旧国鉄の寝台特急「ブルートレインあけぼの」

旧国鉄の寝台特急「ブルートレインあけぼの」に宿泊できる「小坂鉄道レールパーク」【秋田県】

「小坂鉄道レールパーク」は、2009年(平成21年)に廃止となった小坂鉄道の旧小坂駅と小坂駅にあった車庫や操車場をそのまま利用した鉄道テーマパークです。

小坂鉄道は小坂駅(秋田県小坂町)と奥羽本線・大館駅(秋田県大館市)を結んでいた私鉄で、創業当時から使用されていた駅舎などの施設や、小坂鉄道で使用されていた鉄道車両、それに旧国鉄(JR)の寝台特急・ブルートレイン車両などを保存、展示しています。

ブルートレイン「あけぼの」の車両とディーゼル機関車
2024年に設備更新、塗装され新車の輝きを取り戻したブルートレイン「あけぼの」の車両とディーゼル機関車 ©小坂町

中でも「ブルートレインあけぼの」の車両は宿泊施設に利用され、鉄道ファンばかりでなく広い世代に人気です。


鉱山の専用鉄道として創設された小坂鉄道の歴史

小坂鉄道小坂駅(秋田県小坂町)と奥羽本線・大館駅(秋田県大館市)の間に敷設された鉄道で、その目的は日本屈指の銅鉱山だった小坂鉱山の産出物を運搬するためでした。

営業開始は1909年(明治42年)と古く、鉱山の発展とともに1912年(大正元年)には旅客列車の運行も始まりました。

小坂鉱山内を走っていた運搬用の鉄道
小坂鉱山内を走っていた運搬用の鉄道 ©小坂町づくり(株)

小坂鉱山は明治時代後期に最盛期を迎え、小坂町は秋田県第2位の人口を誇る大都市として発展しました。しかし、その後徐々に鉱山の産出量は減少し、ついには1990年(平成2年)に鉱石の枯渇により閉山となってしまいます。

小坂鉄道も1994年(平成6年)年に旅客扱いが停止され、2009年(平成21年)には貨物運送も廃止となってしまいました。


目玉はやはり寝台特急「ブルートレイン」の宿泊体験

「小坂鉄道レールパーク」の魅力は、保存された車両の数々、国登録有形文化財の駅舎・機関庫など数多くありますが、目玉はやはり動態保存された「ブル-トレインあけぼの」に宿泊することができることでしょう。

園内に保存されている車両は、かつて奥羽本線経由で上野駅(東京都)と青森駅・秋田駅間を結んでいた夜行寝台特急「あけぼの」で使用されていた24系寝台車4両で、3両の客車と1両の電源車で構成されています。

「ブルートレインあけぼの」の行先表示
「ブルートレインあけぼの」の行先表示

24系客車とは1973年(昭和48年)から1980年(昭和55年)にかけて旧国鉄(現JR)が量産した富士重工(株)製の寝台客車で、外装が濃いブルー1色に塗られたことから“ブルートレイン”の名前で親しまれ全国を走り回りました。

客車3両の内訳は、A寝台個室(スロネ24-551)、B寝台個室(オハネ24-555)、B寝台開放(オハネフ24-12)で、3両とも1973年(昭和48年)に製造されました。

その後に幾度かのリニューアル改装を行い、現在保存されているスタイルになっています。

A寝台個室

A寝台個室スロネ24-551
A寝台個室スロネ24-551 個室になっている ©小坂鉄道レールパーク

A寝台個室は二名宿泊もできるいわゆるグリーン車で、スロネの記号は【ス】=車両重量37.3トン【ロ】=グリーン車【ネ】=寝台車を意味します。

もともとは2段式のA寝台車でしたが、「あけぼの」用に1人用個室に改装されました。

1人用になっていますが個室内上部にベッドが設けられている2段ベッド方式になっていて、実質2名宿泊も可能です。全11室で定員は22名。宿泊施設として使用されています。


B寝台個室

B寝台個室 オハネ24-555
B寝台個室 オハネ24-555 1段目、2段目とも個室タイプで、2段目にも明かり取りのガラス窓がつけられている ©小坂鉄道レールパーク

B寝台個室は一名宿泊用の普通車で、オハネの記号は【オ】=車両重量35.5トン【ハ】=普通車【ネ】=寝台車を意味します。

製造当初は3段式B寝台車でしたが、2段式寝台に改装され、さらにベッドが線路と並行に設置されている2段式個室となり、屋根が明かり取りの窓がある形式に改造されました。

定員28名の宿泊施設として使用されています。


B寝台開放

B寝台開放 オハネフ24-12
B寝台開放 オハネフ24-12 開放式の2段ベッド車両で、最後部に車掌室(緩急車)が設けられている。宿泊者用の休憩室として使われている。 ©小坂鉄道レールパーク

B寝台開放:3段式B寝台車として製造され、後に2段式に改装されています。

この車両には緩急車と呼ばれる車掌室があることから記号は【オ】=車両重量32.2トン【ハ】=普通車【ネ】=寝台車【フ】=緩急車となっています。

宿泊者の飲食・休憩スペースとして使用されています。


電源車

電源車 カニ24- 511
電源車 カニ24- 511 客車の電気設備に電気を供給する大切な車両 ©小坂鉄道レールパーク

電源車と呼ばれる車両で、その名の通り照明や冷暖房装置などの設備に電力を供給するための車両です。

ディーゼル発電機と荷物室がある車両で、記号は【カ】=車両重量48.8トン【ニ】=荷物車となっています(電源車という記号はないようです)。


その他の展示車両や施設とアクティビティ

園内には他にも県や国の有形文化財に登録されている施設や車両が多数保存されています。

  • 小坂鉄道開業当時から使われてきた「駅舎」(国登録有形文化財)
  • 1962年(昭和37年)に建築され、元通りに修復された「機関車庫」(国登録有形文化財)
  • 大正から昭和にかけて活躍した「蒸気機関車」(県指定有形文化財)や皇族が乗られた「貴賓車」(静態保存)
  • 小坂鉄道の主力ディーゼル機関車4両(DD130形3両とDD13形1両/動態保存)
  • キ115と呼ばれるラッセル車(雪かき列車/動態保存)
  • 構内作業用や保線作業に使われた3両のモーターカー(動態保存)

ちなみに動態保存(どうたいほぞん)とは、SLや鉄道車両を「実際に動く(運用できる)状態を維持して保存すること」で、定期的なメンテナンスや運転が現在でも行われています。

旧小坂駅駅舎
国登録有形文化財の「旧小坂駅駅舎」。開業当時から使われていた ©小坂町
線路幅763mm(JR山手線は1067mm)の11号蒸気機関車と貴賓車
線路幅763mm(JR山手線は1067mm)の11号蒸気機関車と貴賓車
DD130形ディーゼル機関車
3両動態保存されているDD130形ディーゼル機関車の3重連 ©小坂鉄道レールパーク
キ115
キ115は1935年(昭和10年製)。旧国鉄浜松工場で製造されたもの ©小坂鉄道レールパーク

さまざまな体験が楽しい「小坂鉄道レールパーク」

園内には貴重な車両や施設の展示の他に、自ら実際に体験できるアクティビティも複数存在します。

モーターカーが牽引する観光トロッコの運行

ラッセル仕様のモーターカーTMC200形に牽引されている観光トロッコ
ラッセル仕様のモーターカーTMC200形に牽引されている観光トロッコ ©小坂鉄道レールパーク

施設内の線路約450mを往復運航する観光トロッコが運行されています。

普段電車に乗っていてもあまり直接的に感じることができない「レールの上を走っている感覚」を臨場感を持って体験できます。

旧線路上を走るレールバイク

線路上を足でこいで走るレールバイク
線路上を足でこいで走るレールバイク ©旅東北

小坂駅構内の線路約250mをレールバイクで走行できます。自分の力で線路上を疾走するという貴重な体験は、他の施設では中々できないかもしれません。

他にもブルートレイン「あけぼの」の短距離体験乗車(宿泊者限定特典)など、「小坂鉄道レールパーク」の魅力は尽きることがありません。

鉄道ファンばかりでなく、ブルートレインを知る世代や子供たちのためにもずーっと続いて欲しいテーマパークです。

小坂鉄道レールパーク<Information>

  • 施設名称:小坂鉄道レールパーク
  • 所在地 :〒017-0202 秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山古川20−9
  • 電話番号:0186-25-8890

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