郷土料理

【福島県田村市】福島の絶品郷土料理「さい餅」?欠かせない材料「じゅうねん」とは?

冬といえば、餅が恋しくなる季節。子どもの頃、正月になれば餅を一心に頬張った思い出のある方も少なくはないのではないでしょうか。

今回は福島県田村市に伝わる郷土料理「さい餅」を紹介します。材料はとてもシンプルで、見た目も素朴。しかし一口食べれば、まろやかな口当たりと、「じゅうねん」のコク深い風味がクセになる。美味しいものを家族に食べさせたいと願う、田舎の知恵と温もりを感じる料理です。

さい餅は飲食店では見かけることが少なく、まさに「家庭の味」といえる一品。興味を持ってもらえたなら、ぜひご自宅で調理にチャレンジしてみてくださいね。

さい餅に使われる「じゅうねん」とは

「じゅうねん」とは、エゴマの別名です。エゴマはシソ科に属する植物であり、ゴマ科に属するゴマとは全くの別物。東南アジア原産のエゴマは、夏になるとシソよりも大きな葉をたくさん茂らせます。葉は繊維質が強く独特の風味があるため、日本国内ではあまりなじみがありませんが、韓国ではキムチの材料としたり焼肉を巻いて食べたりするそうです。

なぜエゴマがじゅうねんと呼ばれるのか?それには諸説あります。エゴマを食べると寿命が10年延びるといった言い伝えから取られた説と、10年間保存しておいたエゴマの種も蒔けば芽吹くといった言い伝えが由来しているとした説が有力です。

近年ではエゴマの持つ成分が健康に期待できると話題になり、エゴマ油がスーパーの売り場にも姿を見せるようになりました。ゴマ油が香ばしいかおりを持つ一方で、エゴマ油は無味無臭に近いです。熱に弱い性質から、ドレッシングなどでの利用が推奨されています。

エゴマの実は白と黒があります。生でも食べられるものですが、煎ると食感や風味が際立つため、すった状態で利用する際も一度乾煎りすることが、おいしく食べるためのポイントです。すでにすりつぶした状態の、すりえごま(えごまパウダー)という商品も販売されています。

エゴマは福島県になじみのある食材

福島県には昔からエゴマを食べる文化があり、県内各地にエゴマを使ったレシピ・食材が受け継がれています。

エゴマを使った郷土料理の1つが、「じゅうねんぼたもち」です。作り方はシンプルで、すりつぶした黒エゴマに砂糖と塩を加え、きなこのようにしたあんを、ぼたもちに絡めます。じゅうねんの持つ香ばしい風味をストレートに感じられる一品です。

また香り高い「じゅうねん味噌」も代表的な例でしょう。乾煎りしたエゴマをすりつぶし、甘味噌に加えて練り上げます。つややかな甘味噌は、あつあつの炊き立てご飯と相性抜群。冷たいきゅうりや豆腐の上にのせてもおいしく、ついついお酒が進んでしまう肴に。

タレにじゅうねんをふんだんに加えた「じゅうねん冷だれうどん」も絶品です。すりつぶしたエゴマに砂糖・味噌・しょうゆを加え、つけだれとしていただきます。一般的なごまだれとはまた違った味わいで、夏場の食欲が落ちているときでも食べやすいのが嬉しいところ。

このようにエゴマは昔から福島県全域で食べられる、身近な食材です。

福島県田村市に伝わる「さい餅」の作り方を紹介

福島県の中央部、中通りに位置する田村市には「さい餅」という郷土料理が存在します。田村市の各家庭に脈々と受け継がれ、お正月やお祝い事のほか、おもてなしの際にも振舞われてきました。ベースが家庭料理のため、残念ながら現在の飲食店などで姿を見ることは稀です。味わってみたかったら自分で作るしかない、まさにレア郷土料理といえます。

さい餅に使われる餅は、よく見る一般的な餅です。特徴的なのは、餅に絡めるあんで、白えごまと豆腐を材料として作っていきます。

豆腐を餅に絡める?なかなかイメージがつきづらいですよね。料理で例えるなら、白和えをよりクリーミーにしたものが近いところでしょうか。まったりと味わい深く、かといってコッテリしすぎないやさしい風味が絶妙です。

ここからは、さい餅のレシピを紹介します。

<材料>

  • 餅(つきたての餅、もしくはレンジ加熱などでやわらかくした餅)
  • 白エゴマ 100g
  • 木綿豆腐 1丁

(A)

  • しょうゆ 大さじ4
  • 砂糖 大さじ4
  • みりん 大さじ1
  • 酒 大さじ1
  • だしの素 少々

<作り方>

①白エゴマを軽く乾煎りする。豆腐の水をよく切る。

②すり鉢で白エゴマをする。そこに木綿豆腐を加え、こねるように混ぜ合わせる。

(A)を加え、よく混ぜ合わせる。ゆるいペースト状になるよう、お湯(分量外)を少々足す。

④油をひいて温めた鍋に③を注ぎ、混ぜながら少しとろみが出るまで炒める。

⑤餅を④に加え、よく絡める。

出来上がった「さい餅」をお皿に移し、以上で完成です。

上記レシピは一例で、調味料の分量は家庭によって異なる、まさに家庭の味がある料理です。家族の好みの味を見つけるために試行錯誤を重ねたレシピが、今日まで受け継がれていることを考えると感慨深いものがありますね。

また、えごま使用のものとは風味は異なりますが、一般的なゴマを使用しても「さい餅」はつくれます。えごまが手に入りづらいときはぜひ活用してください。

まとめ

今回は福島県田村市に伝わる伝統料理「さい餅」を紹介しました。昔から滋養高い食材だと伝えられていたエゴマ(じゅうねん)をふんだんに使う贅沢な料理です。シンプルな材料ながら、食材の風味を活かしてコクを深めた味わいは、先人たちの知恵の結晶ともいえます。

飲食店ではお目にかかれないレア度の高い料理ですので、郷土料理好きさんはぜひレパートリーに加えるべく、挑戦してみてくださいね。

motohal

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30代女性/福島県/地域・グルメ・女性ライフスタイル等の執筆を手がけるライター

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