の公式サイトでは「みんなでちからをあわせる11ぴきのねこのまち三戸町」というキャッチフレーズが紹介されています。
国史跡「三戸城跡」と歴史資料館「温故館」(県立城山公園)
三戸町のほぼ中心にあって馬淵川と熊原川を天然の水堀とする堅牢な山城で、南部氏24代当主南部晴政(なんぶはるまさ)が築きました。
現在は青森県立の城山公園として親しまれ、代官所門と他所に移設された表門、搦手門は三戸町指定の有形文化財で、公園内には南部氏の祖・南部光行がご祭神とされている糠部(ぬかべ)神社があります。
1967年(昭和42年)に歴史資料館「温故館」が建てられ、天守閣風の建物が完成して城郭らしい雰囲気をかもし出しています。
しかしながら、三戸城跡が2022年(令和4年)3月15日に「国の史跡」として指定された際に、この天守風の建造物が史実に基づかないものであるとして、国からは撤去を求められているということです。
城山公園〈Information〉
- 施設名称:国史跡三戸城跡 城山公園
- 所在地:青森県三戸郡三戸町梅内城ノ下
- 電話番号:0179-22-2739
- 資料館開館時間:9:00~16:00
- 休館日:月曜、祝日の翌日、12月1日~翌年3月31日までの冬季間
- URL:三戸町公式サイト
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三戸大神宮はステンドグラスとゆるキャラで人気
ご祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)で地元では「神明さま」や「東北のお伊勢様」として親しまれ、ご利益はあらゆる願いを聞き届けてもらえる「願望成就」とされています。
社殿や灯篭などに美しいステンドグラスが使われているのが珍しく、猫をモチーフにした神宮のオリジナルキャラクター「みこにゃん」と「キャサリン」が可愛いと評判です。
三戸大神宮<Information>
- 移設名称:三戸大神宮
- 施設所在地:青森県三戸郡三戸町同心町諏訪内43
- 電話番号:0179-22-2501
- URL:三戸大神宮公式サイト
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道の駅さんのへ
「11ぴきのねこ」のオリジナルグッズを販売しているほか、南部せんべいの1種である三戸せんべいが販売されています。
これは二戸や盛岡の南部せんべいよりも軽い口当たりのせんべいで、ゴマ入りなどさまざまな味があり、周りの薄い部分を集めた「せんべいのみみ」は手軽で食べやすいスナックとして人気です。
産直には三戸町や南部町のリンゴやサクランボにブドウなどの果物、町の周辺にはそれらの果物狩りを楽しめる農園があり、有名な特産品としてニンニクも売られています。
食事どころの「三戸食堂 白山」では、郷土料理の「川蟹ひっつみ(すいとん)」がおすすめです。
道の駅さんのへ<Information>
- 施設名称:道の駅さんのへ
- 所在地:青森県三戸郡三戸町川守田尼久保39-1
- 電話番号:0179-22-0600
- 営業時間:9:00~17:00
- URL:道の駅さんのへ公式サイト
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南部氏の始まりは三戸町のとなりにある南部町から
南部町にある聖寿寺館(しょうじゅじだて)や、周辺の馬場館(ばばだて)、平良ヶ崎館(へらがさきだて)も合わせた一帯は本三戸城(もとさんのへじょう)と呼ばれています。
南部家の菩提寺である聖寿寺に近いこの地は、三戸南部氏11代信長(のぶなが)から24代晴政までの約200年間の間の居城でした。
しかし晴政の時代に彼に恨みを持つ家臣の放火で焼失してしまい、居城は三戸城に映されることになったのでした。
その後、聖寿寺は盛岡に移されて東禅寺とともに南部家の菩提寺となりましたが、もう一つの菩提寺である三光寺は南部町に残されています。
なお、本三戸城と三光寺周辺および氏神の本三戸八幡宮周辺の3つの地区は国の史跡に指定されています。
三光寺に眠る南部氏当主たち
南部家菩提寺の三光寺には次の当主たちの霊屋(たまや)や墓所があります。
- 2代当主・南部実光(なんぶさねみつ)の墓所
- 26代当主・南部信直(なんぶのぶなお)夫妻の墓所(町指定有形文化財)
- 27代当主・南部利直(なんぶとしなお)の霊屋(県重宝)
- 利直の四男で早逝した南部利康(なんぶとしやす)の霊屋(国指定重要文化財)
なお、南部利康のお霊屋は平泉の金色堂のように全体を覆堂に被われていて、拝観するには事前に史跡聖寿寺館跡案内所への電話予約が必要です(有料)。
また、三光寺境内は観光客立ち入り禁止になっているのでご注意ください。
三光寺<Information>
- 施設名称:三光寺
- 施設所在地:青森県三戸郡南部町小向正寿寺60
- 電話番号:0179-23-3773
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聖寿寺館跡案内所<Information>
- 施設名称:聖寿寺館跡案内所
- 施設所在地:青森県三戸郡南部町小向正寿寺81-2
- 電話番号:0179-23-4711
- 営業時間:9:00~16:30
- 定休日:12月29日~1月3日
- URL:南部町公式サイト
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まとめ
三戸は南部氏とのゆかりが深く、名所や旧跡が数多く残されていることで知られています。
広く点在しているそれらの名所旧跡を訪問の際には車が便利ですが、公共交通機関に「青い森鉄道」があり、「IGRいわて銀河鉄道」との連携によって青森駅や盛岡駅とつながっています。