【岩手県北上市】「鬼の館」は世界中の鬼が集う鬼の博物館!
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岩手県北上市には、鬼をメインに据えた全国的に見てもレアな博物館があります。それが「北上市立鬼の館」です。
鬼といえば日本の童話や昔話に良く出てきますよね。「桃太郎」や「泣いた赤鬼」などが有名ですが、前者では倒すべき怖くて悪い鬼、後者では愛すべき心優しい鬼が登場します。
鬼というと怖いイメージが先行しがちですが、実際には怖い鬼、優しく気弱な鬼と、鬼にもそれぞれキャラクターがあります。
そんなありとあらゆる鬼を、日本のみならず世界中から集めた鬼の博物館と呼べる場所が、北上市の和賀町岩崎地区にある鬼の館です。今回はこの鬼の館を紹介していきます。
北上鬼剣舞の大型鬼面と鬼太郎がお出迎え
館内に入ってまず目に飛び込んでくるのは地元北上に伝わる北上鬼剣舞の大型鬼面です。
北上市の岩崎地区が発祥と伝わる「鬼剣舞(おにけんばい)」は約1200年の伝統を誇る岩手県を代表する民俗芸能の一つです。
大型鬼面に見とれながらふと横をみると見慣れたキャラクターが佇んでいます。そう、あの人気アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の仲間たちのオブジェが展示されています。
鬼太郎は幽霊族の末裔で鬼ではないですが、名前の「鬼」繋がりからなのか鬼の館の出迎え役を担っています。
展示室前のスペースには「鬼」にまつわる民芸品や凧、鬼剣舞の人形など様々なものが展示されています。
そして小鬼が佇む「鬼居る門」から本格的な鬼の世界へと進んでいきます。ちなみに読み方はおにいるかど、いわゆる「鬼門(きもん)」のことです。
門の向こうは木々が生い茂る鬼の世界!?
門を過ぎるとまず現れるのが木々の生い茂るちょっと不気味な空間。少しすると正面のスクリーンに映像の上映が始まります。
約7分間の「鬼」のイメージ映像で、じっくり見るもよし、そのままスルーしてもよしです。
鬼の世界を堪能できる様々な展示!
ここからいよいよ鬼の世界を覗き見る展示がスタートします。
日本に古来より伝わる様々な「鬼」を紐解く|鬼曼荼羅展示
まず最初は「鬼曼荼羅」。日本に古来より伝わる様々な鬼が「大人」「妖怪」「鬼神」「餓鬼」と四つの要素に区分され展示されています。
最初に「心優しい鬼もいる」といいましたが、やはり基本的には不気味であったり、恐ろしい存在として伝わるものが多いようです。お子さんには少し怖い展示が多いかもしれません。
伝承などに基づく細やかな解説等があるので、歴史や風習・民俗学などが好きな人には興味深いものがたくさんあります。大人の方が見入ってしまうかもしれませんね。
ちなみにここには展示室に入る際に通ってきた鬼居る門こと鬼門(きもん)の解説もあります。よく耳にする言葉ですが鬼門とはいったいどういったものなのか?その答えもここで知ることができます。
全国の鬼面が一堂に会する|日本の鬼まつり展示
次のブースでは日本各地の「鬼まつり」とそれにまつわる「鬼面」が展示されています。一堂に会する鬼面は見ごたえがあり、日本各地に鬼伝承が息づいていることを実感させられます。
世界の妖怪から神様まで!|世界の鬼展示
この辺で展示も折り返し地点。次に現れるのは「世界の鬼」展示です。
「これが鬼?」と思われるものもいくつかありますが、「鬼」という概念自体が日本固有のものだと思われるので、ここは「世界の妖怪や神様」と解釈した方がしっくりくるかもしれません。主にインド、東南アジア、中国のものが展示されています。
入り口で出迎えをしてくれたゲゲゲの鬼太郎の作者、故水木しげる先生の世界観が好きな人には垂涎の展示ですね!同氏の作品に出てくる南方妖怪を彷彿させるものが多数展示されています。
地元北上の民俗芸能|鬼剣舞展示
鬼の館の展示のフィナーレを飾るのは地元北上市伝統の鬼剣舞(おにけんばい)にまつわる展示です。
前述していますが、「鬼剣舞(おにけんばい)」は北上市の岩崎地区が発祥と伝わる約1200年の伝統を誇る岩手県を代表する民俗芸能の一つで、豊作や泰平、悪霊退散を祈願する踊りです。
1993年に国指定の重要無形民俗文化財となっています。
鬼剣舞に代表される北上の鬼は畏怖の対象ではなく、むしろ安寧を想起させる仏の化身としての性格を持っており、角がないことが特徴です。
さらにここでは「春来る鬼」と呼ばれる、秋田のナマハゲに代表される来訪神の解説や展示もあります。ナマハゲのような来訪神は実は日本各地に存在するようで、「神様」なので厳密には「鬼」ではありません。
岩手県三陸町(現大船渡市)の吉浜地区に伝わる小正月の来訪神スネカ。装いと表情を読み取れないお面が何とも不気味でした。
ナマハゲと同様に「なぐワラシャ いねが」と各戸を訪ね歩くのだそうです。これは子供は確実に泣きますね…。
鬼に関するQ&Aが面白い
館内には様々なQ&Aも設置されています。これを見ることで鬼の生態などについて深く知ることができます。例えば「鬼の1日の生活はどのようなものですか?」という質問に対して「夕暮れから活動を開始します。夜明けになると慌てて住処に戻ります。完全に夜型の生き物です。」といった回答が記載されています。
他にも「鬼に出くわしたらどうしたら良いですか?」という問いに対して有効な対処法が解説されたりもしています。鬼の館に行ったら是非質問コーナーで鬼について勉強してみましょう!
北上市立鬼の館についてまとめ
今回は、北上市が伝統的に推している鬼をテーマにした博物館・鬼の館を紹介しました。
北上では市民憲章の一節に「あの高嶺 鬼すむ誇り」とあります。北上の人々にとって鬼は害悪の象徴ではなく、むしろ幸福をもたらす信仰の対象として考えられてきたのだと思います。そういった鬼への強い愛着や想いをここ鬼の館では感じることができます。
ここを訪れればあなたも鬼に詳しくなること請け合いです!
ちなみに展示には近くを通るとセンサーで作動するあるギミックもいくつか存在します。結構ビックリするので是非現地で体験してみてください。
北上市立鬼の館<Information>
- 名 称:北上市立鬼の館
- 住 所:岩手県北上市和賀町岩崎16地割131
- 電話番号:0197-73-8488
- 公式URL:北上市HP – 鬼の館