【岩手県北上市】日本の原風景を散歩しよう!古建築が集う野外博物館「みちのく民俗村」
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岩手県北上市は県南西部に位置する都市で、江戸時代には盛岡藩南部領、仙台藩伊達領の藩境に位置する典型的な農村地帯でした。しかし昭和以降、東北自動車道・東北新幹線の整備に続き、秋田自動車道の開通と、交通・流通の重要拠点として発展を遂げました。
今回はそんな北上市にある「みちのく民俗村」の紹介です!
みちのく民俗村とは?
JR北上駅を中心とした北上市街、そこから北上川を渡った対岸の桜の名所「展勝地」に隣接する丘陵地に、岩手県内各所の古建築を移築した野外博物館「みちのく民俗村」があります。
敷地内には北上市立博物館や北上市埋蔵文化財センターが存在するほか、約7万平方メートルの丘陵と谷に、江戸時代から明治時代頃の古建築を計画的に移築し、日本の原風景といえる「村」を再現・公開しています。
みちのく民俗村の古建築
敷地内には旧南部領、旧伊達領の合わせて10件の古建築が岩手県内各所より移築されています。(2024年現在)
その中のいくつかの建築物をピックアップして紹介します。
商家 旧今野家(受付)
旧今野家は明治・大正時代、日用品の販売や、行商人などが利用する宿を営んでいた商家。創建は江戸時代末期頃のもの。
江戸時代、南部領との境を守る伊達領側の警衛の地として整備された奥州市江刺区梁川舘下(旧伊達領)から移築されたもので、北上市指定文化財となっています。
みちのく民俗村の入り口に位置し、現在は受付を兼ねた施設となっておりパンフレット等をいただけます。
旧菅野家住宅
旧菅野家は、北上市口内町長洞から移築された享保年間頃の伊達領側の村にあった上層農家の邸宅。
伊達領の住宅規定が書かれた「御郡方式目」との照合から、大肝入(村長のなかでもさらに上役の村長)のものと考えられているそう。
村長の中の村長の建物だけあって、かなり大きく立派な建物です。
入り口にある薬医門には享保5年(1720)の棟札(建物の建築・修築の記録・記念として、棟木・梁など建物内部の高所に取り付けた札)があったそうです。
旧星川家住宅
旧星川家住宅は紫波郡矢巾町北伝法寺(旧南部領)から移築された幕末頃のものであろう古建築。
南部領の建物の特徴として有名な曲り家造りとなっていて、馬が飼育されていた部分では現在はヤギが飼育されていました。
旧北川家住宅
遠野市土淵町栃内(旧南部領)から移築された旧北川家住宅は「遠野物語」の中で「土渕村の助役北川清と云ふ人は字火石に在り」と紹介される有名な山伏(修験者)の家で、創建は江戸時代中期頃のもの。
こちらも典型的な南部曲り家造りとなっていて、山伏の家だったことから奥の間には主人以外は入れない祈祷の部屋があり、祭壇にはオシラサマが祀られていたことが記録として残っているそうです。
旧菅原家住宅(豪雪農家)
和賀郡西和賀町大沓(旧南部領)から移築された旧菅原家は、奥羽山脈の山懐の豪雪地帯にあった農家の家で、明治時代後期創建のものと考えられています。
厩と居住区が一体となっている「内馬屋」形式の民家が多い南部領ですが、旧菅原家は「曲り家」ではなく「直ご家」と呼ばれる形状の民家で、軒に「船枻造り」という工法を用いるなど、雪の重みに対する耐久力をつける豪雪地帯ならではの工夫が見られます。
藩政時代の領境を示す珍しい史跡「南部領伊達領境塚」
みちのく民俗村の敷地内を「旧仙台藩寺坂番所」付近に上っていくと、盛岡藩南部領と仙台藩伊達領の境界をあらわす南部領伊達領境塚(間沢挟塚)が現存しています。1642年に南部家、伊達家双方の話し合いの末築かれた大小の領境塚は、奥羽山脈の駒ケ岳頂上から東に延び、岩手県釜石市の唐丹湾まで約130kmに渡って続いているそうです。
宮城県・岩手県の県境が当たり前となっている現代人からすると、ここが国境だったというのは違和感しかありませんが、そんな歴史の一端に触れることができる貴重なスポットです!
このように国境塚が現存しているところは極めて珍しいらしく、国の行政史上重要な史跡であることから「国指定史跡」に指定されています。
北上の人々の生活を垣間見ることができる民俗資料館
敷地内には北上市鍛冶町一丁目にかつて存在した旧黒沢尻高等女学校の校舎を移築・復元した民俗資料館もあります。
こちらは昭和2年(1927)建築のものだけあって少し他の古建築とは装いが違います。内部には北上地方の昔のくらしを知ることができる民俗資料が展示されています。
昔の農機具や家財道具はよくあるもの…と言っては失礼ですが、目を引いたのは民間信仰に関する展示。北上市の特色を感じる面白いものでした。
併設の北上市消防資料館も楽しい
民俗資料館内には北上市消防資料館も併設されています。
ここでは明治から昭和にかけての北上地域の消防に関わる資料が展示されています。専門職の道具だけあって初めて見るものばかりでかなり興味を惹かれました!特に昔の消防車やポンプ車は一見の価値ありです。
まとめ
今回は岩手県北上市のみちのく民俗村の紹介でした。
JR北上駅から距離にして約3km、車であれば10分もかからず訪れることができるのでアクセスもかなり良好です。無料とは思えないほど見どころの詰まった観光スポットなので北上市を訪れる機会があった際は是非行ってみてほしい場所です!
ちなみに敷地はかなり広く、全て見て回るにはかなりの時間を要するので余裕をもって来訪することをおすすめします。
みちのく民俗村<Information>
- 名 称:みちのく民俗村
- 住 所:〒024-0043 岩手県北上市立花14地割62−3
- 電話番号:0197-72-5067
- 公式URL:http://michinoku-fv.net/