神社・仏閣

【宮城県仙台市】被災した伊達政宗騎馬像の修復が3月下旬に完了予定

青葉山から長年杜の都を見守ってきた仙台のシンボル、伊達政宗騎馬像。

2022年3月の宮城、福島両県で震度6強を観測した地震で被災し、深刻なダメージを受けてしまいました。

残念ながら現在は仙台を離れ、東京で修復中のためその姿を目にすることはできませんが、ついに2023年3月下旬に修復が完了することが発表されました。

騎馬像の歴史

伊達政宗騎馬像は伊達政宗没後300年祭の記念事業として宮城県青年団などが発案し、柴田町出身の彫刻家・小室達が2年の歳月をかけて制作し1935年に完成しました。

しかし、第二次世界大戦の44年、金属供出で一旦姿を消してしまいます。

戦後、運良く残されていた石膏原型を元に1964年に完成したのが現在の2代目の騎馬像です。

1978年の宮城県沖地震や2011年の東日本大震災などの大規模な地震災害を潜り抜けてきた2代目の騎馬像も、2022年の3月の福島県沖地震で馬の左前足と右後足が破断し、像全体が右に傾く深刻なダメージを受けました。

この時の地震では騎馬像以外にも仙台城跡の石垣の一部が崩れ、道路が通行止めになるなど、仙台城址全体が大きな被害を受けました。

初代騎馬像の行方

ところで供出された初代の騎馬像ですが、戦後奇跡的に塩竈市の東北ドッグ敷地内の金属集積所で発見されました。

この時騎馬像はバラバラにはされていましたが、各パーツは揃っていてまだ溶かされていませんでした。

郷土史家の石川謙吾が騎馬像回収のための資金集めに奔走しますが、戦後間もない混乱期のため資金調達が難航しました。

そうこうしている間に上半身以外のパーツは処分されてしまいます。

しかし、それでも上半身だけは大切に保管されていたため、石川氏は私費を投じてこの上半身を購入し、青葉神社へ奉納しました。

そして1961年、「仙台市博物館」開館の際に、青葉神社から博物館に寄贈され、鏡像となり現在にいたります。

話が長くなりましたが、仙台市博物館にある伊達政宗の鏡像は、実は初代の騎馬像だったというわけです。

残念ながら仙台市博物館は2024年4月まで大規模改修中のため、現在胸像を見ることはできませんが、収蔵品の一部は40回全国都市緑化仙台フェアの開催にあわせ、宮城県美術館で展示されるとのことです。

修復について

被災した騎馬像は2022年7月に本格的な修復作業のために、台座から切り離され、東京の修復業者に送られました。

東京の工房で詳しく検査すると、馬の胴体にも亀裂が入っていることが見つかり、当初想定されていたよりもダメージが大きかったことが明らかになりました。

騎馬像は寄贈されたもののため、設計図が無く、内部構造の確認とより詳細な損傷状況の確認のため馬の腰部分を切開することになりました。

完成から約60年近く経過した騎馬像の内部は像を支える鉄の支柱が腐食が進み、像本体の内部も腐食している部分が見つかりました。

現在は、腐食の進んだ支柱は新しいステンレス製の支柱に交換と本体のメンテナンス作業中で、前述の通り設計図がないため、保存修復しが打音などで内部構造を把握し、構造を探りながら慎重に作業を進めているそうです。

当初2年程度見込まれていた修復期間ですが、2023年4月に開催される第40回全国都市緑化仙台フェアに合わせて前倒しされ、3月末に修復が完了する見込みです。

第40回全国都市緑化仙台フェア(未来の杜せんだい2023‑Feel green!‑)

2023年4月26日〜6月18日にかけて第40回全国都市緑化仙台フェアが開催されます。

全国都市緑化フェアは、都市緑化の意識の高揚と知識の普及を図ることにより、緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与することを目的として開催されており、仙台市では1989年に「’89グリーンフェアせんだい」を開催して以来、34年ぶりの開催です。

青葉山公園追廻地区、西公園南側地区、広瀬川地区の3箇所をメイン会場とし、メイン会場のほかに、まちなかエリア会場、東部エリア会場を設定し、期間中、各会場でフェアを様々なイベントが開催されます。

メイン会場にある、仙台フェアのシンボルである美しい彩りの「大花壇」は、子どもたち、市民の参画のもとつくりあげた、フェアの魅力を発信するフォトジェニックスポットです。

他にも、遊びながら自然を体感できるプログラムや、植物観察などをテーマとしたワークショップなどを開催するほか、子どもが自由に遊ぶことができる「グリーンアクティブゾーン」や、仙台城跡のある青葉山、大橋、広瀬川を一望しながら、花とみどりに囲まれたガーデンテラスで楽しく食事のできる「水辺のゾーン」など各地区にエリアコンセプトが設定され、様々な空間が提供されます。

開催データ


開催期間

令和5年4月26日(水曜)から6月18日(日曜)までの54日間

会場

  • メイン会場(青葉山公園追廻地区、西公園南側地区、広瀬川地区)
  • まちなかエリア会場(仙台駅ペデストリアンデッキ、青葉通、宮城野通、定禅寺通)
  • 東部エリア会場(せんだい農業園芸センター みどりの杜、せんだい3.11メモリアル交流館、震災遺構仙台市立荒浜小学校、海岸公園、高砂中央公園(仙台うみの杜水族館))
  • 連携会場(東北大学学術資源研究公開センター植物園、七北田公園、仙台市野草園、八木山動物公園フジサキの杜)

まとめ

第40回全国都市緑化仙台フェア は2023年に仙台で開催されるイベントの中でも最大級のものです。

新しくなった騎馬像に会いにいく際には、一緒に訪れてみては如何でしょうか?

INFORMATION


  • 名称 : 仙台城跡
  • 所在地 : 〒980-0862 宮城県仙台市青葉区川内1
  • 営業時間 : 入園自由 ※青葉城資料展示館は、 4月〜10月 9:00〜16:20(受付終了15:50)11月〜3月 9:00〜15:40(受付終了15:10)
  • 休業日 : 無

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Editor-SK

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NEFT編集部の人間です。
酒、音楽、旅行が好きで平日は仕事終わりに酒に溺れ、休日は空きあれば近隣へ旅行に出かけています。いづれはNEFT取材で東北の縁を探しに海外へ!を目標に日々勤しんでおります。

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