モノづくり体験

【福島県会津美里町本郷】多くの人たちに愛されて400年。会津の陶磁器「会津本郷焼」

『会津本郷焼(あいづほんごうやき)』は、福島県会津若松市からほど近い、会津美里町本郷で生み出される400年の歴史をもつ焼き物です。

その特徴は、陶器、磁器の両方が焼かれているという点で、その理由は周辺から良質の陶器用の粘土と、大久保陶石と呼ばれる磁器用の石が産出することに起因しています。

会津本郷焼
白を基調とした磁器、味わい深い手触りで落ち着いた色合いの陶器。どちらも「会津本郷焼」 ©会津本郷焼事業協同組合

『会津本郷焼』の窯元は12あり(2022年現在)、普段使いの陶器から、白く少し光を通す高級感ある磁器まで各蔵元が創意工夫を尽くした個性あふれる作品が多く、窯元による陶芸体験も人気です。

会津本郷焼
1958年に宗像窯の六代目豊意がベルギーブリュッセル万国博覧会で最高賞のグランプリを受賞したにしん鉢 ©ふくしまの旅

戦国時代末期に領主が瓦職人を招いたのが始まり

『会津本郷焼』の歴史は古く、約400年前に当時会津若松の領主、蒲生氏郷(がもううじさと)が城の改修のため播磨国(はりまのくに/兵庫県)から職人を招き、瓦を焼かせたのが始まりといわれています。1593年、安土桃山時代(戦国時代)のことです。このときはまだ器などの焼き物は作られていませんでした。

江戸時代になってから本格化した陶磁器作り

水野源左衛門像
佐藤伊右衛門
陶祖廟内に安置されている陶祖水野源左衛門像(右)と磁祖佐藤伊右衛門 ©会津本郷焼事業協同組合

器や皿、茶碗などの実用的な焼き物が作られはじめたのは江戸時代になって、1645年に会津藩主の保科正之(ほしなまさゆき/徳川家康の孫)が、美濃国(みののくに/岐阜県南部)の陶工水野源左衛門(みずのげんざえもん/瀬戸[尾張国=愛知県]出身との記述も多い)を招聘してからです。源左衛門は1647年に窯を開き陶器作りが始めました。そのため水野源左衛門は「会津本郷焼の陶祖」といわれています。

江戸時代中期(1800年代)には本郷に磁器の原料になる陶石(大久保陶石)が発見され、磁器作りが始まります。会津藩は磁器作りの技を学びに佐藤伊右衛門(さとういえもん)という陶工を有田(佐賀県有田町/有田焼で有名)に行かせます。難しい技術を習得した伊右衛門が戻ると藩は登り窯を造り、本郷での磁器作りが始まりました。佐藤伊右衛門を「会津本郷焼の磁祖」と呼んでいます。

常勝寺で毎年開催される陶祖祭

陶祖廟
陶祖祭
常勝寺
常勝寺内にある陶祖廟で開催されている「陶祖祭」 ©会津本郷焼事業協同組合

“陶祖”水野源左衛門と“磁祖”佐藤伊右衛門、それに伊右衛門の弟子で白磁(地が白の磁器)を完成させた手代木幸右衛門(てしろぎこうえもん)の位牌、胸像は本郷地内の常勝寺の陶祖廟に安置されています。同時に陶磁器功労者20数名も祀られていて、毎年1回9月16日に開廟され「陶祖祭」が開催されます。

INFORMATION
  • 施設名称:常勝寺(陶祖祭)
  • 住所:福島県大沼郡会津美里町本郷上3110
  • 電話番号:0256-56-3007(会津本郷焼事業協同組合)

 

戦争、大火、地震など何回もの危機を乗り越えた「会津本郷焼」

『会津本郷焼』は、東北で最も古い焼き物といわれていますが、特に磁器は関東以北で唯一の産地です。江戸時代には数多くの窯元が軒を並べ、賑わっていました。

しかし、幕末から明治時代初頭に勃発した戊辰戦争(ぼしんせんそう/1868年~1869年)で会津若松は新政府軍により壊滅的に破壊されてしまいます。会津若松に近い本郷も大きな被害を受け、『会津本郷焼』は存亡すら危ぶまれる状態となってしまいました。

1890年に大きな転機が訪れます。その年に東京上野で開催された国の博覧会「第3回内国勧業博覧会」にて、進歩賞として表彰された作品のうち半数以上を会津本郷焼の職人が占め、『会津本郷焼』の名が一気に知られるようになったのです。これ以降は評価の高まりとともに海外への輸出も盛んになり、一時は窯元が100軒を超えるほどになりました。

「会津本郷焼」を救った碍子生産は今でも会津美里町の主要産業

電気の絶縁で使われている白い磁器製の碍子(イメージ)

しかし、1916年に大火が本郷を襲います。窯元の大半が焼失し、その復興が遅々として進まないまま、第2次世界大戦(1939年~1945年)終戦までじっと我慢の時が続きます。戦後の復興は決して早いとはいえなかったのですが、『会津本郷焼』復活のきっかけとなったのが磁器製の絶縁器具、碍子(がいし)の生産でした。焼け野原となった東京や横浜などの都市での電力の復旧には碍子が欠かせません。碍子を生産できる磁器の産地は限られており、本郷にも大量の発注が舞い込んだのです。

東日本大震災で崩壊した歴史ある登り窯も復活

宗像窯
東日本大震災で崩壊後元通りに修復された「宗像窯」の登り窯 ©会津本郷焼事業協同組合

『会津本郷焼』で一番古い窯が「宗像窯(むなかたがま)」です。767年に宗像大社(福岡県宗像市)の神官が布教のため本郷に移り住み宗像神社を創建したのが始まりです。950年ほどたった1719年に、神官だった初代が神官のまま作陶をはじめ、100年後には作陶専門になりました。江戸時代から使っていた登り窯は、2011年の東日本大震災により崩壊してしまいましたが、2013年には元通りに修復されています。登り窯は会津美里町指定文化財です。

昔の風情を残す瀬戸町通りの瀬戸物市「会津本郷せと市」

会津本郷せと市
多くの人が訪れ、掘り出し物を探す「会津本郷せと市」 ©ふくしまの旅

年1回、8月の第1日曜日に開かれる「会津本郷せと市」は、『会津本郷焼』を中心とした焼き物などの露天商約100軒が、窯元が多く集まる瀬戸町通りに軒を並べます。オープンは早朝4時頃、まだ暗いうちから懐中電灯を片手に掘り出し物を探す人々が、昔の風情を残した通りにあふれる会津本郷夏の風物詩です。※2022年は新型コロナの影響で中止になりました。2023年以降に関しては要問い合わせ

INFORMATION
  • 名称:会津本郷せと市
  • 住所:福島県会津美里町字瀬戸町通り周辺
  • 問い合わせ先: 会津本郷焼事業協同組合
  • 電話番号:0242-56-3007

 

「会津本郷焼」で自分だけの陶磁器作り

ろくろを使った陶芸体験。樹ノ音工房にて ©会津美里町

『会津本郷焼』では、12軒ある窯元のうち8軒で陶芸体験ができます。絵付け、手びねり、ろくろなど、窯元によってできる体験の種類が違い、金額も多少差があります。また、窯元によって陶器、磁器と材料に違いがありますので、詳細は会津本郷焼事業協同組合に問い合わせてください。

なお、会津本郷焼体験は「ふるさと納税」の返礼品にもなっています。

INFORMATION

陶芸体験

 

INFORMATION

会津本郷焼窯元一覧

陶房彩里(とうぼういろり)

  • 住所:会津美里町川原町甲1868-1
  • 電話番号:0242-56-5707
  • 陶芸体験:あり(磁器)
  • URL:陶房彩里

樹ノ音工房(きのおとこぼう)

  • 住所:会津美里町字瀬戸町3272-1
  • 電話番号:0242-56-5098
  • 陶芸体験:あり(陶器)
  • URL:樹ノ音工房

草春窯 工房 爽(そうしゅんがま こうぼう そう)

  • 住所:会津美里町瀬戸町3175
  • 電話番号:0242-56-3732
  • 陶芸体験:あり(磁器)
  • Instagram:草春窯 工房 爽

酔月窯(すいげつがま)

  • 住所:会津美里町瀬戸町3174
  • 電話番号:0242-56-3103
  • 陶芸体験:あり(磁器)
  • URL:酔月窯

閑山窯(かんざんがま)

  • 住所:会津美里町松原際甲2195
  • 電話番号:0242-56-2178
  • 陶芸体験:あり(陶器)

富三窯(とみぞうがま)

  • 住所:会津美里町新町176
  • 電話番号:0242-56-3033
  • 陶芸体験:あり(磁器)
  • URL:富三窯

陶雅陶楽(とうがとうらく)

  • 住所:会津美里町瀬戸町3180
  • 問い合わせ:0242-56-5115
  • 陶芸体験:あり(陶器)
  • URL:陶雅陶楽

流紋焼(りゅうもんやき)

  • 住所:会津美里町川原町甲1933
  • 電話番号:0242-56-2221
  • 陶芸体験:あり(磁器)
  • URL:流紋焼

鳳山窯(ほうざんがま)

  • 住所:会津美里町新町253
  • 電話番号:0242-56-2851
  • 陶芸体験:なし

宗像眞弓(むなかたまゆみ)

  • 住所:会津美里町川原町北甲1773-17
  • 電話番号:0242-56-2380
  • 陶芸体験:なし
  • URL:宗像眞弓

宗像窯(むなかたがま)

  • 住所:会津美里町本郷上甲3115
  • 電話番号:0242-56-2174
  • 陶芸体験:なし
  • URL:宗像窯

かやの窯

  • 住所:会津美里町川原町甲1099
  • 陶芸体験:なし

 

NORIJUN

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旅が好きが高じて一昔前は旅行誌、今はWEBの旅行ライターをしています。取材では東北地方を中心に全国47都道府県すべて訪れていますが、楽しみは温泉に入り、古い町並みや暮らし、芸能工芸など日本の伝統文化にふれることです。

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