【福島県会津】日本一の絶景ローカル線「只見線」

絶景ローカル線」とか「紅葉の美しい鉄道路線」「雪景色のきれいなローカル線」といった表現で称賛されるローカル線があります。
福島県の会津地方と新潟県の魚沼地方にまたがる、JR東日本の路線である「只見線」です。
この記事では只見線の景色や沿線スポットといった魅力を紹介すると共に、只見線の歴史も簡潔に紹介します。


絶景ローカル線の第1位に選ばれた只見線

「只見線」は福島県会津若松市の会津若松駅から、新潟県魚沼市の小出駅までを結ぶ、全長135.2kmのJR東日本の路線です。
会津若松駅には、東北新幹線の郡山駅から磐越西線の列車に乗って1時間程度でアクセスできます。
もう一方の小出駅には、上越新幹線の越後湯沢駅から上越線の列車に乗って40分程度、同じく上越新幹線の浦佐駅からならば10分程度でアクセスできます。

只見線全線を通して乗車するには4時間以上の時間を要します。
また、途中の区間の会津川口駅~只見駅間で運行される列車は、通常1日3往復のみなので、遠方から只見線へ乗りに行くのであれば、沿線で一泊する行程とするのが無難だと思います。
なお、紅葉シーズンを中心に、快速「只見線満喫号」といった臨時列車が、会津若松駅~只見駅間で運行されます。
それでも紅葉シーズンには混雑することもあります。

只見線は沿線の人口が少ないことが列車の本数にも表れている路線ではありますが、車窓から眺められる沿線の光景が美しいことから、世界的に称賛されているローカル線です。
2022年度の冬に投票が実施された「絶景ローカル線ランキング」では、只見線が堂々の1位に選ばれました。
過去には「紅葉の美しい鉄道路線ベストテン」の第1位や「雪景色のきれいなローカル線ベストテン」の第3位にも選出されています。
中国のインターネット上で「世界で最もロマンチックな鉄道」と絶賛されたり、日本在住外国人による「アフターコロナに行きたい日本の観光地」の第2位に選出されたりするなど、国際的な知名度も高くなっているようです。
沿線には古民家も多く、かつては日本中で見られたような日本の田舎らしい風景が、只見線沿線には数多く残されているのです。


一年中美しい景色

日本には「桜の名所」とか「紅葉の名所」そして「雪景色」など、季節限定で美しい景色が見られる箇所が多数あります。
しかし只見線は一年中美しい景色が見られます

春は新緑、夏は霧、秋は紅葉、そして冬は雪が、一年を通じて見る人を楽しませてくれるのです。
一度訪れただけではその景色を味わい尽くせないことも、只見線が人々を魅了する要因となっているのでしょう。


只見線沿線の魅力的なスポット

只見線沿線に点在する、魅力的な観光スポットや、美しい景色が楽しめるスポットの一部をご紹介します。

第一只見川橋梁

会津桧原駅と会津西方駅の間に位置する「第一只見川橋梁」は、只見線の景色の中でも特に有名な絶景スポットです。
列車でこのビュースポットを訪れる際には、会津宮下駅で列車を降りて、駅から徒歩2分のところにある「観光交流館からんころん」で自転車をレンタルするのがおすすめです。
なお、観光交流館からんころんは古民家を改装した町の観光案内所で、旅の楽しさを演出してくれます。
そして国道252号線を東へ15分程走ったところにある「道の駅尾瀬街道みしま宿」に自転車を停めたら、駐車場の奥にある遊歩道を通って徒歩で丘を登りましょう。
天候次第ではありますが、小高い丘からは橋や列車が鏡のように映る川面や、霧に包まれた景色といった光景を味わうことができます。

第一只見川橋梁<Information>

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宮下アーチ三兄(橋)弟

会津宮下駅付近には「宮下アーチ三兄(橋)弟」と呼ばれる3本の橋が架かっています。
上から順に国道252号線、只見線、そして県道237号線、合計3本のアーチ橋が並んでいて、これは日本でもここだけという珍しいものです。

宮下アーチ三兄(橋)弟<Information>

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霧幻峡の渡し

早戸駅付近から乗船できる「霧幻峡(むげんきょう)の渡し」は、手漕ぎの渡し船です。
船頭さんの案内で只見川を往復(約45分)したり、周辺の散策を楽しんだり(舟と合わせて約90分)することができます。
乗船には事前予約が必要なのでご注意ください。

霧幻峡の渡し<Information>

  • 名称 霧幻峡の渡し
  • 所在地 福島県大沼郡三島町大字早戸字小津巻地内
  • お問い合わせ番号 0241-42-7211(平日)、0241-54-2855(休日)
  • 営業時刻 7:00~日没(要事前予約)
  • 休業日 11月下旬頃~翌4月中旬頃。冬季以外も気象状況や河川の状況により急きょ運休になることあり。
  • URL 霧幻峡の渡し 公式予約サイト

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早戸温泉つるの湯

出典:Wikipedia
投稿者自身による著作物 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=124238828による

「早戸温泉つるの湯」は、早戸駅から徒歩圏内にある、日帰り入浴も可能な温泉です。
開湯から1200年とも伝えられる天然薬湯温泉です。
露天風呂からは只見川渓谷の絶景を眺めることができます。

早戸温泉つるの湯<Information>

  • 名称 早戸温泉つるの湯
  • 所在地 福島県大沼郡三島町大字早戸字湯ノ平888
  • お問い合わせ番号 0241-52-3324
  • URL 早戸温泉つるの湯

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かねやまふれあい広場

会津環川口駅から国道252号線を会津中川駅方面へ1km程進んだところにある「かねやまふれあい広場」からは、川沿いを走る只見線と、その奥にある大志(おおし)集落や里山を一望することができます。
見事な構図が織りなす風情ある景色を味わうことができます。

かねやまふれあい広場<Information>

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ふるさと館 田子倉

「ふるさと館 田子倉」は只見駅近くに開設されている資料館です。
現在は田子倉ダムの底へ沈んでいる田子倉集落の、歴史や文化を伝える資料が展示されています。
只見線の会津川口~只見間は、田子倉ダムを建設するための資材を輸送するために作られたという歴史があることから、只見線の歴史に関する資料も展示されています。

なお、只見駅を越えて運行される列車は、全て只見駅で10分以上停車します。
その停車時間を利用して駅前の只見町インフォメーションセンターで、地元の名物グルメに舌鼓を打つのもよいでしょう。

かねやまふれあい広場<Information>

  • 名称 ふるさと館 田子倉
  • 所在地 福島県南会津郡只見町只見字田中1299
  • 問い合わせ番号 0241-72-8466
  • 開館時刻 9:00~17:00(最終受付は16:00)
  • 休館日 火曜日(祝祭日の場合は翌平日)、年末年始
  • URL ふるさと館田子倉について

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只見線の歴史

出典:Wikipedia
著作者:BehBeh, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12736176による

只見線は全区間が同時に開業した路線ではなく、部分的な開業を繰り返していった路線です。
最初に開業したのは会津若松駅から会津坂下駅までの区間で、大正最後の年である1926年のことでした。
名前も只見線ではなく「会津線」でした。
会津線は延伸を繰り返して、1941年には会津宮下駅に到達します。
一方の新潟県側については、1942年に小出駅から大白川駅までの区間が開業し、こちらの方が「只見線」と命名されました。

戦後の1956年には会津線が会津川口駅まで延伸開業します。
更に会津川口駅から只見駅までの区間の線路も、田子倉ダム建設のために資材を輸送する貨物専用線として建設されました。
この貨物専用線が、ダムの完成後に国鉄(JRの前身)に引き渡される形で、1963年に会津線が延伸開業しています。

そして1971年に只見駅~大白川駅間が延伸開業して会津若松駅~小出駅が全通し、名称は「只見線」とされました。
会津線の最初の開業から実に45年目のことでした。
只見線は福島県と新潟県の県境を通ることから旅客流動が少なく、全通前の時期も含めて廃止が検討されることもありました。
ところが並行する国道252号線は冬季通行止めとなることから、只見線は冬季でも安定して県境を越えられる唯一の交通機関として廃止を免れてきた歴史があります。

しかし全通から40年後の2011年7月に、只見線にとって最大の危機が訪れます。
豪雨によって橋梁が流失するなどの大きな被害を受けてしまったのです。
翌2012年10月に会津川口駅~只見駅間以外は復旧しましたが、この区間については被害が大きいことと、被災前の利用状況が特に悪かったことから、当初は復旧工事が行われませんでした。
しかし道路が冬季は閉鎖される沿線地域では鉄道に対する信頼が強く、福島県と沿線市町が土地や鉄道の設備を保有して、JR東日本が列車を運行する「上下分離方式」を採用することで、復旧させることになりました。
2022年10月1日、只見線は実に11年ぶりに全線での運転を再開したのでした。


まとめ

只見線は、その車窓や線路沿いから眺められる絶景への評価が特に高いローカル線です。
また、2011年の豪雨災害では甚大な被害を受けたものの、奇跡的な復活も遂げました。
今後も只見線が観光や地域振興に活かされていくことを願ってやみません。
季節ごとに魅力的な風景を見せてくれる只見線を、ぜひ訪れてください。


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