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【福島県会津地方】「まんじゅうの天ぷら」は本当においしいのか?有名店や作り方のコツを紹介
目次
天ぷらの定番の材料といったら、何を思い浮かべるでしょうか?エビ・さつまいも・舞茸・大葉・そして、まんじゅう。
…え、まんじゅう?そうです。あの、あんこが入ったまんじゅうです。福島県会津地方では、「まんじゅう」を天ぷらの具材にする文化があります。奇想天外な食べ物のように思われるかもしれませんが、意外とアリなので、未体験の方はぜひ一度お試しいただきたい。
今回は「まんじゅうの天ぷら」の魅力を、声を大にしてお伝えしたいと思います。
何で「まんじゅう」を揚げちゃうの?
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福島県を始め、東北地方の田舎にとって、天ぷらは1つの文化です。冠婚葬祭や盆正月、人が集まることの多かった時代は特に、まとめて用意しやすく、冷めてもおいしい天ぷらは定番メニューだったと言えるでしょう。さらに、加熱してあるため傷みにくいのも、夏場にはうれしいポイントです。
福島県の会津地方で、なぜまんじゅうを天ぷらにし始めたのか。一説によると、仏壇にお供えして硬くなってしまったまんじゅうを、おいしく食べるための知恵だったとか。なので、常日頃の食卓に並ぶというよりは、まんじゅうがあるときに思い立ってつくる、気ままな料理のようです。
ちなみに、和菓子店でたまに見かける「揚げまんじゅう」や「かりんとうまんじゅう」とは似て非なるもの。まんじゅうの天ぷらは、まんじゅうの天ぷら。エビや野菜の天ぷらをつくるのと同じく、天ぷらの衣をまとっています。
「まんじゅうの天ぷら」と言ったら「強清水」が有名
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今となっては会津の郷土料理として知られるまんじゅうの天ぷらですが、前述の通り、本来は家庭の味といえるもの。お店で食べる料理という認識は薄いものでした。しかし福島県には、まんじゅうの天ぷらの「有名店」があります。それが、「強清水(こわしみず)」です。
会津若松市から猪苗代へ抜ける街道沿いに店をかまえるのが、会津名物三大茶屋のひとつに数えられる「強清水 元祖清水屋」。こんこんと湧き出る澄みきった清水が、地名の由来と言われています。ちなみに強清水には、こんな伝説が残されているそうです。
『働き者の木こりの与曽一、怠け者で悪さばかりをする息子の与曽二という父子がいました。猪苗代湖の水も底が見えてしまうほどの日照りが続き、2年続いて大凶作となった年は、与曽二も飢えでへとへと。しかし父の与曽一はというと、山仕事を終えて帰ってくると、いつもほろ酔い気分。不思議に思った与曽二は、ある日こっそりと父のあとをつけてみました。すると、父は帰り道の清水を飲んでほろ酔いになっていたのです。これはしめた、と与曽二が水を飲んでみたのですが…なんとそれは、ただの清水。それからしばらくたった夜、与曽二が寝ていると枕辺に弁財天が現れました。「あの清水は、人々に幸せをもたらす恵みの泉。しかし、あなたは恩恵を授かりませんでしたね。なぜだったのか、わが身を振り返って見なさい」と、静かに諭したそうです。その神々しさに強く心をうたれた与曽二は、自らの罪を顧みて、生まれ変わったような孝行息子となりました。そして清水の近くに御堂を建て、堂守りとして長くそこに住んだそうです。』
強清水に湧き出る清水は、人々に恵みを与えるものとして昔から大切にされていたのでしょうね。
元祖清水屋で出されるまんじゅうの天ぷらは、手作りのまんじゅうを使ってつくられます。茶まんじゅうの皮は薄めで、中にはこしあんがたっぷり。揚げたては、見るからにアツアツで、サクサクです。
さて、いただきます…と、かぶりつく前に、“あること”に気づいて、ピタリと箸がとまる人も多いでしょう。まんじゅうの天ぷらは、何をつけて食べるべきか。普段の天ぷらは塩や天つゆで頂く方も、まんじゅうが相手では、最適解に悩んでしまうかもしれません。
迷ったときのおすすめは、「しょうゆ」です。甘いあんこと、しょっぱいしょうゆの組み合わせが、とても合います。サクッと衣がはじけると、中からむっちりとした甘いまんじゅうが現れ、しょうゆの塩っ気がじんわり。油がしっかりと切れているので、がっついても胃もたれしません。
ちなみに元祖清水屋で、まんじゅうの天ぷらに並ぶ名物が、にしんの天ぷら、するめの天ぷらです。まんじゅう・にしん・するめが盛り合わせになった天ぷらセットもあります。ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
元祖清水屋<INFORMATION>
- 施設名 元祖清水屋
- 所在地 福島県会津若松市河東町八田 字強清水406-1
- 電話番号 0242942008
- Webサイト https://www.aiaiaizu.com/shimizuya/shimizuya.html
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家でつくれる?まんじゅうの天ぷら
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まんじゅうの天ぷらは、もちろん家でもつくれます。通常の天ぷらと同じように、まんじゅうを天ぷら粉の衣にくぐらせて揚げるだけ!使うのは、スタンダードな茶まんじゅうがおすすめです。
おいしくつくるためのコツを紹介します。
- 衣はボテっとさせずに、軽めにつける
- 油の温度は170℃で、揚げ時間は2~3分ほど
- 表面が固まるまで、そっとしておく
衣の食感は、サックリが理想です。食感が楽しく、軽やかに楽しめます。ぜひ自宅にまんじゅうがあるときに、チャレンジしてみてください。ハマれば、天ぷらにするためにまんじゅうを買いたくなってしまうかも?
「まんじゅうの天ぷら」はとてもおいしい郷土料理
今回は福島県会津地方に伝わる郷土料理「まんじゅうの天ぷら」を紹介しました。
まんじゅうの天ぷらは、かりんとうまんじゅうや揚げまんじゅうとは似て非なるもの。名前だけ聞けば、「えっ?」と驚いてしまうかもしれませんが、食べた後は、その美味しさに驚くことでしょう。会津旅行の際はぜひ、強清水で本場伝統の味をお楽しみください。ご自宅で揚げたて熱々を食べるのもおすすめです。