【秋田県男鹿半島】本場のなまはげに会える!なまはげ館・男鹿真山伝承館に行ってきました
目次
皆さんは「なまはげ」にどんな印象をお持ちでしょうか?
大みそかに各家を回り、子供に「悪い子はいねーがー」といって脅す怖い鬼、そんなイメージを私は持っていました。
秋田の男鹿半島に本物のなまはげに会える場所があると聞き、ぜひ一度子供をなまはげに会わせたい!と思い、なまはげ体験ができる男鹿真山伝承館に行ってきました。
果たして本物のなまはげはイメージ通りなのか?子供は無事だったのか?
結論は、なまはげのイメージがガラリと変わる大変貴重な体験をしてきました。
なまはげの由来
なまはげの語源は「生身剥ぎ」です。寒い冬に囲炉裏にあたってばかりいる怠け者にできた「ナモミ(火斑)」を剥ぎ取って戒めるのが本来の意味とされています。
なまはげの必須アイテムといえば、包丁と桶ですね。
これは「ナモミ(火斑)」を「包丁」で剥ぎ、それを入れるのが「桶」という意味を持っています。想像するとちょっと恐ろしいですが、災いをはらい「家内安全、田は豊作、海では大漁」をもたらす神の使いとして各家で丁重に迎え、もてなすのが「来訪神・なまはげ」の役割です。
男鹿半島では、毎年大みそかの晩になまはげ行事が行われており、「男鹿のなまはげ」は国の重要無形民俗文化財に指定されています。
男鹿真山伝承館でなまはげ体験
男鹿真山伝承館は、民俗行事として地元の人以外には見る機会がなかったなまはげ習俗を広く観光客の方にも知ってもらうためにできた施設で、真山地区のなまはげ習俗を体感できます。
なまはげ問答
真山地区では古くから伝わっているという角のないお面をかぶり、二匹一組となって家々を練り歩きます。「先立(さきだち)」という役目の人が、家の主人になまはげを入れても良いかを確認し、なまはげに扮する二人の若者がウオー!という奇声と共に乱入します。家の主人が荒れ狂うなまはげをなだめて丁重にもてなし、お膳を添える。ここから主人となまはげとの間で様々な問答が始まります。
なまはげ台帳?言うこと聞きます!
なまはげが登場すると、子供だけではなく大人も「キャー」と声を上げてしまう程の迫力。
わが家の6歳になる子供は、なまはげが近づくたびに大声で「言うこと聞きます!」を連発。さらわれたくない一心だったのかもしれません。大人も驚くほどの迫力で家じゅうを見て回ります。
なまはげは子供に向けて「悪い子はいねーがー」と問いただすイメージが強いですよね。ですが、なまはげの問いは子供だけでなく、大人にも平等に向けられます。
なまはげには「なまはげ台帳」なるものが存在し、年に1回しか訪れないにもかかわらず、家の様子はまるっとお見通しなのです。
その「なまはげ台帳」を見ながら、家族全員が怠けていないか問いただします。家の主人は、なまはげが来る前にお嫁さんと子供を隠し、「うちの嫁も子供もしっかりしているよ」とフォローします。なまはげは一家の長や年配者にも「あまり賭け事するな。酒を飲み過ぎるな」などと問いただします。
秋田のなまり満載の問答を聞いているうちに「なまはげはこの家のことを心配してくれているいい神さまなのでは?」と思えてきました。
最後にもう一度、家の主人に子供のしつけと家族の健康を約束させ、来年来ることを言い残しなまはげは去っていきます。
なまはげがまとっているミノ状の装束は「ゲテ」と呼ぶのですが、このなまはげの装束から落ちた藁くずは「無病息災の護符」とされています。
家じゅうを歩き回った後に落ちた藁くずは持ち帰っていいということで私もお守り代わりに頂いてきました。
子供に「怖かった?」と聞いたところ「怖くなかった!」という返事が。でも10回以上「言うこと聞きます!」と叫んでいたことを母は忘れません!
なまはげ館で歴史とミステリーに触れる
実は、なまはげは古くからある伝説などを受け継ぐ民間伝承なので、明確な起源は分かっていません。
- 昔話である「九百九十九段の石段」の鬼が五社堂に祀られており、それがなまはげの起源となったという説
- 山状の修行姿で村里に降り家々を回って祈祷を行っていた男鹿の本山である真山の修験者説
など諸説あります。
男鹿真山伝承館に隣接する「なまはげ館」ではそんな歴史の不思議となまはげの文化について深く学ぶことできます。
地域ごとの手作り感あふれるお面
なまはげ館では、男鹿市内各地で実際に使われていた150枚を超える多種多様ななまはげの面が展示されています。
鬼に似た怒り顔のものだけでなく、丸顔のものや可愛らしいものなど、さまざまな面があります。一つ一つ表情も異なり、中にはほっこりする手作り感あふれるなまはげも。
地域ごとのお面を見ていると、ただただ怖いなまはげではなく、地域で大切に受け継がれている伝統行事であることを感じ取れます。
まとめ
なまはげは、国の重要無形民俗文化財に指定されているほか、2018年にはユネスコ無形文化遺産にも登録され、国内だけでなく海外からも大きな注目が集まっています。
子供だけではなく大人も「キャー」と声を上げてしまう程の大迫力のなまはげですが、なまはげ問答を聞いているとほっこり笑える部分も。なまはげの家を心配する想いと、家の主人の一家の大黒柱として家族を守る姿に、次第に温かい気持ちになる貴重な体験でした。
最後には私たち見学者の元へも「大丈夫かー」と回ってきたなまはげ。大人の私も間近でなまはげと対面したときはかなり緊張しましたが、同時にとてもありがたい気持ちになりました。
なまはげは子供を怖がらせる鬼ではありませんでした。男鹿地区を見守る大変神聖な神様でした!
ほんと?と思った方はぜひ貴重な伝統行事を体験しにいらしてください。
INFORMATION
- 名称:男鹿真山伝承館
- 所在地:秋田県男鹿市北浦真山字水喰沢97
- 電話番号:0185-33-3033
- 料金:伝承館:770円 共通券880円(4月~11月)
- 所要時間:約20分 9:00~16:30の間
- *12月~3月は料金及び定時が異なります
- 名称:なまはげ館
- 所在地:秋田県男鹿市北浦真山字水喰沢
- 電話番号:0185-22-5050
- 料金:なまはげ館:550円 共通券:880円
- 開園時間:8:30~17:00
- アクセス:秋田道昭和男鹿半島ICから車で40分(R101経由)