【福島県郡山市】郡山ブランド野菜とは?料理して食べてみた(佐助ナス・万吉どん編)

福島県郡山市には「郡山ブランド野菜」と名付けられた野菜があることをご存じでしょうか。

ブランドの確立を目指してつくられる郡山ならではの特色ある野菜は、一般的なスーパーや青果店では見かけたことのない品種ばかり。しかし、「物珍しさだけの商品では?」と侮ることなかれ。名前で驚き、見た目で驚き、そしておいしさで驚く。新たな食体験を与えてくれる、実力派の野菜たちなのです。

今回は夏に入手できる郡山ブランド野菜のなかから、「佐助ナス」と「万吉どん」を購入し、実際に調理・食べてみたレポートをお届けします。ぜひお買い物の参考にしてくださいね。


郡山ブランド野菜とは

一級河川の阿武隈川が流れる福島県郡山市。豊かな土と水は、良質な米を育て、全国屈指の米どころとしても有名です。そして米と同じく野菜でも、「郡山ならではのものをつくっていきたい」と志をもった生産者さんたちで生産を始めたのが「郡山ブランド野菜」です。

郡山ブランド野菜の特徴は3つあります。

  1. 市場受けよりも、おいしさ重視。形の統一性や保存性の高さよりも、おいしさが優れている品種を選定。
  2. 栽培方法を統一し、品質のブレを抑止。
  3. おいしさ・栄養分を分析して可視化した結果を公式Webサイトなどで公開。

同じ野菜でも、品種を数えればそれぞれ数百種。例えば「にんじん」でも300種類ほどの品種があるそうです。膨大な数の品種の中から、売り手目線の「売りやすさ」よりも、消費者目線の「おいしさ」を大切にして選んでいます。そして作り手は、野菜を知り尽くしたプロである生産者さんたち。プロが選んで育てた特別な野菜、それが郡山ブランド野菜です。消費者に「おいしいから選ばれる」野菜を目指して、生産・販売・告知の活動を続けています。

郡山ブランド野菜協議会<Information>


今回は「佐助ナス」と「万吉どん」を紹介

郡山ブランド野菜

郡山ブランド野菜としてつくられたそれぞれの野菜に出会えるのは、1年のうちの限られた期間。郡山の自然と人に育てられた野菜たちは「いちばんおいしい時期」に消費者の手元に届きます。

今回、7月上旬に出会えた野菜は「佐助ナス」と「万吉どん」です。それぞれどんな野菜なのでしょうか。特徴を紹介します。

「佐助ナス」とは

漆黒のドレスを身にまとったように、美しい出で立ちを見せるのは「佐助ナス」。例年7月上旬から出荷され始め、10月下旬ごろまで売り場で姿を見ることができます。佐助ナスの特徴は、何といっても「やわらかさ」と「甘さ」。アクが少なく、生で食べられることもウリの一つです。皮までやわらかいので、むかずにそのまま食べられます。

ちなみに福島の言葉になじみのある方はピンときているかもしれないのですが、佐助ナスの名前の由来は、福島の方言です。「さすけない」は、「問題ない」「大丈夫」の意味。悲しい時・怒った時・疲れた時も、「さすけねぇ~」といえば全てがオーライになる、そんなあたたかい言葉です。生で食べても「さすけない」ナスであることから、佐助ナスと名付けたそうです。

「万吉どん」とは

コロンと丸いフォルムがかわいらしい玉ねぎの「万吉どん」です。例年6月下旬から、翌3月中旬までの長い期間売り場に並びます。万吉どんの特徴は、糖度の高さ。熱を加えるとより甘みが凝縮し、おいしさが際立つ玉ねぎです。

名前の由来は、福島の農業に多大な功績を残した斉藤万吉さんから。福島県出身で、日本における農業経済学の先駆者です。自ら農村に足を運び、農家の経営状況を調査し、日本農業の経済的発展を支える礎をつくりあげました。斉藤万吉さんの偉業にも敬意を込めて、このおいしい玉ねぎの名前をつけたそうです。


郡山ブランド野菜「佐助ナス」「万吉どん」を実食してみた

郡山ブランド野菜

今回入手した、佐助ナスと万吉どんです。郡山ブランド野菜のロゴが誇らしげに輝いています。

それぞれの販売価格は、同じ時期のナス・玉ねぎと同程度。買いやすくてありがたい…!どこまでも消費者目線で販売を行う、生産者さんの努力がうかがえます。

佐助ナス

まず、佐助ナス。みずみずしく、しっとりとつややかな表面は、新鮮さの証。スレなどのキズがなく、「大切に育ててもらったんだね」と感じ取れる見た目です。

佐助ナス

包丁を入れた時、最初の「びっくり」。包丁で切った感触が、「ザクッ」や「サクッ」ではなく…「フワッ」なんです!包丁の刃が引っかかることなく、すとん、すとんと切れていきます。

ウリである生食を試そうと、何もつけずにかぶりついてみると、二度目の「びっくり」。衝撃のやわらかさです。食感だけでなく、風味もやわらかい。アクや渋みはほとんど感じられません。皮をむくことなくサラダでも食べられる、というウリはまさに本当でした。

筆者は今回、1センチほどの厚みに切った佐助ナスと、刻んだ大葉、めんつゆをもみ込み、簡単な漬物風を制作。すると、三度目の「びっくり」を迎えます。もみ込んで10分もたたずに、水分が出て、しんなり。爆速で一品料理が完成してしまいました…。

佐助ナス

試食してみると、まるで時間をかけて漬け込んだように、中まで味が染みていました。エグみもなく、しっとりふっくらとした食感で、大変おいしかったです。

加熱するのがもったいなく感じるほど、まさに「生食に向いたナス」でした。たくさんの驚きと感動を与えてくれる佐助ナス…コイツはただ者ではありません。

万吉どん

続いて、万吉どんです。ころんと丸いフォルムがキュート。

万吉どん

断面はとってもシルキーな手触りでした。それぞれの層が肉厚な様子が見て取れます。

公式Webサイトによると、丸のままローストすると、衝撃の甘さを楽しめるそうです。今回はよりシンプルで手軽に楽しみたかったので、輪切りにしたものをフライパンで焼いてみました。

万吉どん

両面をフライパンで焼き、かつおぶしと醤油をさっとかけていただきました。短時間の焼きでも、しっかりとやわらかくなっています。辛みはまったく感じません。口触りはつるんと、甘い身が滑り込んできます。焼き肉やBBQで玉ねぎは焼き野菜の定番かと思いますが、万吉どんのやさしい味わいはきっと、お肉の引き立て役にもピッタリでしょう。

次回はぜひ、じっくりとローストした万吉どんを味わってみよう!期待度の高まる味でした。


まとめ

郡山ならではの野菜をと、生産者さんが手塩にかけて育てるうまい野菜「郡山ブランド野菜」。今回は佐助ナスと万吉どんを食しましたが、野菜のプロが種を選び、育てた野菜は、“さすが”といえる仕上がりでした。「なぜこの種を選んだのか」を、食した瞬間に理解できる感覚は、とてもおもしろかったです。

どこかで郡山ブランド野菜の姿を見かけた際には、ぜひ一度、お試しください。あなたの「おいしいお気に入り」が、きっと1つ増えることでしょう。


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