【青森県田舎館村】田んぼアートだけじゃない!田舎館村はアートが楽しめる場所なんです!
青森県田舎館村といえば「田んぼアート」が有名なことで知られています。青森県中央部に位置する田舎館村は北方稲作文化発祥の地でもあることから、米づくりが盛んに行われてきました。その稲作の経験や、広大な土地を利用して村おこしをしようと企画されたのが「田んぼアート」です。
色の異なる稲を使い、キャンバスに絵を描くように植えていくのが田んぼアートの特徴。斜め上から見ることを想定して図案を設計し、一本一本丁寧に植えられていきます。
穂の色にもこだわり、始まった当初は三種類の色で絵を描いていましたが、近年では11種類7色を使い、色鮮やかなアートを描いています。
手探り状態から始まったプロジェクトですが、技術は年々向上。その緻密な設計と芸術性はどこの地域にも引けを取らず、海外メディアでもたびたび取り上げられています。
雪の中でも楽しめる「冬の田んぼアート」とは
そんな田舎館村が新しい挑戦を始めました。田んぼアート会場を冬にも活用しようと、2016年(平成28年)から始めたのが「冬の田んぼアート」です。
目印がなにもない真っ白い雪原に、スノーシューで歩いた足跡だけで絵を描く。そのプロジェクトは、市民団体「スノーアーティスト集団 It’s OK.」のメンバーが中心になり作成がスタートしました。
簡単そうで難しい、雪原に描くスノーアート
スノーアートは、いきなり雪に絵を描くわけではありません。緻密な設計とデザインで下絵を作り、どのルートでいくのか、どんな技法で描くのかをあらかじめ決めてから白い雪原に一歩目の足跡を始めます。
使用するのは雪山を歩く際に使用されるスノーシュー。
これを履いて歩くことで綺麗な足跡となり、模様や絵が雪上に描かれます。簡単なように見えますが、ただ歩いているだけではありません。
ひとつの足跡として残すためにはしっかり膝を上げて踏みしめる必要があり、綺麗に足を抜かないと雪を引きずったような跡になってしまうのです。
雪が深いため、ものすごい体力を使うのがスノーアートの特徴です。
アートの肝となる「シェード」
正しい方向へ進むために、歩数や角度を逐一確認して次の一歩を見極めます。
円を描く際は一人がロープを持って中止に立ち、コンパスの要領でみんなが歩いて円を描いていくのが一般的な方法です。
スノーアートは、はっきりとした線として表現するところと、足跡を模様として表現するところがあります。
足跡の模様は「シェード」と呼ばれ、シェードが綺麗に見えるかどうかで作品のクオリティはグッと変わってきます。線は消すことができますが、足跡はなかなか修正がききません。田舎館村の「冬の田んぼアート」が始まった当初は、綺麗なシェードにならなかったり、予定にないところを踏んでしまったりとアクシデントが少なくなかったと言います。
何年も続けていくにつれて技術は向上し、今では夏の田んぼアートに引けを取らない知名度とクオリティを誇っています。
短い間しか見られないからこそスノーアートは美しい
6、7時間をかけ雪原にアートを描く「冬の田んぼアート」。天候に左右されやすく、綺麗に見えるのはほんのわずかな期間しかありません。その儚さが美しく、多くの人の心に残り続けていきます。
2016年にはじめて開催され、毎年恒例のイベントとなっていた冬の田んぼアート。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年のイベント開催を最後に2年間開催が見送られています。
ずっと残せないからこそ美しい雪の芸術「スノーアート」。
思わずこぼれる歓声が、再び聞こえる日が来ることを願ってやみません。