【宮城】正月送りの伝統行事「どんと祭」

ドンという、炎の中で竹が破裂する音が境内に響くと宮城県の人々は一年が始まったことを改めて実感します。

寒空の中、大崎八幡宮で行われる「松焚祭」。防寒具に身を包んだ参拝客と裸参りの団体でごった返すこの祭りは、宮城県の伝統行事「どんと祭」と呼ばれています。


どんと祭とは

どんと祭とは、宮城県を中心として東北各地で催される祭りの総称で、正月飾りや古神札等を神社の境内で焼納する正月送りの伝統行事です。西日本では似たような神事として「左義長」がよく知られています。

毎年、1月14日の夜までに持ち寄られた門松・松飾りなどの正月飾りは「忌火」により点火されます。この炎は各家庭に訪れていた神々を送るとされる「御神火」とされ、御神火にあたることで一年の無病息災や家内安全、商売繁盛の加護が得られるとされています。

その変わった名前の由来は「尊(とうと)が訛った」「竹が破裂するドンッという音からついた」など諸説ありますが、一般的には「どんどん焼く」からと言われてます。

また開催される地域によって、その定義には曖昧な部分があります。

まずは名称ですが、宮城県ではどんと祭と呼ばれていますが、地域によっては「ドント焼き」「どんど焼き」など微妙に呼称が変化します。

石巻市で「合理的民主的な生活慣習の確立」を謳う新生活運動により1月7日に開催されるのをはじめ、岩手県の盛岡八幡宮では1月15日に、福島県の西根神社では「うそかえ祭」と一緒に数日間開催されるなど、日程まで異なるのです。

さらに神事なので基本的にはお寺ではなく神社で行われるのですが、実は定規如来や仙台大観音でも行われています。このように定義が曖昧になる背景には、どんと祭が地域住民に親しまれてきた歴史があるのでしょう。


大崎八幡宮の松焚祭

松焚祭

県内各地で行われるどんと祭。
中でも最大の規模を誇るのは、大崎八幡宮の松焚祭(まつたきまつり)です。300年の歴史を有し、参拝客は毎年10万人超え。2005年には、仙台市の無形民俗文化財に指定された、全国でも最大級の正月送りです。

その特徴の一つは「裸参り」。裸姿で、腹にさらし、腰にしめ縄を巻いただけの出で立ちで、市内各地から参拝するのが裸参り。
足は足袋とわらじ履き、右手には鐘、左手には提灯を持ち、何キロも先の御神火を徒歩で目指します。口には神に息をかけないために含み紙をくわえているため、夏祭りのような勇ましさのない粛々とした行事です。

仙台の酒杜氏が醸造安全・吟醸祈願の為にはじめたのがその由来とされていますが、江戸時代中期には定着していたと言われています。現在では約3000人もの参拝がありペデストリアンデッキや中央通りでも見かけることができる仙台の冬の風物詩となっています。

大崎八幡宮の松焚祭<Information>

  • 名  称:大崎八幡宮の松焚祭(どんと祭)
  • 住  所:〒980-0871 宮城県仙台市青葉区八幡4丁目6−1
  • 電話番号:022-234-3606
  • 公式URL:仙台総鎮守【国宝】大崎八幡宮

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