
【宮城県仙台市】古代と近代の「穴」が混在する遺跡「愛宕山横穴墓群」と「愛宕下水力発電所跡」
仙台市の中心部、JR仙台駅から南へ約2km、愛宕大橋を渡った広瀬川沿いの断崖に奇妙な横穴が点在する遺跡があります。
愛宕山横穴墓群(あたごやまよこあなぼぐん)と呼ばれる遺跡で、すぐ近くには大正~昭和期に稼働していた水力発電所の遺構もあり、とにかく「穴」がたくさんあるミステリースポットです。
穴の正体は7~8世紀頃に造られた横穴式の墓群
穴が存在するのは広瀬川沿いの愛宕山中腹で、最寄りの駅は仙台市営地下鉄南北線「愛宕橋駅」。GoogleMapで確認するとちょうど真上に愛宕神社を見上げる場所にあります。

愛宕大橋から見下ろした広瀬川。この広瀬川脇の砂利道を上流に向かってしばらく歩きます。

愛宕大橋から五分ほど上流に向かって歩くと、ちょうど真上に愛宕神社があるあたりで岩肌に奇妙な穴が多数あいている光景が目に飛び込んできます。

近づいてみるととにかく沢山の穴が。どれも断崖の高い部分にあるので内部を覗き込むのは困難です。

すぐ近くには「愛宕山横穴墓群」と記された標柱が。標柱には以下のような説明書きがあります。
横穴墓は、凝灰岩などの柔らかい地層に、横から穴を掘り込んで墓としたもので、墳丘をもたない。愛宕山横穴墓群は、愛宕山の北斜面と東部南斜面を中心に分布しており、造営時期については7~8世紀、横穴墓群全体の実数は100基を越すと考えられている。

この記載の通り、これらの墓群は7~8世紀の古墳時代に造営された墓群で、すぐ近くの大年寺山周辺の大年寺山横穴墓群、二ツ沢横穴墓群、茂ヶ崎横穴墓群や下流の宮沢橋付近で発見された宗禅寺横穴墓群と合わせて向山横穴墓群と総称されています。
しかしこの愛宕山横穴墓群を含め多数の遺跡が宅地造成や道路開削によって破壊され、数や位置が不明のまま失われたものが多いようで、現在でも明確に墓群遺跡と分かる形で見ることができるのはここのみのようです。
横穴の存在自体は古くから地元民に知られていて、その後も周辺では1936年の道路開削工事、1973年の愛宕大橋の工事、1976年の道路工事、1991年の住宅造成工事と、開発の度に新たな穴が発見され、埋葬された人骨、須恵器や直刀、ガラス玉などの副葬品が発見されています。
大正から昭和にかけて稼働していた「愛宕下水力発電所跡」
愛宕山横穴墓群の一番端に、違和感なく並んでいるのに他の穴とは少し雰囲気の違う、コンクリートで成形されたような穴と構造物が存在します。

これは大正9年(1920年)に仙台電気工業株式会社が操業した水力発電所で、当時は「青葉電気工業発電所」と呼ばれていた発電所の開放型反動水車と呼ばれる設備の遺構のようです。昭和4年(1929年)頃に操業を停止し現在に至ります。
現在は愛宕下水力発電所跡と呼ばれています。

過去には中を探索することもできたようですが、現在は入り口が封鎖され立ち入り禁止になっています。

錆びて朽ちた扉の隙間から中を覗き込んでみると多くの残置物が。駐車禁止と書かれたパネルの下には「元愛宕下発電所研究会」と記載されています。過去にここを調査していた人の残したものかもしれませんね。
ネットで「愛宕下水力発電所」と検索してみると、過去に内部を探索した人のブログをいくつか発見できます。内部構造に興味がある方は検索してみてください。
愛宕山横穴墓群<Information>
- 名 称:愛宕山横穴墓群
- 住 所:〒982-0841 宮城県仙台市太白区越路4丁目6−1
- 電話番号:ー
- 公式URL:仙台市公式HP – 愛宕山横穴墓群