【秋田県】秋田の冬を楽しもう!おすすめの冬まつり3選!
目次
秋田の「ナマハゲ」や「かまくら」は有名ですが、「なまはげ柴灯まつり」と「横手雪まつり」は、それらと地域に伝わる神事が組み合わされて誕生しました。
また、「上桧木内の紙風船上げ」は神事ではありませんが、庶民の願いを風船に書いて天に届けるという、祈願が目的の民間信仰行事とされています。
なまはげ柴灯まつり(男鹿市)
なまはげ柴灯(せど)まつりは、男鹿市内の真山(しんざん)神社で900年以上の伝えられてきた「柴灯祭(さいとうさい)」と、大晦日の民俗行事「男鹿のナマハゲ」を併せた冬まつりです。
同じ秋田の「横手かまくら」とともに「弘前城雪燈籠まつり」、「八戸えんぶり」、「いわて雪まつり」と併せて「みちのく五大雪まつり」の一つとされています。
真山神社のすぐ下には「なまはげ館」と「男鹿真山伝承館」があり、ナマハゲに関する展示や映像などをいつでも鑑賞できます。
なお、2025年は2/7(金)~9(日)の開催ですが、会場が狭いため事前申し込み(有料、各晩2,000人まで)が必要です。
事前入場申し込みはこちらから(2024年12月1日から申し込み開始予定)
「なまはげ」と「ナマハゲ」正しい表記はどっち?
地元では平仮名が使われることが多く、1978年(昭和53年)に国の重要無形民俗文化財指定の際は「男鹿のナマハゲ」とカタカナ表記で、どちらも正しい表記です。
この記事では固有名詞のほかは、読みやすさに配慮して「ナマハゲ」としました。
「男鹿のナマハゲ」に関する詳細な説明はこちらよりどうぞ
なまはげ柴灯まつりの流れ
3日間とも18時から21時ごろまで、次のように行事が進められて行きます。
なお、神楽殿の中で行われるものは、中に入れなくとも広場に設置された大型モニターで鑑賞可能です。
鎮釜祭(ちんかまさい)・湯の舞(18:00~)
大釜で沸かした湯を、神官が祓いの祝詞を唱えながらわらボウキでかき回すという湯立ての神事で、これによって荒れる海を鎮めるとされています。
なまはげ入魂(18:20~)
参道入り口に集まったナマハゲ役の若者たちに、神(しん)が込められたお面が授けられ、面を被りナマハゲとなった彼らが叫びながら山を昇って行きます。
なまはげ行事再現(18:35~)
男鹿市内で大晦日に行われる伝統民俗行事「男鹿のナマハゲ」が、神楽殿で再現されます。
恐ろしい姿のナマハゲが家々を訪れて子どもや親に訓示する様子から、主人の接待を受けて納得したナマハゲが帰る様子などが再現されます。
なまはげ踊り(18:55~)
1961年(昭和36年)に、秋田出身の現代舞踏家・石井漠(いしいばく)氏が振り付けをして、息子で作曲家の石井歓(いしいかん)氏が曲をつけました。
柴灯火の前で赤と青の2体のナマハゲが舞うこの踊りは、荒々しい動きとモダンな音楽がかもし出す独特の雰囲気があります。
なまはげ太鼓(19:05~)
神楽殿で奉納され、地を揺るがす太鼓の迫力ある音と力強いバチさばきが魅力の郷土芸能です。
なまはげ下山と献餅(けんぺい)(19:25~)
お面をもらい山に帰ったナマハゲたちが、神の使者として松明をかざして神社の境内に降り来て乱舞する姿は、このまつりの最大の見せ場です。
ナマハゲたちは最後に柴灯火で焼かれた護摩餅(ごまもち)をもらって山に帰るのですが、神の力が宿った餅に触れない様子がコミカルに表現されます。
里のなまはげ乱入(20:00~)
山に帰ったナマハゲたちが再び叫び声を上げながら境内に現れ、会場の子どもたちがおびえて泣き出しますが、この時のナマハゲたちは親しみやすい神の使者となっていて、観客との触れ合いを楽しんでいるかのようです。
なまはげ柴灯まつり<Information>
- 名 称:なまはげ柴灯まつり
- 開催期間:2025年2月7日(金)~2月9日(日) 18:00~21:00
- 開催場所:真山神社
- 所在地:秋田県男鹿市北浦真山水喰沢97
- 問い合わせ先:なまはげ柴灯まつり実行委員会(男鹿市観光課内)
- 電話番号:0185-24-9220
- URL:なまはげ柴灯まつり実行委員会 公式サイト
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横手の雪まつり(横手市)
雪の家の中で水神を祀る行事「かまくら」と、神様が宿る依り代(よりしろ)の「ぼんでん(梵天)」を掲げ練り歩く「ぼんでん」は、ともに小正月の行事です。
この2つを併せて観光行事としたのが「横手のゆきまつり」で、1954年(昭和29年)から今の形で毎年2月15日からの3日間で行われるようになりました。
450年の歴史がある雪の家「かまくら」
横手を代表する小正月行事で、雪で作った家の中には水神様が祀られ、中から「はいってたんせ、おがんでたんせ」と、道行く人に声をかけます。
家の中では甘酒(あまえこ)などがふるまわれ、そこでゆっくり話をしながら過ごすという冬の行事です。
昔は街中に作られていましたが、車が増えた近年では横手市役所本庁舎前の道路広場、羽黒町、二葉町、横手公園などに限定して作られます。
かまくらの作り方
かつてはそれぞれの家庭で自由に作られていましたが、1958年(昭和33年)に横手市と市観光協会の主導で「モデルかまくら」が推奨されています。
最近は雪を積み上げて中を掘る形が主流とのことで、横手市の公式サイトにもかまくらの作り方が載っています。
豪華で優美な横手の「ぼんでん(梵天)」
五穀豊穣、家内安全、商売繁盛などを願い、高さ5m以上重さ30kgの「ぼんでん」を旭岡山神社に奉納する行事で、こちらも約300年の歴史があります。
持ち手の竿は約4.3mでその先に直径約90㎝の円筒形の竹籠が取り付けられ、色鮮やかな布や糸で作られた「さがり」が垂らされます。
しめ縄・紙垂・鉢巻などのほか、ポイントとなるのは干支の動物や人形などの意匠が凝らされた頭飾りです。
これを担いで市内を「ジョヤサ、ジョヤサ」というかけ声とともに、梵天唄を歌いほら貝を吹き鳴らしながら、旭岡山神社まで練り歩きます。
神社では各町内が先を争って本殿に奉納しようとしますが、そこでもみ合いとなり熱気が最高潮に高まります。
出来栄えを競う「梵天コンクール」
ぼんでん初日の16日に横手市役所本庁舎前で梵天のコンクールが開催され、子どもたちの「小若梵天」なども含めてその出来栄えを競い合います。
横手の雪まつり<Information>
- 名 称:横手の雪まつり(かまくら、ぼんでん)
- 開催期間:かまくら 2025年2月15日(土)~16日(日)、ぼんでん 2月16日(日)~17日(月)
- 開催場所(かまくら):横手市役所本庁舎前・横手公園・二葉町・その他市内一円 18:00~21:00
- 開催場所(ぼんでん):2月16日 横手市役所本庁舎前 9:30~12:00ごろまで、2月17日 旭岡山神社
- 問い合わせ先:横手市観光協会(ふれあいセンターかまくら館内)
- 電話番号:0182-33-7111
- URL:横手市観光協会 公式サイト
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上桧木内の紙風船上げ(仙北市西木町)
田沢湖の北、国道105号線沿いの上桧木内(かみひのきない)地区で、武者絵や美人画が描かれた大きな紙風船に灯火を灯して夜空に上げる伝統行事です。
100年以上続くこの小正月の行事は、戦争で一時中断したものの1974年に(昭和49年)に地区の有志によって復活しました。
ほのかな灯りで絵や願いごとを浮き上がらせた大きな風船が、真冬の空に上って行く幻想的な光景を観るために、まつりの間は多くの人が訪れます。
なお、紙風船上げ会場にある「仙北市紙風船館」では常時紙風船が展示されていて、トイレが利用できるほか軽食やお土産物が販売されています。
熱気球と同じ原理の紙風船
紙風船は年々大きくなって12mに達するものもあり、最近は昔ながらの半紙ではなく貼り合わされた丈夫な和紙で作られます。
打ち上げは、まずガスバーナーなどで風船内に熱い空気を送り込んで紙風船を膨らまして、口に取り付けた布玉に火を点けて準備完了です。
その火によって紙風船内にさらに熱気が送られ、頃合いをみて手を放すと、絵や文字を浮かび上らせた紙風船はゆっくりと空に上って行きます。
その原理は江戸時代にこの地を訪れた平賀源内が伝えたとも言われていますが、真実は定かではありません。 100個ほどの大小の風船は全て地元住民の手作りで、絵のほかに願いごとが書かれたものもあり、天への祈りが込められています。
上桧木内の紙風船上げ<Information>
- 名 称:上桧木内の紙風船上げ
- 開催期間:2025年2月10日(月) 15:00~20:30(最終打ち上げ)
- 開催場所:紙風船上げ会場(秋田県仙北市西木町上桧木内大地田3-1)
- 問い合わせ先:西木観光案内所
- 電話番号:0187-42-8480
- URL:仙北市 公式サイト(観光情報)
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まとめ
ご紹介した冬まつりの3つの民俗行事はかつて、戦争や過疎化による担い手の減少、車社会の発達による交通事情などによって年を追うごとに衰退していきました。
しかし、その存続を願う地元の有志や自治体が、地域に伝わる冬の神事と組み合わせた観光イベントとして復活させ、行事の保存と振興が図られたのです。
今シーズンにこれらの冬まつりを訪れて、雪に埋もれる冬の厳しさと素朴な民俗行事の雰囲気に触れてみてはいかがでしょうか。