田沢湖の辰子姫伝説

【秋田】日本一深い湖、田沢湖の神秘的な伝説とは?

秋田新幹線こまちの停車駅「田沢湖駅」からバスで10分ほどのところに田沢湖はあります。


日本一深い湖「田沢湖」

ここ田沢湖は、面積は25.8平方キロメートルと日本では19番目の大きさですが、日本一深い湖であり水深は約423メートルにも上ります。日本一高い建造物であるスカイツリーを沈めると、第2展望台まで浸かるほどの水深です。その水深の深さゆえ、一般的な湖とは違って真冬でも凍りません。

日本百景に選定されており、湖全体が県立自然公園に含まれています。近隣には抱返り渓谷・乳頭温泉など観光地が点在します。

田沢湖
田沢湖

田沢湖に伝わる辰子姫伝説

コバルトブルーの湖が目にも鮮やかな田沢湖ですが、ここには悲しい伝説があります。

田沢湖の湖面に浮かぶ「辰子姫(たつこひめ)」の像をご存知でしょうか。この像は、田沢湖の伝説でもある「辰子姫伝説」をモチーフに造られました。女ゆえに、美しいがゆえに哀しい辰子姫の伝説をお伝えしましょう。

田沢湖の辰子姫像
田沢湖の辰子姫像

辰子はとても美しい娘でした。あるとき、辰子は思います。「この美しさを永遠のものにできないものか?」と…。

そして辰子は観音様に願をかけます。百日間願をかけた満願の日、観音様のご神託を受けます。「山を越えていきなさい。そうすれば清らかな泉があります。その水を飲むことによりあなたの願いは成就するでしょう。」

辰子は急いでその泉へと向かいました。泉へ着くと辰子は水を飲みます。しかし、いくら飲んでも喉が渇いてしかたありません。泉に両手を差し入れて必死に水を飲みます。しかしのどの渇きは一向に収まりません。しまいには、泉に顔をつけて、飲み続けます。すると、辰子の体はあっという間に大きな龍へと変わってしまったのです。

そしてその瞬間そこには大きな湖が現れました。そのときから辰子はこの湖の主となったのです。

哀しくも切ない物語です。その辰子姫、秋田にあるもう一つの湖である八郎湖(現在の大潟村)に住んでいた龍である八郎太郎と結ばれたとか。

山形県上山市出身の歌人、斎藤茂吉はこの辰子姫の伝説を

「うつせみは 願いを持てばあわれなりけり 田沢の湖に伝説ひとつ」

と歌に詠みました。

田沢湖畔の神社|漢槎宮(かんさぐう)
田沢湖畔の神社|漢槎宮(かんさぐう)

観光地として整備された現在の田沢湖

現在の田沢湖は湖のまわりを自転車や車で一周することができます。湖畔にはレストハウスやホテル、レストラン、そしてお土産屋さんなどもあります。また、遊覧船が運航しており、湖の中から周囲の景色を見ることもできます。

古の伝説に思いを馳せこの地を巡ってみてはいかがでしょうか。

田沢湖<Information>

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