【福島県】こだわりの「味噌」文化を追う!おすすめ味噌や郷土料理を紹介

厳しい自然環境を有する福島県では、地域の風土に合わせたさまざまな食文化が各地で育まれています。しかし福島県内全域で共通するのが、「味噌を愛している」こと。調味料として、栄養源として、そしてご飯の相棒として。味噌は古くから、福島県の食卓を彩る存在でした。

今回は、福島県の味噌愛の実態を深掘りしていきます。味噌を使った郷土料理についても紹介しますので、ご一緒に味噌愛を深めていきましょう。


福島県で「味噌」といったら?

日本の食文化を支える、大切な調味料「味噌」。日本全国で製造されており、味噌蔵の登録件数は2021年で1,000件以上。原料は米がポピュラーですが、中部地方では豆、九州や四国の一部では麦を使用するなど、地域色豊かな食材です。

一口に東北といっても、それぞれの県に有名なご当地味噌があります。例を挙げると、青森県では津軽味噌という塩気が強い米味噌が作られています。米どころの秋田では、米麹をたっぷりと使用した秋田味噌。伊達政宗が治めた宮城県仙台市では、保存性が高く優秀な兵糧として名を馳せた仙台味噌が有名です。

そして福島県の有名なご当地味噌が、「会津味噌」。福島県の会津地方とは福島県の西部に位置し、越後山脈と奥羽山脈に挟まれた内陸性の気候です。冬の寒さが厳しく、雪深い地域としても知られます。この厳しい自然環境を生き抜くために、人々が生み出したのが辛口の米味噌です。

冬の長い会津地方では、味噌自体が貴重なたんぱく源でした。つまり単なる味付けではなく、栄養源として食されていたのです。会津の方々が味噌をつくる目的は、自家消費用だけではありません。城下町として発展してきた会津地方では、味噌づくりを産業としても行っていました。手間をかけ、時間をかけ、長期熟成をする会津味噌は、味と保存性に優れ、県内外に徐々に広まっていった歴史があります。


味噌を使った福島県の郷土料理を紹介

福島県の味噌愛は、多様な郷土料理にも表れています。おいしく、栄養価の高い味噌は、さまざまな趣向をこらした料理を生みました。そのなかから、一部を紹介します。

さあ、福島の「味噌」旅をスタートしましょう!

香ばしい焼き味噌がたまらない「しんごろう」

福島県の南会津地方の郷土料理です。すりつぶしたエゴマ(じゅうねん)を味噌や砂糖で合わせた「じゅうねんみそ」を、ご飯をつぶした団子の表面に塗り、焼き上げます。コク深いエゴマと、香ばしい焼き味噌の風味が絶品。素朴ながらも病みつき必須の味わいです。

ちなみに料理名となった「しんごろう」とは、とある若者の名前だそうです。正月に餅を食べられなかったシンゴロウさんが、悔しくてつくったのが始まりだとか。ずいぶんとかわいらしい、いわれですね。しんごろうを食する機会があれば、ふてくされたシンゴロウさんの顔を想像しながら食べてみるとおもしろいかもしれません。

濃縮されたうま味に、味噌をひとすくい「どぶ汁」

いわき市をはじめとした福島県浜通り南部で食べられている、特産品「あんこう」を使った郷土料理です。元は漁師飯で、現在のあんこう鍋はどぶ汁の派生だともいわれています。

どぶ汁の特徴は、水を使わないこと。船では飲み水が貴重品となるので、なるべく使わないようにしていたのかもしれませんね。作り方は、あんこうの身と野菜を火にかけ、食材から出た水分に、味噌を加えて味を調えます。あんこうのうま味や野菜の甘みが濃縮された味わいには、パンチのある味噌味が納得の決め手となるのです。とろりと濃厚な味わいは、まさに古くから愛される「とっておき」です。


何個でもパクパクいけちゃう「味噌かんぷら」

福島県南に位置する古殿町などで作られている郷土料理です。かんぷらとは、じゃがいものこと。一説では、売り物として出荷できないほど小さなかんぷらを、家庭で大量消費するために考案されたアイデアレシピだとか。

味噌かんぷらの作り方は、皮のついたままの小芋を油で揚げて、砂糖と味噌で煮絡めます。皮をむく必要がないので、一度にまとめて作るのが吉。口の中でかんぷらの皮がプチっとはじけ、甘めの味噌に味付けられたかんぷらの身がねっとりと…「うまくない」わけがない!おかず・おつまみ・おやつなど、幅広い年代に愛される料理です。


囲炉裏でゆっくりじっくりと「味噌田楽」

日本各地で食べられている田楽は、平安時代に農村で豊作を祈って行われた風習「田楽舞」の衣装と、姿が似ていることが名前の由来となったそうです。福島県会津地方でも、味噌味の田楽が郷土料理として食べられています。

豆腐をはじめ、もちや野菜、魚などに会津味噌で作ったタレを塗り込んで、囲炉裏であぶると…食欲をそそる味噌の香ばしいかおりが漂います。素材のおいしさを引き出す「シンプルisベスト」の極み、ここにあり。囲炉裏がパチリパチリとはぜる音を聞きながら、ゆっくりと堪能したい逸品です。


豆のうまみが味噌と溶けあう「打ち豆汁」

厳しい冬が長く続く会津地方では、技術と知恵を駆使した保存食が作られています。その1つが「打ち豆」です。打ち豆とは、青大豆を木槌でたたいてつぶし、乾燥させたもの。保存がきくうえ、丸のままの豆よりも手早く調理できるため、貴重なたんぱく源として重宝されていました。

打ち豆をみそ汁の具に使ったものが、打ち豆汁です。豆から溶け出したうま味が汁全体に広がり、やさしい味わいになります。みそ汁は素材同士が味を引き出し合う、掛け算がおもしろい料理です。味噌と打ち豆も、ベストマッチな組み合わせ。心にも体にも栄養が行きわたる、至極の一杯を楽しめます。


味噌だけでご飯が何杯もイケる!会津天保のおかず味噌シリーズ

福島県民は、ご飯のお供としても味噌を愛しています。「味噌を添えるだけ」、魔法のひとさじでご飯をモリモリとかきこんで、大きくたくましく育ってきたものです。

ご飯のお供としてぜひ常備しておきたいのが、会津天保から販売されている「おかずみそ」シリーズ。THE定番の「大葉みそ」をはじめとして、「ねぎみそ」や「肉みそ」など、ご飯食べすぎ不可避なラインナップが揃っています。


「ご飯のおかずを作りたくない」「え、やば、寝坊した」…など、ササッとご飯だけを食べたくなるときってあるじゃあないですか。そんなとき、おかずみそシリーズが冷蔵庫にあれば、頭の中はファンファーレ。後光がさして見えるほど、おかずみそがありがたく感じるものです。

もちろん、ご飯にのせるだけじゃなく、アレンジレシピにも使えます。スティックサラダにディップしたり、炒め物に使ってもアリですよ。ぜひ一度お試しください。

会津天保<Information>


まとめ

今回は「福島県の味噌愛」をテーマに、福島県の味噌事情を深掘りしました。

和食において、定番すぎる定番の調味料「味噌」。しかし福島県での味噌は、さまざまな郷土料理に使われ、ご飯のお供に数えられるなど、調味料の域をこえた受け止められ方をしています。昔々、食生活が現代よりもずっと質素だった頃は、味噌は単なる味付け用ではなく、味噌自体が貴重なたんぱく源だった由縁かもしれません。

ぜひ福島を訪れた際には、食文化のひとつとして「味噌」を味わってみてください。


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