津軽の花見グルメ「トゲクリガニ」の魅力に迫る!毛ガニより美味しい?【青森県】

弘前公園の桜が咲き始めると、津軽の人々は“ちょっと変わった花見の楽しみ方”を始めます。レジャーシートに並ぶのは、実は「トゲクリガニ」。なんと津軽では珍花見グルメとしてシャコやカニが登場するのです!

今回はとくに地元民が愛してやまない“トゲクリガニ”にスポットを当て、その魅力を深掘りします。


津軽の花見にはカニがある!?異様な光景の謎に迫る

弘前公園桜まつり

弘前公園の花見で見かける“カニを囲む人たち”

春の弘前公園を歩いていると、お弁当や焼き鳥の隣に、堂々と茹でガニが並んでいる光景に出くわします。観光客が驚くこの風景、地元の人にとってはごく自然な花見スタイルです。

桜の下でお酒を片手にカニの身をほじる。その様子は、まるでごく当たり前。津軽では、「春=カニの季節」であり、花見にカニがあるのは不思議でもなんでもないのです。

なぜ津軽の花見にカニが登場するのか?

その理由はシンプルで、トゲクリガニの旬がまさに桜の季節と重なるから。春の短い期間にだけ水揚げされるトゲクリガニは、まさに“今しか食べられない”季節限定グルメです。

しかも、毛ガニよりも手頃な価格で手に入るため、特別なごちそうというより「この時期に食べるのが当たり前」という感覚。こうして、春になって桜が咲き始めるとカニを買って花見に持って行く、という文化が自然と根づいていきました。


トゲクリガニとは?見た目と特徴を紹介

茹でられたトゲクリガニ

小ぶりでトゲトゲ、だが中身はしっかり

トゲクリガニは、甲羅のサイズが大人の手のひら程度と小ぶり。名前のとおり、甲羅のまわりにびっしりとトゲがあり、毛ガニに比べてゴツゴツした見た目です。

しかしその中には、甘みのある身とたっぷりの味噌がぎゅっと詰まっていて、見た目以上に満足感のあるカニです。丸みを帯びた甲羅と、やや短めの脚も特徴で、「春の津軽といえばこれ」と地元では言われるほど親しまれています。

桜の季節限定の“地物ガニ”

トゲクリガニは主に津軽海峡や日本海側で水揚げされ、青森県内の市場を中心に出回ります。鮮度が命のカニなので、流通範囲が非常に狭く、県外ではほとんど見かけることがありません。

地元の直売所や朝市でその日に茹でたものを買うのが定番で、まさに“地元の人しか味わえない味”。花見だけでなく、春の食卓に登場することも多く、春の訪れを感じる風物詩でもあります。


毛ガニより旨い?トゲクリガニの味の秘密

身の甘みが強く、食べごたえ抜群

トゲクリガニの身はホクホクとしていて、甘みがしっかり感じられます。サイズが小さいわりに身入りも良く、殻からするっと外れるので、食べる手間もさほどかかりません。

気軽につまめるサイズ感も魅力で、花見の場でも手を汚しすぎずに楽しめるのがうれしいところです。肉厚でジューシーというよりは、ほぐしやすくて素朴な旨味が楽しめるタイプ。つい夢中になって、手が止まらなくなってしまいます。

濃厚な味噌が魅力!通はオス派 or メス派?

トゲクリガニ最大の魅力は、その味噌にあります。毛ガニにも引けを取らないどころか、むしろ味噌の濃厚さでいえば上を行くという声も少なくありません。

オスは身と味噌のバランスが良く、全体的な満足度が高め。一方で、メスは内子(未成熟の卵)を抱えていて、この独特の食感と濃厚な味わいが好きな人にはたまりません。

地元でも「オス派?メス派?」と話題になることが多く、どちらも食べ比べてみたくなる春の楽しみです。


トゲクリガニはどこで買える?購入できる場所と食べ方を紹介

地元のスーパーや市場で購入可能

トゲクリガニは、青森県内の朝市や直売所で春になると姿を見せ始めます。弘前なら虹のマート、八戸なら舘鼻岸壁朝市が有名です。価格は1杯300〜500円ほどと手ごろで、数匹まとめて買っていく人も珍しくありません。

花見シーズンになると、スーパーの鮮魚コーナーでも取り扱いが増え、県内各地で春の到来を知らせる存在となっています。


シンプルに茹でるだけ

調理方法はとてもシンプルで、塩を入れてさっと茹でるだけ。トゲクリガニはそのまま食べるのが一番美味しいとも言われており、余計な調味料は不要です。スーパーや市場では生きたトゲクリガニも売っていますが、茹でたトゲクリガニも売っています。もしお花見に行くのであれば茹でられたものを買ったほうがお手軽ですが、時間があれば自宅で茹でてみるのもおすすめ。茹でたてのトゲクリガニは甘みが強く、ホクホクとした味わいがより感じられます。

花見の席では、新聞紙やパックのままテーブルに並べられ、殻をむきながらゆっくりと味わうのが地元流。味噌の部分は日本酒にちょっとつけても美味しく、春の昼下がりを贅沢に彩ってくれます。


まとめ

津軽の春には、桜とカニが当たり前にセットで存在しています。毛ガニよりも手に入りやすく、味噌の濃厚さと甘い身の旨さで地元民に愛され続けるトゲクリガニ。桜の開花とともに店頭に並び、花見の風景に自然と溶け込んでいます。

観光で弘前桜まつりを訪れる方にも、ぜひこの“春だけの味”を体験してみてほしいです。桜の名所で、春限定のトゲクリガニを味わう。それは、きっと忘れられない津軽の思い出になるはずです。


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