【山形県】姥皮とは?まんが日本昔ばなしでも放送した山形の昔話を詳しくご紹介
目次
山形には昔話がたくさんあり、その中にはまんが日本昔ばなしでも放送された有名なものがいくつかあるのをご存知でしょうか。
この記事ではその中から「姥皮」をご紹介します。
山形における姥皮のストーリーとは?
「姥皮」は古くは室町時代物語の1つとして収録され、少しずつ話の内容は異なりますが、日本全国で伝承されている昔話です。
山形に伝わり、まんが日本昔ばなしで1991年1月26日に放送された「姥皮」は次のようなストーリーです。
日照りで困る村人のために大蛇の化身である男と結婚させられそうになった三姉妹の末娘は、千のひょうたんと針で大蛇を仕留めた後、老婆の姿に身をやつした大ガマに助けられ、難を逃れるためにとかぶると老婆の姿になる姥皮を授かります。
大ガマに勧められてお大尽の屋敷で働くようになった娘は、姥皮を脱いだ姿を若旦那に見初められ、二人はやがて夫婦となるのです。
山形に伝わる「姥皮」の特徴
山形に伝わる「姥皮」の特徴を3つご紹介します。
蛇婿入り・水乞い型に似ている
「姥皮」と同様、全国に広く伝承されている昔話の1つに「蛇婿入り」という話があります。
蛇婿入りは、糸をたどって山奥に向かう場面のある「苧環(おだまき)型」と日照りで干上がった田んぼを水でいっぱいにする場面のある「水乞い型」の2つの話におおまかに分類されるのですが、姥皮はこの「水乞い型」の話に似ているとされます。
蛇婿入り・水乞い型のストーリーは次の通りです。
昔三人の娘がいる男の田んぼが日照りで水が干上がってしまい、困って誰か田んぼに水をかけてくれれば三人の娘のうち一人を嫁にすると独り言を言いました。
すると次の日田んぼは水で満たされており、一人の若侍が来て自分は山の大蛇の化身だが約束通り娘をもらうと宣言します。
末娘は私が嫁に行くと言い出し、嫁入り道具のひょうたん百個とたくさんの針を持って大蛇の住む湖に到着しますが、ひょうたんを沈めてほしいと大蛇に伝え、沈めきれず疲れている所に針をばらまいて難を逃れるのです。
その後娘が家に帰ると親孝行で知恵もあると評判となり、良い家へと嫁に行って幸せに暮らします。
蛇婿入り・水乞い型のストーリーは山形に伝わる姥皮の前半部分を切り取ったような話だと言えるでしょう。
また人間ではない存在と人間とが結婚させられそうになることから、蛇婿入り・水乞い型と姥皮の前半部分は同じ異類婚姻譚(いるいこんいんたん)に分類されることがわかります。
姥皮をかぶると老婆の姿になる
山形に伝わる姥皮の話では、姥皮をかぶると老婆の姿になるとされていますが、岩手県九戸郡に伝わる話では石となったり、遠野市に伝わる話では蛙となったりと他のものに変身する場合があります。
あまり人目に止まらない姿となり、命を狙われにくくなるというのが共通していると言えるでしょう。
姥皮をかぶるメリットがはっきりと描かれていない
山形に伝わる姥皮の話では、姥皮をかぶることで娘にどのようなメリットがあったのかがはっきりとは描かれていません。
例えば新潟県に伝わる姥皮の話では、娘が姥皮をかぶることにより鬼に捕まえられずに済むというメリットが話に出てきます。
姥皮を脱ぐことでは若旦那に見初められるというメリットがあるため、かぶることとは対照的に感じられるのではないでしょうか。
まとめ
姥皮は少しずつ話の内容は異なるものの日本全国で伝承されている昔話で、山形に伝わる話は蛇婿入り・水乞い型に似ていること、姥皮をかぶると老婆の姿になること、姥皮をかぶるメリットがはっきりと描かれていないことが特徴的だとわかりました。
興味のある方はぜひ、山形と他の地域の姥皮を読み比べてみてください。