平興商店のもっきり

【岩手県盛岡市】盛岡の人気角打ち酒屋3選!|平興商店・細重酒店・鍵屋酒店

街中に清廉な川が流れ、良い涌水が湧く盛岡は昔から酒造が盛んで、かつては「あさ開」、「菊の司」、「桜顔」、「岩手川」という4つの酒蔵がありました。

そのため盛岡市内にはそれらを販売する酒屋さんが多くあり、角打ち(盛岡ではもっきり)が日本酒文化として親しまれてきました。

今では市内に残る酒蔵は「あさ開」と「桜顔」の2軒(「菊の司」は雫石町に移転、「岩手川」は廃業)となりましたが、それでも古い街並みが残る盛岡市内には、昔ながらの風情の酒屋さんがあります。

ご紹介する3軒の酒屋さんは昔ながらの「もっきり」の伝統を守り、お店の雰囲気にそれぞれ個性があって、一見の観光客でも地元の常連さんたちの温かいおもてなしで角打ちを楽しめます。


「角打ち」とは?

もっきりのお酒はなみなみ注がれる 菊の司公式サイトより

昭和のころ街にたくさんあった個人経営の酒屋さんでは、日本酒を量り売りで買うことができ、買ったお酒をその場で飲めるように量り売り用の升を貸し出して呑ませたのが「角打ち」の始まりです。

四角い升からお酒を飲むには角に口を付けて飲まなければならず、「角」から呑むことを「角から打つ」と表現したことが語源とも言われています。

最近は安い立ち飲みの店を「角打ち」と呼ぶことがありますが、本来の「角打ち」とは酒屋で買ったお酒をお店の中で呑むシステムです。

なお、盛岡では「角打ち」よりは「もっきり」と呼ぶのが一般的で、升でなくコップに「盛り切り」で提供されることからそのように呼ばれています。


平興商店(ひらこうしょうてん)

平興商店
ひっそりしていますが営業中、朝から呑める

盛岡の酒飲みなら知らない人はいないとされる、超有名な角打ち店です。

市内紺屋町の中津川沿いで、向かいには江戸時代から続く造り酒屋の「菊の司酒造」がありましたが、酒造は令和4年(2022年)に雫石町に移転しました。

しかし、平興商店さんはそのまま紺屋町に残り、角打ちを楽しむ地元の酒好きで毎日賑わっています。

菊の司酒造跡地
向かいの菊の司酒造跡地にはまだ建物が残されています

移転後も平興商店で扱われる日本酒は菊の司のお酒がメインで、季節によっては生酒など特別なお酒を「もっきり価格」で味わえます。

平興商店でおすすめの銘柄

平興商店のメニュー
平興商店の「メニュー」、ビールはここから自分で持ち出してお金を払います

親戚にあたる「菊の司」の銘柄が揃っていて、女将さんがその日のおすすめを説明してくれます。

平興商店のもっきり
平興商店さんのもっきり!動かすとこぼれるので、まずはこのまま口をつけて

女将さんがコップに注いでくれるお酒はなみなみとあふれそうで、コップを動かさずに口を付けてすすらなければならないので注意してくださいね。

平興商店の店内
おつまみのほかに看板ネコのミミちゃんのイラスト入りTシャツなども売られています

おつまみにはお店の缶詰や乾き物にお菓子などのほか、お店で作る枝豆やお新香のほか冬にはおでんなどもあります。

【追加情報】:平興商店閉店のお知らせ

閉店1週間後の平興商店

盛岡市民の憩いの場として愛され続けた平興商店は、2023年(令和5年)12月8日をもって、創業80年の幕を閉じました。

お店を仕切っておられたお母さんがご高齢となり、「第二の人生」を過ごされるとのこと、長年通い続けた常連さんたちから惜しまれながらの閉店でした。

店頭の貼り紙

もしかすると道路を挟んだ向い側の姻戚関係の「菊の司酒造」が、2022年10月をもって盛岡市隣りの雫石(しずくいし)町に移転したことも、閉店を決断した理由の一つだったかもしれません。

ほぼ解体が完了した菊の司酒造跡

その菊の司酒造跡は取り壊されて更地となり、さらに平興商店の灯りが消えたことで、歴史ある盛岡市紺屋町の一画は寂しさが漂っています。

初めての訪問でもお母さんと常連さんから温かく迎えいれられ、色々なことを教えてくれた「平興学校」の閉校を惜しむ声が地元では絶えません。

平興商店さん、これまでありがとうございました。

INFORMATION

  • 店舗名:平興商店
  • 所在地:岩手県盛岡市紺屋町6-2
  • 電話番号:019-622-2753
  • 営業時間:月~金 9:30~20:00、日・祝 13:30~20:00
  • 定休日:元旦
  • グルメサイト

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細重酒店(ほそじゅうさけてん)

細重酒店
盛岡町家風の趣たっぷりの店構え

盛岡町家が数多く残る鉈屋町にあって、江戸時代(寛政年間)から創業230年以上を数え、築130年の風情あふれる店構えの酒屋さんで、お店を仕切る気さくな女将さんは4代目とのことです。

昔から麹の製造・販売も家業としていて、お店の中に麹を作る場所があり手作りの麹を購入できます。

商品が陳列されている店内の奥に白いのれんがかかり、その奥が角打ちスペースです。

細重酒店の店内
白いのれんの向こう側は奥行きが広くとられています

土間に一枚板のカウンターがありイスが置かれているほか、座敷の上り口壁の棚には値段が書かれたおつまみ用の缶詰や乾き物などが山積みされています。

細重酒店のおつまみ
おつまみはこんな感じの品揃え、100円前後のものばかり

歴史を感じるのは土間につながる奥の高い天井の座敷で、神棚や装飾が施された階段など、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような雰囲気に圧倒されてしまいます。

細重酒店の時代を感じる店内
ここは何時代?右手前の引き出しは2階に上る階段です

細重商店でおすすめの銘柄

こちらのお店は盛岡の南にある紫波町の造り酒屋「月の輪酒造店」と親戚関係にあるので、蔵出しの「月の輪」を味わうことができます。

角打ちで呑める普通酒の「金印」は、リーズナブルでスッキリした味わいで美味しいお酒です。

細重酒店のビールサーバー
電子レンジのとなりにあるのがビールサーバー、暑い日にはまずこれから!

また、カウンターにビールサーバーがあって、キンキンに冷やされたジョッキに女将さんが注いでくれた生ビールもおすすめです。

INFORMATION

  • 店舗名:細重酒店
  • 所在地:岩手県盛岡市鉈屋町3-4
  • 電話番号:019-622-2314
  • 営業時間:月~土 9:00~20:00
  • 定休日:日曜
  • グルメサイト

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鍵屋酒店(かぎやさけてん)

鍵屋酒店
盛岡秋祭りが近いので、アーケードにはしめ縄や提灯が取り付けられています

盛岡市内の肴町商店街アーケード内にある明治39年(1906年)創業の老舗酒店です。

岩手の地酒だけでなく日本全国から選りすぐって仕入れた日本酒も販売していて、それらおすすめのものをリーズナブルな角打ち価格で、夕方から20時まで楽しめます。

鍵屋酒店の店内
店内と角打ち「KAGIYA BAR」のメニュー

お店の中にテーブルが置かれていて、イスもあるので座ってゆっくり味わうこともできます。

おつまみには乾き物が販売されていますが、匂いが強くないものであれば持ち込み自由です。

鍵屋酒店でおすすめの銘柄

南部杜氏の里、石鳥谷の川村酒造の「酔右衛門(よえもん)」と、沿岸の大槌町で津波に被災して盛岡市内で再建を果たした赤武酒造の「AKABU」の、岩手県内の2つの銘柄がおすすめです。

そのほか店主さんの目利きで選ばれた全国の銘柄が多数あり、最近ではクラフトビールの品揃えにも力を入れています。

INFORMATION

  • 店舗名:鍵屋酒店
  • 所在地:岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目5-25
  • 電話番号:019-624-2036
  • 営業時間:火~日 10:00 ~20:00(角打ちは夕方から閉店まで)
  • 定休日:月曜
  • URL:鍵屋酒店公式X(旧ツイッター)
  • グルメサイト

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分かり易い「角打ち」のルールとシステム

おつまみはセルフ、平興商店ではソーセージなど切ってもらえる 菊の司酒造公式サイトより

それぞれお店ごとにちょっとだけシステムが異なりますが、ルールは次の2つです。

  • 代金は現金で前払い(最後にまとめて払っても良い場合もある)
  • おつまみはお店の商品だけでなく、持ち込みもOK

これだけのことを守れば、誰でも角打ちを楽しむことができます。

ただ、次にご紹介するエチケットには気を付けた方が良いでしょう。

席に座る際に黙って座らず、そこに座って良いかを確認しましょう

お店の角打ちスペースでは、常連さんたちの席がだいたい決まっていることが多いので、空いていても黙って座らず「座って良いですか?」と、店の方や周りの方に確認しておくと良いですね。

おつまみを持ち込む時は、開けてよいかお店の人に確認しましょう

鍵屋酒店の店内
店頭販売がメインの鍵屋酒店では匂いの強いおつまみはご法度

持ち込みは自由ですがお店でもおつまみを販売していますし、匂いの強いおつまみを持ち込むとほかのお客さんの迷惑になってしまうこともあります。

食べる前に「これをおつまみにして良いですか?」と、お店の人に声をかけるようにしましょう。


まとめ

盛岡で角打ちをしている酒屋さんはどこも、近所の常連さんのコミュニケーションの場として愛され、大切にされてきました。

いつも常連さんが楽しく歓談しながらお酒を楽しんでいるので、初めての訪問はちょっとだけ勇気が必要かもしれません。

でも、そんな常連さんの誰もが、初めての人を「新しい自分たちの仲間」として暖かく迎え入れて、自分たちが持ち込んだおツマミを勧めてくれて、地元の面白い情報などを教えてくれるのです。

ニューヨーク・タイムズ紙でも「とても暖かい」と紹介された盛岡の人情に浸りながら、角打ちを楽しんではいかがでしょうか。


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