【岩手県】おすすめの東北六県秋祭り(岩手県その①)、市民が作る豪華絢爛な風流山車を観に行こう!
目次
岩手県北地方の秋祭りは、武者人形や飾り幕などで色とりどりに飾られた山車が街中を練り歩くお祭りが多いのが特徴的です。
また山車の運行には必ず、地域の子供たちが中心になってお囃子が奏でられ、それぞれの地域ごとの個性を感じる演奏を楽しめます。
この記事では、岩手県北の秋祭りから盛岡、花巻、久慈の3つのお祭りと、それら地域のB級グルメをご紹介します。
「秋祭り」とはいつからいつまで?
暦では、二十四節気の「立秋」は8月7日から「立冬」の11月7日の前日まで、それを東北にあてはめれば、8月上旬に各地で開催される夏祭りの終わりからが秋です。
この記事では暦に従い、8月7日から11月までに開催される祭りを「秋祭り」としてご紹介しています。
祭りの定義とは?
ウィキペディアに掲載されている「祭り」の定義は、「感謝や祈り、慰霊のために神仏および祖先をまつる行為(儀式)」です。
その一方、歴史と伝統のある神社などの祭礼と違う「音楽祭」や「収穫祭」などがあり、これら音楽や味覚を楽しむイベントもまた、広い意味で祭りとされています。
盛岡秋まつり(盛岡市:9月12日~16日)
盛岡の総鎮守・盛岡八幡宮例大祭は盛岡の秋を彩るお祭りで、絢爛豪華な山車がお囃子とともに街中を運行するほか、流鏑馬などの神事も執り行われます。
1709年(宝永6)年9月14日、南部藩の町造り完成を祝うため、町衆が趣向をこらした丁印(ちょうじるし)と呼ばれるエンブレムなどを盛岡八幡宮に奉納した際に、3日間城下を練り歩いたのがこの祭りの始まりと伝えられています。
盛岡山車(もりおかだし)とは?
岩手県内には武者や歌舞伎役者などの人形を乗せた風流山車を運行する祭りが多く、それらを総称して、「南部流風流山車」あるいは「盛岡山車」と呼ばれることもあります。
山車前面の飾りは「風流」と呼ばれ、演題は歌舞伎や歴史の名場面が男性的に力強く表現され、「見返し」と呼ばれる裏側は、歌舞伎舞踊「藤娘」など女性的な演題の人形が乗せられます。
山車前部に小太鼓、後部に大太鼓がそれぞれ複数あり、叩き手は山車に乗って叩きます。
各消防分団(火消し組)が運営する山車は、太鼓にのせたお囃子と「や~れや~れ」という独特な掛け声とともに、200名ほどの曳き手に曳かれて盛岡市内を練り歩きます。
盛岡山車音頭による音頭上げ
街中を運行している山車はよく止まることがあり、この際に寄付をした商店や個人へのお礼として「南部木遣(なんぶきやり)」にのせた音頭が謳い上げられます。
音頭の内容は山車の人形を解説するもので、演題に合わせた七・七・七・五の句として謳われます。
祭りが近づくと消防分団の詰め所などから音頭とお囃子を練習する音が街中に流れ、盛岡の秋の風物詩の一つです。
盛岡秋まつりの見どころは?
今年の秋まつりは9台の山車が盛岡市内を練り歩きます。
盛岡市内には19の消防分団と、6組の同好会など25の出演組がありますが、毎年参加の組は少なく、3年あるいは5年に一度という組もあって、今年の山車は9台です。
山車は14日から16日まで各町内を運行されるほか、14日の午後は八幡宮から八幡町通りまで、15日には「山車大絵巻パレード」として、盛岡城跡公園や大通商店街などで合同運行されます。
9台の山車が連なって練り歩く華やかな合同運行は必見です。
また、16日には八幡宮境内の馬場で、迫力満点の流鏑馬(やぶさめ)が行われる、こちらも見どころとされています。
盛岡秋まつり<Information>
- 名 称:盛岡秋まつり(盛岡八幡宮例大祭)
- 開催期間:毎年9月12日~9月16日(2024年は木曜~日曜)
- 開催場所:盛岡市内(盛岡八幡宮、大通りなど市内各所)
- 問い合わせ先(山車運行など):盛岡観光コンベンション協会
- 電話番号:019-621-8800(平日9:00~17:00、第2火曜を除く)
- URL:盛岡観光コンベンション協会 公式サイト
- 問い合わせ先(八幡宮例大祭、流鏑馬について):盛岡八幡宮
- 電話番号:019-652-5211
- URL:盛岡八幡宮 公式サイト
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岩手県民のソウルフード「ひっつみ」とは?
小麦粉を練った固まりを手でちぎって醤油味の出汁が張られた鍋に入れ、鶏肉や野菜などと一緒に煮て食べる料理でいわゆる「すいとん」に似ていますが、しっかりした歯応えがあります。
岩手県内では県北や盛岡市内での「ひっつみ」という呼び名が一般的ですが、岩手県南では「はっと」と呼ばれることもあります。
固まりの大きさ、形、硬さや、入れる具材や味付けが地域によって異なるだけでなく、提供する飲食店や一般家庭でも違いがあって、さまざまな味を楽しめる個性豊かな郷土料理です。
ひっつみ<Information>
花巻まつり(花巻市:9月13日~15日)
花巻総鎮守とされる鳥谷崎神社の例大祭は、盛岡山車とは一味違う華麗な山車パレードとギネス世界記録に認定された神輿パレードを楽しめる秋祭りです。
パレードが開催される沿道で繰り広げられる「神楽権現舞演舞(かぐらごんげんまいえんぶ)や鹿踊演舞(ししおどりえんぶ)」も見どころとして人気があります。
最終日の夜のおまつり広場には山車と神輿が自由に繰り出してクライマックスを迎え、参加全員の三本締(大手締め)が行われ花火が打ち上げられます。
宮沢賢治も深くかかわった風流山車
市民が作る12台の山車は「生け花」に見立てられ、前部の「風流」はほかと同じく武者や歌舞伎の名場面ですが、後部の「見返り」は宮沢賢治の童話をモチーフにした飾りが多いとされています。
山車の夜間運行のライトアップには電球ではなくアセチレンガス灯が使われているのが珍しく、その炎のゆらめきが山車飾りの美しさを引き立てるのです。
花巻囃子とは?
京都祇園囃子の流れを汲むとされ、山車の運行に演奏される行進囃子と一時途絶えて1974年(昭和49年)に復活した停車囃子(裏囃子)の2種類があります。
また、このお囃子に合わせて踊る「花巻ばやし踊りパレード」は一般参加募集があって、お祭り前に3回ほどの全体練習会や初心者向け練習会などが開催されています。
世界一の神輿パレード
かつて花巻には造り酒屋が多く、働く若者たちが酒樽で神輿を作って酒を呑みながら担いでいたとされ、ジグザグに練り歩いたり回転したりする独特の担ぎ方はその名残とも言われています。
2015年(平成27年)に子供神輿も含めて114基の神輿が参加した事で、ギネス記録にある「1か所で100基以上の神輿を5分以上披露する」との項目で認定されました。
神輿愛好団体を中心に商店街や企業などの団体が自前の神輿で参加していて、花巻商工会議所では毎年参加団体を公募しています。
花巻まつり<Information>
- 名 称:花巻まつり
- 開催期間:毎年9月第2金曜~日曜、2024年は9月13日~9月15日
- 開催場所:上町「おまつり広場」など
- 問い合わせ先:花巻まつり実行委員会事務局(観光課内)
- 電話番号:0198-41-3542
- URL:花巻市役所 公式サイト
花巻のB級グルメを目指す「花巻バーガー」
2008年(平成20年)に誕生した花巻バーガーは、肉を使わずおからやこんにゃくで作られたパテを花巻産の野菜とともに、花巻で焼かれたバンズではさんだヘルシーなバーガーです。
「花巻バーガー」を名乗る条件は「花巻産の食材を規定量以上使用する」、「花巻市内で調理されている」、「花巻市内の4社以上の業者が連携して作っている」の3つとのことです。
この野菜たっぷりのご当地ヘルシーバーガーが、いま花巻の新しいB級グルメとして注目を集めています。
花巻バーガー<Information>
- URL:花巻ビュー 公式サイト
久慈秋まつり(久慈市:9月19日~22日)
まつりの起源は650年以上前とも言われ、大神宮、秋葉神社、巽山神社の三社大祭として手作り山車が久慈市内を練り歩くお祭りです。
山車の運行は20日の「お通り」と最終日の「お還り」に、市内のメインストリートでパレードが行われ、「中日」は「ナニャドヤラ」などの郷土芸能パレードが開催されます。
また19日は「前夜祭」とされていて、久慈駅前広場に山車と神輿が繰り出し、山車ばやしの競演を楽しめます。
山車組が趣向を凝らして作り上げる8台の山車
その昔は青森県八戸市の三社大祭の山車を借りて運行されていましたが、近年は山車組によって自前の山車が作られるようになり、盛岡山車とも花巻山車とも異なる風情が感じられます。
山車は久慈市内の「道の駅くじ・やませ土風館」に常時展示されているので、祭り期間以外に久慈を訪れたなら、ぜひ立ち寄って実物をご覧ください。
久慈秋まつり<Information>
- 名 称:久慈秋祭り
- 開催期間:2024年9月20日(金)~9月22日(日)(9月19日は前夜祭)
- 開催場所:久慈市内中心部他
- 問い合わせ先:久慈秋まつり実行委員会(久慈市観光物産協会)
- 電話番号:0194-66-9200
- URL:久慈市観光物産協会 公式サイト
道の駅くじ・やませ土風館<Information>
- 名称:道の駅くじ・やませ土風館
- 所在地:岩手県久慈市中町2丁目5-6
- 電話番号:0194-66-9200(風の館・観光交流センター)
- 営業時間:9:00~19:00(11月~3月は18:00まで)
- URL:道の駅くじ・やませ土風館 公式サイト
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まめぶ汁っておかず?それともおやつ?
クルミと黒砂糖のあんが入っている小麦粉の団子「まめぶ」は、昆布と煮干しの出汁に野菜や油揚げと一緒に煮込まれて食べる、久慈市と合併した山間部の山形町の伝統的な郷土料理です。
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で、「甘くてしょっぱくて、おかずかおやつかわからない」食べ物として紹介されて日本全国で有名になり、今では久慈のB級グルメとして知られています。
まめぶ汁<Information>
- URL:久慈市役所 公式サイト
まとめ
この記事でご紹介した盛岡、花巻、久慈の秋祭りに曳き回される山車はそれぞれ違う風情があり、この3ヶ所の秋祭りをはしごして見比べてみるとよくわかります。
それぞれに共通しているのは、青森のねぶたなどのように専門の職人が作るのではなく、それぞれ山車を運行する組のメンバーによって手作りされているということです。
限られた予算の中で、人形や装飾品などを大切に使い回しながら作り上げられる絢爛豪華な山車を、ぜひ一度間近でご覧になってはいかがでしょうか。