伝統工芸品

【福島県福島市】 後世に残したい福島県の文化財「福島市民家園」

「福島市民家園(ふくしましみんかえん)」は、消えゆく運命にあった古い茅葺き屋根の木造建造物や芝居小屋など将来へ伝えたい大切な民族遺産を一堂に集め、保存、展示する施設です。

あわせて、福島県に伝わる季節の行事や養蚕(ようさん)、田植え、稲刈り、わら細工などの体験が楽しめます。

福島県各所から集められた茅葺き屋根の民家

「福島市民家園」には江戸時代から明治時代初期に建てられた6軒の茅葺き屋根の農家が集められました。

建物の造りは平屋建て5軒、そのうちに“曲屋(まがりや)”が1軒含まれます。あと1軒は2階建てで、いずれも屋根裏部屋を備えています。

貴重な茅葺き屋根の農家、「旧渡辺家」「旧奈良家」「旧菅野家」「旧阿部家」

旧阿部家と七夕の飾り (画像提供:福島県)

「旧渡辺家」「旧奈良家」「旧菅野家」「旧阿部家」は平屋建てのまっすぐな家(直家/じかや)です。「旧阿部家」は一般的な農家で、そのほかは部屋数も多い大きな農家だったようです。

建築年代はいずれも江戸時代です。

「旧奈良家」「旧菅野家」「旧阿部家」は福島県指定重要文化財、「旧渡辺家」は福島市の有形文化財に指定されています。

馬と暮らした曲屋「旧馬場家」

旧馬場家。手前の三角屋根の建物が厩 (画像提供:福島市)

「旧馬場家」は、江戸時代に建てられた曲屋です。

曲屋は関東地方以北、特に福島県や新潟県、山形県などの豪雪地帯に多く建てられていました。母屋と厩(うまや/馬を飼う小屋)をL字型につなげた曲屋は、農耕や運搬用の大切な家畜だった馬と人間が一緒に暮らせるようにと生み出された建築方法です。

曲屋にすることにより

①すぐ近くで馬の様子が見られ、世話ができる 

②馬も暖房が効いた部屋にいられる 

③世話する人も雪の中を行かないですむ 

④離れたところに厩があると、風雪などで厩がつぶれても気づかない

などのメリットがありました。馬を農耕などに利用することはなくなってしまいましたが、今でも会津地方には100軒以上の曲屋が残っています。

上階で蚕を飼育した養蚕農家「旧小野家」

旧小野家。2階(正式には中2階)と屋根裏部屋で蚕を飼育していた

「旧小野家」は明治時代初期に建てられた2階建ての養蚕農家です。建築様式では足場式中二階建て(あしばしきちゅうにかいだて)といい、2階に見えるのは正式には中2階だそうです。

養蚕とは、絹糸を取るために蚕(かいこ/カイコガの幼虫)を飼育し、繭(まゆ/カイコガのさなぎ)を作る仕事で、福島県は日本有数の養蚕地帯でした。

蚕は温度、湿度の変動に弱いため、常に囲炉裏の熱が回る2階(中2階)や屋根裏部屋で育てる必要があったのです。

「旧小野家」に見られる屋根裏部屋の明かり取り用窓は福島県独特の造り方だそうです。

芝居小屋「広瀬座」は国の重要文化財

広瀬座。香川県琴平町の「金丸座(かなまるざ)」を模して建てられた (画像提供:福島市)

「広瀬座(ひろせざ)」は、旧梁川町(やながわまち/福島県伊達市<だてし>)に1887年(明治20年)頃建てられた芝居小屋で、隣接する河川の氾濫で被害を受けた1986年(昭和61年)までは大衆演芸や映画館として使用されていました。

その後取り壊しも検討されましたが、福島市が買い取り、「福島市民家園」に移築されたのです。

芝居小屋時代に復元された広瀬座の内部

「広瀬座」は回り舞台や奈落(ならく)、花道(はなみち)、桟敷(さじき)などの機能をほぼ揃えている貴重な芝居小屋で、舞台や客席などは見学できます。

「広瀬座」は文化的価値の高い芝居小屋として国の重要文化財に指定されています。

伝承されてきた年中行事や伝統工芸

展示されている養蚕農家の道具

「福島市民家園」では、福島県に伝承されている年中行事の展示や生活必需品の製作、農作業、養蚕作業などが季節に合わせて体験できます。

例えば農作業は5月初旬に“田おこし”、中旬に“田植え”、秋には“稲刈り”が行われます。

また、夏休みには“昔の農家暮らし”など都会暮らしだと経験できない貴重な時間を過ごすことができます。

“田植え”や“昔の農家暮らし”など一部のイベントは事前申し込みが必要です。

“正月”“小正月”“節分”“桃の節句”“端午(たんご)の節句”“お盆”などの行事は自由に見学できます。

旅館や倉などの貴重な建物や道具なども展示

旧筧家宿店。江戸末期から明治時代初期に建てられたもので、2階部分が宿泊用の部屋

「福島市民家園」には、このほかにも、昔旅籠(はたご/宿泊施設)だった建物(旧筧家宿店<きゅうかけいけしゅくてん>/福島市指定有形文化財)や料亭旅館「元客自軒(もときゃくじけん)」(福島市指定有形文化財)」、民家で使われていた木造の倉(板倉<いたくら>)、橋銭小屋(はしせんごや/橋の通行料を払う小屋)、古い農機具や機織り(はたおり)機など、珍しい建造物や小屋、道具などが展示されています。

まとめ

「福島市民家園」は、昔の福島県を知る上で、また未来へ伝承すべきものは何かを学ぶ場として、大変貴重な体験ができます。

是非、家族そろって訪ねて、親が子へ大切なものを伝える場として活用してください。

INFORMATION
  • 名称:福島市民家園
  • 所在地:福島県福島市上名倉字大石前地内(あづま総合運動公園内)
  • 電話番号:024-593-5249
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Editor-SK

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酒、音楽、旅行が好きで平日は仕事終わりに酒に溺れ、休日は空きあれば近隣へ旅行に出かけています。いづれはNEFT取材で東北の縁を探しに海外へ!を目標に日々勤しんでおります。

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