【宮城県】秘湯や名湯、ユニークな泉質で選ぶ宮城県のおススメ温泉3選!
目次
東北六県では温泉の数が一番少ない宮城県ではありますが、少ないながらも個性的な泉質をもつ源泉が点在しています。
5つの温泉地がある鳴子温泉郷や仙台市内から近い秋保温泉などの有名温泉のほかに、昔から湯治場として利用されてきた歴史ある温泉が多いのも宮城県の特徴です。
この記事では室町時代に端を発する古湯から平成に掘り当てられた新しい温泉まで、一度は訪れてみたい3つの温泉をご紹介します。
室町から続く奥羽の薬湯「鎌先(かまさき)温泉」(白石市)
今から600年ほど昔、木こりが持っていた鎌で岩を打ったら噴き出したとの言い伝えから名付けられたこの温泉は、かの伊達政宗や白石城主だった腹心の片倉小十郎も入湯したとされている名湯です。
鉄分が多いため薄い褐色となっている源泉は、湯上り後に湯冷めしないほか、切り傷の治りが早くなるとして「奥羽の薬湯」とも呼ばれています。
成分は「ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉」で、切り傷のほか脚気・やけど・打撲傷・神経痛・運動麻痺・リューマチ・婦人病・冷え性・胃腸病・痔疾患などへの効能があります。
公家から宿主、鎌先温泉最古の宿「時音の宿 湯主一條」
この宿を開いた一條家の祖先は、京都の公家の出である事が書面や家系図などに残されています。
戦国の昔、この祖先は今川義元の食客として仕えていましたが今川家の滅亡後にこの地にやって来て、そこに湧く源泉の価値を見出し、地元の住民の協力を得て温泉宿を創業したのがこの温泉宿の始まりです。
伊達藩となってからは、一條家はこの鎌先温泉の「湯守り」として管理する事を命じられ、江戸時代には「傷に鎌先」との評判が立つほど有名な湯治場となって今日に至ります。
宿のお湯は伝統の切り傷に聞く源泉「薬湯」のほかに、肌がつるつるになる「洞窟の湯」と名付けられた源泉も引かれていて、その違いを楽しめます。
客室はシンプルながら風情のある和室から露天風呂付きのスイートル―ムまで、和洋さまざまな要素が取り入れられたお部屋から好みに合わせて選べます。
緑豊かな「一條の森」に建つ木造3階建ての本館は、ジブリ映画の「千と千尋の神隠し」に登場する湯屋に似ているとして「聖地」とするファンが多く、そのたたずまいに魅了されて連泊する常連客も多いようです。
この本館は個室料亭に改装されていて、夕食と朝食ともに「ミシュランガイド宮城」で3ツ星が与えられた会席料理をゆったり味わうことができます。
時音の宿 湯主一條<Information>
- 施設名:時音の宿 湯主一條
- 所在地:宮城県白石市福岡蔵本鎌先一番48番地
- 電話番号:0224-26-2151
- URL:湯主一條 公式サイト
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自然の中で時を過ごす「峩々(がが)温泉」(柴田郡川崎町)
蔵王山のふもとの山間にあるこの秘湯には、湯治場として150年の歴史があります。
宮城県内にある源泉ではあまり類を見ない「ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉」で、群馬の四万温泉や大分の湯平温泉とともに「日本三大胃腸病の名泉」に挙げられ、飲泉も可能です。
「日本秘湯を守る会」会員の一軒宿では100%源泉かけ流しにこだわり、「かけ湯」「飲泉」「入浴」の3つの方法での昔ながらの湯治入浴を楽しめます。
かけ湯とは湯船に置かれた竹筒で患部に源泉をかける入浴方法で、こちらでは1日100杯のかけ湯が伝統とされています。
何もない湯治場から生まれたぜいたくな温泉宿「峩々温泉」
昔から山間の湯治場としてひっそりとたたずんでいた一軒宿の湯治場が、その雰囲気を残しつつも非日常のぜいたくな時を過ごす温泉宿に生まれかわりました。
大浴場にはゆったり浸かる38~42℃の「ぬる湯」と、かけ湯を楽しむ47℃の「あつ湯」があるほか、
男女別と混浴の3つの露天風呂と、周りを気にせず楽しめる貸切露天風呂があります。
客室は、源泉かけ流し温泉風呂付きの広いお部屋や、床暖房入りのフローリングタイプの和洋室などのほかに、シンプルな設備でリーズナブル価格の連泊滞在向けの8畳和室などもあり、湯治の雰囲気も残されています。
今は自炊が無くなり食事付きの宿泊のみで、気のぬくもりを感じる食事処「さくらダイニング」で提供されるのは、蔵王の山の幸が大切に使われた身体に優しい料理です。
とくに朝食には天然水で炊かれたつやつやのご飯や、蔵王の野菜たっぷりのお味噌汁に鮮度にこだわった温泉卵などが出され、「胃腸食」と名付けられています。
峩々温泉<Information>
- 施設名:峩々温泉
- 所在地:宮城県柴田郡川崎町前川峩々1
- 電話番号:0224-87-2021
- URL:峩々温泉 公式サイト
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平成に現れた数億年前の太古の天泉「松島温泉」(宮城郡松島町)
日本三景・松島の観光客宿泊数が減少している事への対策として2000年代に温泉掘削が行われ、それまでは山側に約14℃の冷泉が1ヶ所あっただけのこの地の地下1,500mで発見された温泉です。
古生代地層に溜められて温められた数億年前の地下水が源泉となったと考えられ、これらの源泉は「太古天泉 松島温泉」と名付けられました。
松島温泉では現在、次の異なる泉質をもつ3ヶ所の源泉があります。
- 松島温泉第一号泉:アルカリ性単純温泉(泉温52.5℃、pH8.6)、無色透明
- 太古天泉の湯:ナトリウム-塩化物泉(泉温53.3℃、pH8.1)、茶褐色
- 松島壮観の湯:ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(泉温54.8℃、弱アルカリ性)無色透明
全体的に弱アルカリ性であるためにとくに美肌効果があり、肌がすべすべしっとりすると評判で、温泉には8つの温泉宿があります。
そのほか神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進なども適応症です。
全室が松島湾ビューの温泉リゾート「元湯 海風土(うぶど)」
松島温泉第一号泉の元湯として屋上露天風呂と男女別の大浴場のほかに、客室の露天風呂や展望風呂にも源泉がかけ流されています。
全26室の客室のうち16室に露天風呂や展望風呂が付いていて、松島湾の眺望を独り占めしながら温泉入浴を楽しめる客室露天風呂付きのお部屋がおススメです。
料理は松島湾や三陸海岸の旬の魚介類がふんだんに使われ、素材の味が十二分に引き出された和食会席で、朝食ではテーブル上で作られる湯葉豆腐と3種類から選べる焼き魚が好評です。
松島温泉元湯 海風土<Information>
- 施設名:松島温泉元湯 海風土
- 所在地:宮城県宮城郡松島町松島東浜5-3
- 電話番号:022-355-0022
- URL:海風土 公式サイト
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まとめ
かつての仙台藩では温泉を藩の大切な財産として「湯守り」を置いて維持管理を命じ、入浴客から徴収した湯銭を藩の財政としていました。
また、伊達政宗公をはじめとして歴代藩主も温泉好きであったとされ、各地の温泉をしばしば訪れては楽しんでいたという記録も残されています。