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【福島県いわき市】湯量は福島県ナンバーワン。フラダンスから競走馬の温泉もある「いわき湯本温泉」

「いわき湯本温泉」は、福島県いわき市にある、“道後温泉(愛媛県)”“有馬温泉(兵庫県)”とともに日本3代古湯ともいわれる長い歴史ある温泉です。

いわき湯本温泉全景 ©ふくしまの旅

平安時代の900年代には古文書に温泉神社の存在が書かれていて、温泉はそれ以前、約1300年前から使われていたと推定されています。戦国時代には周辺の領主たちが来湯していた記録も残り、江戸時代には50か所以上の源泉が自然に湧き出していました。

 「いわき湯本温泉」が、温泉地として活気を帯びるのは明治時代に海沿いの街道“浜街道(常磐道)”が整備されてからで、浜街道唯一の温泉場として年間2万人ほどの湯治客で賑わいました。

順風満帆だった「いわき湯本温泉」が石炭採掘によって泉源が枯渇

常磐炭鉱の採掘風景(撮影年不明) ©いわき市

江戸時代後期に温泉近くに石炭が発見され、明治時代になると文明開化の流れから石炭の需要が大幅に増え、多くの炭鉱が設立されました。石炭の採掘は温泉が通る湯脈を破壊し、そのため湯量が減っていきます。鉱脈上にある湯脈から湧く温泉は、石炭採掘の際の邪魔者となり、どんどん捨てられていったのです。

明治30年頃になると極端に湯量が減り、ついに1919年(大正8年)温泉が出なくなってしまいます。

炭鉱から出る温泉を活用して復活

炭鉱内から湧き出る温泉を引いて、いわき湯本温泉が復活(昭和51年撮影) ©いわき市

時代は富国強兵の時代。温泉より石炭増産が国策のため、第2次世界大戦後の昭和40年代まで「いわき湯本温泉」は温泉場ではなくなったのです。しかし、皮肉なことに石炭鉱山の隆盛は、町は炭鉱で働く人々の受け皿となり大きく発展しました。

閉山危機の炭鉱会社が打った起死回生策「常磐ハワイアンセンター」

「スパリゾートハワイアンズ」のフラダンスショー  ©ふくしまの旅

温泉が使われなくなっても、炭鉱からは大量の温泉水が噴き出していました。町はそれを有効利用できないか炭鉱会社と話し合い、ようやく1942年(昭和17年)になって町への温泉供給が復活したのです。それにより湯本の町は賑わいを増したのですが、それも長続きしませんでした。

エネルギー産業は昭和30年代をピークに石炭から石油へ移り、石炭鉱山は急激に斜陽化していきます。最大手だった常磐炭鉱(現常磐興産)も経営の危機に直面し、石炭採掘には邪魔者だった大量の温泉を有効利用しようと思い切った行動に出ます。それが温泉リゾート施設『常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)』です。

1966年(昭和41年)1月『常磐ハワイアンセンター』がオープンします。豊富に湧き出す温泉を大きなプールに満たし、さまざまなレジャー施設を用意、ハワイの雰囲気を演出するために“フラダンスショー”が毎日開催されました。これが大ヒット、連日超満員で、オープンから8年で入場者が1,000万人を超えたのです。

ハワイ風の演出が人気の大温泉プール ©ふくしまの旅

INFORMATION


  • 施設名称:スパリソートハワイアンズ
  • 住所:福島県いわき市常磐藤原町蕨平50
  • 電話番号:0570-550-550(ナビダイヤル)
  • URL:スパリゾートハワイアンズ

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鉱山閉山後は地下から汲み上げて温泉を確保

本業の石炭産業は衰退の一途をたどり、1971年(昭和46年)に常磐炭鉱が閉山。その後ほんの僅かに残った鉱山も1985年(昭和60年)には閉山し、磐城地方から石炭鉱山は完全撤退しました。

「いわき市石炭・化石会館  ほるる」に展示されている常磐炭鉱の石炭。「いわき市石炭・化石会館  ほるる」は2022年3月16日発生の福島県沖地震で被害を受けたため2022年12月現在休館中。再開日未定(要問い合わせ 電話番号:0246-42-3155)

鉱山が閉山すると町への温泉供給も不安定になり、1976年(昭和51年)になって、旅館関係者と自治体、常磐興産の3者が合同で常磐湯本温泉会社を設立し温泉の安定供給を図ります。使われなくなった地下の湯脈にパイプを打ち込んで、温泉を汲み上げる方法で温泉を確保するようになったのです。

『いわき湯本温泉』の温泉は、現在地下620m付近に打ち込んだ数十本の管により汲み上げられています。湧出量は福島県一の毎分約5,000リットルで、「スパリゾートハワイアンズ」や町内の温泉施設、家庭などに分配されています。

弱アルカリの硫黄泉は、多くの症状に効果を発揮

温泉宿「雨情の宿 新つた」の露天風呂 ©ふくしまの旅

「いわき湯本温泉」の温泉はすべて温泉会社が管理していて、各温泉施設とも泉質は同じです。泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(掲示用泉質名:硫黄泉)で、泉源での泉温は58.5℃、pH8.0となっています。色は無色澄明で少し塩味があり、ほんのり硫黄泉独特の玉子の腐ったような硫化水素臭がある弱アルカリ性の温泉です。美肌の湯としても評判になっています。

温泉の効能は大変豊かで、温泉としての一般的適応症の筋肉や関節の痛み、こわばりの解消、疲労回復、健康増進などのほか、糖尿病、軽いぜんそく、運動麻痺による筋肉のこわばり、自律神経失調症、アトピー性皮膚炎、うつ状態、睡眠障害など多くの症状に効果があるとされています。

老舗宿からホテル、民宿までバラエティに富んだ宿泊施設 

「いわき湯本温泉」には、『スパリゾートハワイアンズ』のほか、江戸時代創業で300年以上の歴史ある『元禄彩雅宿 古滝屋(ふるたきや)』、同じく江戸時代創業の『松柏館(しょうはくかん)』、明治時代創業の『雨情の宿 新つた(しんつた)』などの老舗旅館はじめ、純和風旅館や割烹旅館、ホテル、民宿、温泉療法の受けられる宿などバラエティに富んだ20軒の温泉宿泊施設があります(2022年いわき湯本温泉旅館協同組合加盟店)。

温泉はもちろん、料理自慢の宿が多く、“常磐もの”と呼ばれる小名浜港はじめ周辺の港であがった新鮮な魚介類と、常陸牛をはじめとする山野の幸が織りなす珠玉の料理が旅人をもてなしてくれます。

「さはこの湯公衆浴場」。日帰り温泉施設で入浴料おとな 300円、こども 150円 ©いわき市

いわき湯本温泉旅館協同組合


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日本で唯一、馬の温泉「JRA競走馬リハビリテーションセンター」

温泉のリハビリテーション効果は抜群。気持ちよさそうな競争場 ©いわき市

「いわき湯本温泉」には日本で唯一の珍しい温浴施設があります。それは“馬の温泉”です。温泉は競走馬の筋肉疲労回復やリラックス効果に大きな成果を上げています。

この施設は『競走馬リハビリテーションセンター』といって日本中央競馬会(JRA)競走馬総合研究所の病気やケガをした競走馬の療養、リハビリテーション施設です。センター内にはスイミングプールやウォーターウォーキングマシン、ランニングマシンのウォータートレッドミル、調教馬場、レントゲン、エコー検査など最新のリハビリ、トレーニング、検査設備が整っています。ここで温泉に入り、傷などを癒やした競走馬が大レースを勝ったこともしばしばです。

プールを使っての調教。さまざまな調教風景が見学可能。 ©いわき市

『競走馬リハビリテーションセンター』は、競馬愛好者ばかりでなく一般の観光客も見学が可能です。温泉に浸かりながら気持ちよさそうにしている競走馬の姿が間近に見られます。

INFORMATION


  • 施設名称:競走馬リハビリテーションセンター
  • 住所:福島県いわき市常磐白鳥町上ノ原71
  • 問い合わせ先:0246-43-3185
  • 見学可能時間:

                    月曜日~金曜日/8:00~17:00(競走馬の調教等を見学できるのは午前中)

        土曜日・祝休日/8:00~11:00頃(祝休日はプール調教・温泉は休み)

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NORIJUN

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旅が好きが高じて一昔前は旅行誌、今はWEBの旅行ライターをしています。取材では東北地方を中心に全国47都道府県すべて訪れていますが、楽しみは温泉に入り、古い町並みや暮らし、芸能工芸など日本の伝統文化にふれることです。

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