野口英世像

福島県の猪苗代町は、野口英世が育った町として有名です。ここには野口英世記念館があり、野口英世の生家がまるごと当時のままに保存されています。

他にも、館内では野口英世の研究室が再現されていたり、愛用の品々が展示されていたりと見所満載です。千円札の肖像画になっていて、日本では知らない人はいないのが野口英世です。

ただ、名前と顔だけは知っているけれど、一体どういうことをして有名になって、どんな性格だったのか、など英世についてほとんど何も知らないという人は大勢います。

予備知識のない人でも、分かりやすい展示で楽しめるように工夫されているのが、今回紹介する野口英世記念館です。

 

実は立派な生家

 

 

野口英世は貧しい家に生まれたという記述が、伝記などでなされていることがあります。しかし、実際に生家を見てみると、貧しいというには大きな家だと分かります。

目測でも、横に15m以上、縦に10mほどはあります。さらに馬小屋もあることから、裕福とはいえなくても決して貧しいとはいえない家です。

物語として貧しい家柄からの出世のほうが際立つからなのか、実際に行ってみると、よくいわれるほど貧乏な家ではなく、人並み以上であったという印象を持てます。

野口英世が落ちた囲炉裏も存在

 

 

庭には母シカさんの植えた桑の木があります。今ではかなり老いているように見えます。伝記で触れられることの多い野口英世が1歳半のときに落ちた囲炉裏もちゃんと存在します。

そのときの火傷で片手の指が癒着してしまったといいます。それがコンプレックスになった野口英世でしたが、これを機に医学に目覚めることになりました。

その道で名を世界にも轟かせるようになったのですから、囲炉裏への落下は、まさに怪我の功名ともいえる事件でした。その野口英世のルーツがありのまま残っています。

上京への強い決意が刻まれた床柱

 

 

『心ざしを得ざれば、再び此の地を踏まず』という野口英世の有名な言葉が床柱に刻まれています。上京の際に、相当の覚悟を持っていたことが推察される証拠として、よく語られています。

大黒柱や床柱は、特に家のなかでも汚してはならない聖なる場所として伝わっています。そこに上記のような言葉を刻むぐらいですから、尋常じゃない決意があったと考えられているわけです。

気持ちがリアルに伝わる「母シカの手紙」

 

 

野口英世はアメリカに渡ってのち、長く故郷に帰りませんでした。それを心配に、寂しく思った母シカさんが息子に送った手紙の原本が館内に保存されています。

決して整った上手な字とはいえませんが、非常に母の心持ちがひしひしと伝わる字面です。これはぜひ直筆の手紙を見て、その感情を想起させる字体とともに内容を味わってみて欲しいです。

当時、日本からアメリカへ手紙を送り届けるというのは、今ほど容易いことではなかったはずです。それを実行に移した母の行動力は、やはり偉人の母といえる凄みを感じさせます。

「博士の研究室」では野口英世がお出迎え

 

 

館内には、非常によくできた若かりし頃の野口英世を模ったロボットがあります。「博士の研究室」というコーナーで、実際に研究していたデスクに野口英世が座っています。表情が動いて、身振り手振りで話してくれます。

「なぜ医学者になろうとしたのですか?」、「一番うれしかったことは何ですか?」、「千円札になった感想は?」など、野口英世に対する質問ボタンが設置されています。これを押すと、その質問に答えてくれます。

実際に喋っている様子が、以下の動画です。野口英世の信条など、人となりが見えてくる回答が散りばめられていて、とても面白いです。

「素顔の英世」を知れる

 

 

「素顔の英世」では、野口英世の多彩な趣味や愛用品に触れられます。将棋、チェスが好きで、よく余暇には楽しんでいました。

ニューヨーク郊外のシャンデーケンの別荘では、裏に川が流れていて、そこが故郷の猪苗代に似ていると、気に入っていました。ここで釣りを楽しむこともありました。

また、絵を描くことも好きだった英世は、妻メリーさんの肖像画を残しています。もちろん、この絵も展示してあって、独特のタッチでとても上手に描かれています。

自画像や母シカを描いた絵も展示されています。

 

新しいもの好きな一面も

 

 

とかく新しいものが好きなことも野口英世を語るうえでは欠かせない要素です。当時、カラー写真は非常に珍しく、最先端の技術でした。

1914年(大正3年)、いち早く自らが被写体となって、このカラー写真を撮りました。胸に黄色いバラを挿して、たくさんの赤いバラの前に立っています。この写真も、現物を見られます。

おしゃれ好きだった一面もあり、愛用していた帽子なども展示されています。

アメコミで語られる博士の一日

 

 

「博士の研究の一日」では、当時、ロックフェラー医学研究所に勤務していた英世の一日が綴られています。壁一面にアメコミ風のタッチで、博士の一日が描かれています。

文章ではなくて、分かりやすい漫画絵なので、視覚的にも楽しめます。朝8時半には研究所に着いて、動物や細菌の観察など、夜遅くまで仕事をしていた様がよく分かります。

難しい細菌についてクイズやゲームで楽しく勉強

「体験!バクテリウム」では、野口英世が研究した細菌について、深く理解できます。クイズやゲームが用意されていて、楽しく学べます。

細菌は、身体に悪い働きをするものから良い働きをするものまで様々です。野口英世は幅広く研究しましたが、なかでも命を賭して研究した病原菌については、世界から高い評価を得ています。

スピロヘータという病原菌の研究では、ノーベル賞候補にまでなりました。その後、エクアドルでは患者からスピロヘータを発見し、ワクチンを作って多くの人命を救いました。

このように、野口英世の偉業のファクターとなっている細菌について、子どもでも楽しく知識を得られるコーナーです。

野口英世記念館についてまとめ

 

 

野口英世について、その生家や思い出の品の数々が、実物で公開されているのが野口英世記念館の魅力です。野口英世ロボットや細菌についてのクイズなど、堅苦しくなりがちな偉人の展示を、肩の力を抜いて見られる工夫が施されています。

子どもから大人まで幅広く楽しめるスポットです。日本人にとって馴染みの深い人物である野口英世を、伝記のような文章ではなく、視覚的なインパクトを持って知るにはうってつけの施設です。

INFORMATION

名称 野口英世記念館
所在地 福島県耶麻郡猪苗代町大字三ツ和字前田81
電話番号 0242-65-2319
公式URL http://www.noguchihideyo.or.jp/
GOOGLE MAP