目次
青森県のローカル線は、ストーブ列車や通学列車など地域密着の路線や、陸奥湾や太平洋、日本海それぞれの眺めを楽しめる海沿いの路線が多いのも特長です。
ローカル線の定義とは?
広い意味では乗客が少ない地方の鉄道路線を指しますが、ここでは次の基準で選びました。
- 単線で乗客が少なく、廃線の可能性大
- SLや観光列車があり、映え写真の撮影スポットが多い
なお、2県にまたがる路線は起点がある県のローカル線としました。
津軽鉄道線(津軽五所川原駅~津軽中里駅:12駅20.7Km)
津軽半島の地元では「津鉄(つてつ)」と呼ばれ、桜のトンネルやストーブ列車で有名です。
日本で唯一の腕木式信号機が現役で、単線ならではのタブレットやスタフ交換など、古き良き鉄道風景が見られます。
津軽鉄道線のおすすめポイント!
金木(かなぎ)駅近くに作家の太宰治の生家(国の重要文化財)があり、太宰治記念館「斜陽館」として公開されています。
芦野公園(芦野公園駅)
県立芦野公園には1,500本以上の桜があり、「日本さくら名所100選」に選ばれています。
5月のGWに「金木桜まつり」が開催され、駅周辺の線路に立ち並ぶ「桜のトンネル」は見応え満点です。
ストーブ列車
1936年から運行され、現在の車両は4代目です。
車掌さんが石炭をくべるダルマストーブは左右座席列に1基ずつあって、上にスルメ焼き用の網が乗っています。
スルメは観光アテンダントさんに焼いてもらえて、それと津軽弁のガイドを肴に、一面の銀世界を眺めながら地酒を味わえます。
JR大湊(おおみなと)線(野辺地駅~大湊駅:11駅58.4km)
陸奥湾沿いを走るこの路線は、「はまなすベイライン大湊線」と名付けられ、JR東日本では他路線と接続しない唯一の「飛び地路線」です。
海岸線近くの原野を走り、撮影スポットが多く点在する路線です。
JR大湊線のおすすめポイント!
陸奥横浜駅下車の横浜町では5月になると菜の花畑の黄色いじゅうたんが現れ、「菜の花フェスティバル」に多くの観光客が訪れます。
海上自衛隊大湊基地(大湊駅)
津軽海峡の警護を担当しており、護衛艦が在港中はむつ市内各所からその雄姿を見られます。
石造りの史料館「北洋館」は1916年に建てられ、大正・昭和の日本の名建築に選ばれました。

また海上自衛隊といえば、旧海軍からの伝統「金曜カレー」、むつ市内の飲食店では「おおみなと海自カレー」として個性ある各護衛艦のカレーを味わえます。

リゾートあすなろ下北
陸奥湾沿いに1日1往復(繁忙期2往復)が運行され、2+2配列の回転リクライニングシートの上には観光案内用モニターが設置され、運転台後方に前方の景色を楽しむ展望スペースがあります。
JR八戸(はちのへ)線(八戸駅~久慈駅:24駅64.9km)
雄大な太平洋の眺望と、田園風景など、変化に富んだ景観を楽しめる路線です。
八戸駅から鮫(さめ)駅間では、とくに「うみねこレール八戸市内線」という愛称で呼ばれています。
JR八戸線のおすすめポイント!
日曜早朝に陸奥湊駅近くで開かれる朝市は、観て歩くだけでも楽しいですね。
ただし、現在工事中のため2023年11月末まで一時閉鎖されています。
蕪(かぶ)島(鮫駅)
陸続きの島全体がウミネコ繁殖地で、国の天然記念物に指定されています。
最大3万羽のウミネコが飛び回っていて「糞(フン)爆弾」に要注意、訪れる際には傘などを用意していくとよいでしょう。
TOHOKU EMOTION
2013年から主に週末に運行され、ライブキッチンで調理された料理を太平洋を眺めながら味わえます。
個室7室と、2人掛け・4人掛けテーブルのオープンダイニングがあり、八戸11:06発の往路は飲み放題のランチ・コース、久慈14:18発の復路はデザート&ティーを楽しめる人気列車です。

そのほか青森で乗っておきたいローカル線
青森県内には、ほかにも地元の足として愛されてきたローカル線がたくさんあります。
弘南鉄道弘南線(弘前駅~黒石駅:13駅16.8km)
1927年開業の歴史があり「田んぼ鉄道」の愛称で親しまれ、沿線にある柏木農業・尾上総合・黒石・黒石商業の高校生たちの通学路線です。
弘南鉄道大鰐(おおわに)線(大鰐駅~中央弘前駅:14駅13.9km)
「りんご畑鉄道」の愛称で、沿線の弘前・東奥義塾・聖愛の高校生たちや弘前学院大生たちの通学に貢献しています。
なお、弘南鉄道の2路線はつながっておらず、独立した路線です。
JR津軽線(青森駅~三厩駅:18駅55.8km)
車窓に広がる陸奥湾の絶景の先に浮かぶ下北半島の姿が印象的です。
北海道新幹線開業前は「津軽海峡線」として寝台列車などが運行されていました。
終点の三厩(みんまや)駅は1日の乗車客数20数人ですが、東北の駅百選に選定されています。
JR五能(ごのう)線(東能代駅~川部駅:43駅147.2km)
「五」は五所川原駅の頭文字ですが、終点は田舎館(いなかだて)村の川部駅です。
日本海の眺望が素晴らしく、観光列車「リゾートしらかみ」では津軽三味線の生演奏や津軽弁語り部体験などを楽しめます。
まとめ
青森のローカル線はどれも北の旅情が感じられ、とくに日本海沿いの五能線はおすすめですが、実は路線起点が秋田の東能代駅のため、秋田県のローカル線記事で詳しくご紹介しています。
なお、2022年8月の大雨災害により、五能線・津軽線・花輪線は9月9日現在不通となっていて、復旧が待たれています。