【秋田県鹿角市】日本とイギリスのイデオロギーは似ている?大湯環状列石は縄文時代の聖地?

秋田県鹿角市十和田にある「大湯環状列石」は令和3年7月27日に世界遺産となった「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つとされています。大湯環状列石は縄文時代後期(約4,000年前)の遺跡とされており、2つの環状列石(野中堂環状列石、万座環状列石)が最大の特徴です。

世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、北海道6遺跡、青森県8遺跡、岩手県1遺跡、秋田県2遺跡の合計17遺跡で構成されています。

環状列石

世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の中には秋田県内、2つの遺跡が含まれており、そのどちらもが「環状列石」となっています。

日本には178箇所の環状列石が発見されており、そのうち約4割が東北の秋田県で見つかっています。

環状列石とは別名で「ストーンサークル」とも言われ、世代によっては環状列石よりも「ストーンサークル」の方が聞き馴染んでいる方も多いかもしれません。

世界的に有名な「ストーンサークル(環状列石)」と言えば、巨石を利用したイギリスの「ストーンヘンジ」、それにイギリス湖水地方の「スウェインサイド・ストーンサークル」

イギリスのストーンヘンジに関しては高さ7mほどの巨大な門の形の組石(トリリトン)5組を中心に、直径約100mの円形に高さ4~5mの30個の立石(メンヒル)が配置されており、遺跡の目的については太陽崇拝の祭祀場、古代の天文台など今もさまざまな説が唱えられています。

イギリス南部・ソールズベリー ストーンヘンジ(紀元前2500年から紀元前2000年)

他にもモンゴル西部やアフリカ(セネガンビア地域)など世界各地には時代は違えど様々なストーンサークルがあり、そのどれもがストーンヘンジ同様、祭祀場、そして墓碑として当時の人たちに利用されていたことが近代の発掘調査から判明してきています。

秋田県の環状列石

上で世界のストーンサークルを簡単にご説明しましたが秋田県の2か所のストーンサークルも発掘調査から祭祀や墓地、天文調査として利用されていたのではないか?と言われています。

面白いことにイギリスのストーンヘンジと秋田県の環状列石は今から4000~4500年程前、同時期頃に作られたのではないか?とも言われています。

4000~4500年程前にイギリスと日本では外交があったとは思えもしませんし、交流していた記録などは一切ありません。イングリッシュ・ヘリテッジのマーティン・オールフリー氏は「日本とイギリスは同じくらいの緯度に位置し、私たちの想像以上にイデオロギーが近いのではないか?」とも言ってはいますがそれだけでここまで近しいものを作るか?

とも思います。未だに謎に包まれた部分も多いですが今回は秋田県鹿角市十和田大湯の「大湯ストーンサークル館」まで足を運びましたので皆様と一緒に「世界の謎」に触れれば、と思います。

大湯環状列石

秋田県鹿角市 大湯環状列石(万座環状列石)

大湯環状列石は縄文時代後期(約4,000年前)のものとされており、最大径44メートルの「野中堂環状列石」と最大径52メートルの「万座環状列石」の2つの環状列石を合わせた呼び名になります。

尚、最大径52メートルの「万座環状列石」は日本国内最大規模の環状列石になります。

秋田県鹿角市 大湯環状列石(野中堂環状列石)

そのどちらもが二重の環状を形成し、それぞれの環状列石の中心から見て北西側、外帯と内帯の間には「日時計状組石」があり、「日時計」の役割も果たしていたのではないか?とも言われています。

大湯環状列石 日時計状組石

この「日時計状組石」は、二つの環状列石の中心と一直線に並んでおり、夏至の日にはこの並びの位置に太陽が沈むことが分かっています。

また、2つの環状列石に使われている川原石の6割は「石英閃緑ヒン岩」とよばれるもので、環状列石から約2~4km離れた大湯川から運ばれてきたとされています。

大湯環状列石を構成する配石は10数個の石をならべた円形や四角のかたまりが、いくつも並べられており、この小さなかたまりのひとつひとつが、「配石墓」であり、その集合体である環状列石は近年の発掘調査で「集団墓」である可能性が高いと考えられています。

環状列石の周りには掘立柱建物や貯蔵穴、土坑に遺物集中域などが同心円状に広がっていることが見つかっており、万座環状列石の北東・北西側台地縁からは竪穴住居、北東50メートル地点からは環状配置の掘立柱建物群、野中堂環状列石南側30メートル地点からは配石遺構群が見つかっています。

いざ!大湯環状列石へ!(現地レポート編)

上で説明長くなりましたが今回初めて「大湯ストーンサークル館」へお邪魔しました。

てか、来る時期を間違えてますね。訪れた日は2月の末頃、完全に一面雪景色です。受付のスタッフさんからは「今年は雪積もってないね~」て言われましたが宮城出身の私からすれば大雪です。例年なら今の時期だと1m以上は積もるのだとか。

「大湯ストーンサークル館」は縄文時代後期(約4,000年前)の遺跡である大湯環状列石のガイダンス施設として、2002年4月、遺跡の隣接地にオープンしました。

入口、受付カウンター前のスペース(野中堂ホール・図書閲覧コーナー)

遺跡についての解説や出土した縄文土器などの展示が行われており、館内にある縄文工房では、縄文土器や縄文ペンダントなどの製作体験もできます。

入口奥、縄文工房

上の縄文工房奥には万座ホールがあり、令和5年3月からは3面の大型スクリーンによる大湯環状列石の4K映像が見られます。最新科学から見えてきた縄文時代の食・住のほか、環状列石発見から発掘・整備の歴史などについてわかりやすく映像化されています。

観覧は無料で、開館日は毎日午前9時半から午後5時半まで30分毎に1回上映し、時間は8分ほどです。

最新の4K映像ということもあり大迫力!正直8分程度では足りないほどです。

大湯ストーンサークル館・展示ホール

展示ホールでは大湯環状列石が作られた時代、発掘調査からわかったことなど、様々な資料、美術品を分かりやすく展示しています。

大湯環状列石より出土した土器

大湯環状列石では様々な遺跡が出土されていますがその中でも、生活必需品の土器などを指す「第一の道具」と、祭祀・マツリの道具と考えられている「第二の道具」があります。

その中でもひと際目立つのが野中堂環状列石、東側より出土した「どばん(土版)」

縦幅58mmで重さは48.39g、無数の大小の穴とコの字に掘られた跡、数字を数えるためのものでは?天文で使われたのでは?はたまた環状列石で何かしらの儀式で使われていたのでは?と言われていますが未だに明確な理由は分からず、謎が多いままの出土品です。

上部の左右に離れた穴と真ん中の大きな穴、空を眺めているようにも見え、ファンからは「どばんくん」と名付けられ大湯環状列石では人気の展示品です。

展示ホール内、出土品ホログラム

展示ホールには出土品のホログラムもあり、大湯環状列石から出土した特徴的な土器や土版など27点を底面や内部など、出土品のすみずみまで見ることができます。

ある程度ストーンサークル館を見学させていただき、「よし!では本番の大湯環状列石を!」と思い、ストーンサークル館スタッフに道中を伺うと、

「冬季期間の大湯環状列石見学は閉鎖になります。」とのこと、。完全に確認不足です。大湯ストーンサークル館が開いているから雪で埋まってるとは言え見学できるだろう、と考えてた私の愚かさ。

ただし、「万座環状列石と野中堂環状列石の間を走っている道路から見学するのは自由ですよ」とのこと。

まだ希望はあった!ということで大湯環状列石を見学します。

秋田県道66号線(北東北ロマンチック街道)を西に向けて2~3分程度歩くと

一面雪景色の万座環状列石と

同じく一面雪景色の野中堂環状列石が見えてきます。

雪で見えないのは当たり前ですよね。それに雪のせいで何処に何があるか分からない状況、、これで中に入って見学して大切な遺跡を踏んだり破壊してしまっては元も子もありません。そりゃあ冬季閉鎖しますよね。

見学して冬季閉鎖の理由を無駄に嚙み締めましたが遠くに山々が見え、爽快な景色。

この景色は4000~4500年程前と比べてもさほど変わらないかと思うとここに環状列石を配置した意味も少し理解できるような気になります。

未だ全てが解明されたわけではありませんが縄文時代の人々が「集団墓」である環状列石を天体と重ねた意味はずっとシンプルなのかもしれません。

無数に広がる満点の夜空と亡くなった家族を重ね、祈りの場として大切に管理、引き継がれる場所として聖地となり、同時代でシンクロニシティなる事象が世界で起きたのかもしれませんね。

最後に私は大湯ストーンサークル館内、受付隣の販売コーナーで販売されていた「どばんくんキーホールダー」を興奮気味に一つ購入させていただきました。

一つ一つ手作りで制作し、全て表情が違く愛らしさがあります。他にも「どばんくんイヤリング」「どばんくんストラップ」、それに様々な現地限定のアイテムが販売されていますので大湯ストーンサークル館に訪れた際には是非購入してみてください。

何に使用するか分かりませんがもしかしたらサバイバル時に役に立つかもしれません。

大湯ストーンサークル館

  • 所在地 秋田県鹿角市十和田大湯字万座45番地
  • 開館時間 
    • 通常期(4月1日~10月31日)
      • 9時~18時
      • 休館日 なし
    • 降雪期(11月1日~3月31日)
      • 9時~16時
      • 休館日 月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は翌日以降の平日) 及び年末年始(12月29日~1月3日)
  • 利用料金
    • 入館料 無料
    • 展示ホール観覧料
      • 大人:320円(団体:250円)
      • 子供:110円(団体:90円)
      • ※団体料金は20名以上に適用
  • 公式ホームページ https://oyustonecircles.explorekazuno.jp/

遺跡の見学について(屋外)

  • 【4月8日から9月30日まで】9:00~17:30
  • 【10月1日から10月31日まで】9:00~16:30
  • 【11月1日から11月19日まで】9:00~16:00(休館日は終日閉鎖)
  • 【11月20日以降】冬期閉鎖

※上記遺跡開放時間は2023年シーズンになります。毎年若干の違いありますので見学の際は都度公式ホームページをご確認するようご注意ください。

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