【宮城県角田市】大型ロケットエンジンの開発拠点、宇宙とつながる街・宮城県角田市

宮城県角田市(かくだし)といっても全国的にはあまり知られていないかもしれませんね。

宮城県の県都仙台市の南、福島県との県境近くに位置し、市の中央部を一級河川阿武隈川(あぶくまがわ)が流れています。気候的には雪はあまり降らず、平均気温が12℃前後と、東北地方としては住みやすい環境にあり、農業と工業が盛んです。

なにより興味深いのが“銀河連邦共和国”の一員だということ。“銀河連邦共和国”とは、日本で宇宙に近い7市町で結成された共和国(交流組織)で、

  • 北海道大樹町(たいきちょう)
  • 岩手県大船渡市(おおふなとし)
  • 秋田県能代市(のしろし)
  • 神奈川県相模原市(さがみはらし)
  • 長野県佐久市(さくし)
  • 鹿児島県肝付町(きもつきちょう)、

それに宮城県角田市で組織されています。これらの市町には日本の宇宙開発における中心的存在宇宙航空研究開発機構(JAXA/じゃくさ)の施設があり(大船渡市は過去にJAXA施設があった)、お互い協力して“宇宙に近い町”をアピールし、町おこしをしようという狙いがあります。“銀河連邦共和国”の本部は相模原市です。


ロケットエンジンを開発する「角田宇宙センター」

「角田宇宙センター」全景 ©JAXA

前置きが長くなってしまいましたが、角田市が銀河連邦共和国の一員である理由は、市内にJAXAの『角田宇宙センター』があることです。

前身は1965年(昭和40年)設立された「航空宇宙技術研究所(NAL)角田支所」で、2003年に隣接して開設された宇宙開発事業団(NASDA)の「角田ロケット開発センター」と合併し、『角田宇宙センター』となりました。

『角田宇宙センター』は、主に宇宙ロケットの心臓部であるロケットエンジンの開発や試験を行っています。特に日本の大型ロケットH-ⅡA、H-ⅡBのエンジンや未来を担う新型ロケットH-3に搭載されるエンジンの開発拠点として多くの実績をあげています。今までに打上げられた60回あまりのH-Ⅱ型ロケットは、ここで試験をして合格したエンジンだけが使われました。

次世代大型ロケットH-3用に新設計されたのエンジンをテスト ©JAXA

『角田宇宙センター』の敷地は、第2次大戦までは海軍の火薬廠(かやくしょう=火薬工場)だったところです。周辺は丘陵地帯で、隣接して広大な陸上自衛隊船岡駐屯地があり、ロケットの研究で大きな音や煙が出ても大丈夫という理由で選ばれたそうです。

実験設備のひとつ「高温衝撃風洞棟」 ©JAXA

「宇宙開発展示室」でロケット最先端技術に触れる

「宇宙開発展示室」の屋外展示。ロケットエンジン(本物)とロケット模型が並んでいる ©JAXA

『角田宇宙センター』構内は基本的に立ち入り禁止ですが、一般見学用の「宇宙開発展示室」が開設されていて、日本のロケット開発の最先端技術に触れることができます。

「宇宙開発展示室」は、『角田宇宙センター』で燃焼試験をした跡が残るロケットエンジンや複合エンジン、H-ⅡBはじめ歴代ロケットの縮小模型などが展示され、日本のロケット開発の歴史を目の当たりにすることができます。ビデオシアターではロケットや宇宙開発に関する映像が上映され、パネルで過去現在未来の研究の足取りなどが紹介されています。

特に、小惑星探査機「はやぶさ」のミッションを疑似体験できる「はやぶさシミュレーター」は、惑星探査機のオペレーターになったようで、ワクワク気分にさせてくれます。

「宇宙開発展示室」の展示室。右側にあるのが“はやぶさシミュレーター” ©JAXA

年に1度だけ「角田宇宙の日」(実施日は角田市オフィシャルホームページで要確認)に角田宇宙センター構内が一般公開されます。

角田宇宙センター<Information>

  • 施設名称:角田宇宙センター 宇宙開発展示室
  • 住所:宮城県角田市君萱字小金沢1
  • 電話番号:050-3362-7500(見学問い合わせ)
  • 開館時間:10:00~17:00
  • 入館料:無料
  • 休館日:11月~3月/土日祝休日(5月~10月 無休)、年末年始
  • URL:角田宇宙センター 宇宙開発展示室

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真っ白なH-ⅡBロケットの実物大模型が市のシンボル

右からH-ⅡBロケット(実物大模型)、コスモタワー、コスモハウスが立ち並ぶ台山公園 ©角田市商工観光課

角田市の中心街にある台山公園には、『角田宇宙センター』が深く関わった日本最大の純国産ロケットH-ⅡBの実物大模型がそびえ立っています。H-ⅡBロケットは全長約56.6m、直径4mほどで、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を補給した「こうのとり」を打ち上げたことで知られていますが、2020年5月21日に第9号が打ち上げられその役割を終えました。

台山公園のH-ⅡBロケットは、白く塗られています。これは開発当初の色で、実際に打ち上げられた時は黄色またはオレンジに変わっています。ロケットエンジン開発に最初から取り組んできた『角田宇宙センター』ならではの貴重な色です。


実物のロケットエンジンが展示されている「コスモハウス」

「コスモハウス」の展示室。入場は無料 ©角田市商工観光課

「スペースタワー」は、高さ約44.9mで、ロケット発射台がモチーフ。2階3階は望遠鏡などが設置されている展望室になっています。

「コスモハウス」には、燃焼実験で使用した実物のロケットエンジンや実物大の人工衛星などが展示されています。展示室では“宇宙の広がり”“宇宙をさぐる”“宇宙を飛ぶ”“未来をひらく”という4つのテーマがマルチスクリーンや写真パネルなどによってわかりやすく解説されています。

毎年5月5日(こどもの日)には、『宇宙っ子まつり』が台山公園を中心に開催され、“ペットボトルロケット打ち上げ体験”などのイベントが行われ、親子連れで賑わいます。この日は宇宙人も招待しているという噂も。どこかで遭遇するかもしれませんね。

台山公園<Information>

  • 施設名称:台山公園 H-ⅡBロケット/スペースタワー・コスモハウス
  • 住所:宮城県角田市角田牛舘100
  • 電話番号:0224-63-5839
  • 開館時間:9:00~17:00(11月~2月は16:00まで、最終入館は15分前まで)
  • 休館日:火曜日(火曜が祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
  • 入館料:「コスモハウス」 無料/「スペースタワー」 高校生以上380円、中学生以下無料
  • URL:角田市スペースタワー・コスモハウス

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