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【秋田県男鹿市】一万体以上の地蔵菩薩が壁を覆いつくす「真山の万体仏」
秋田県の男鹿半島周辺に伝わる来訪神「なまはげ」。
現在この伝承の中心地である真山神社(しんざんじんじゃ)では、年に一度「なまはげ紫灯まつり」が開催され、全国各地から観光客が訪れます。しかしその道すがらに、全国的に見ても珍しい奇妙なお堂があるのはあまり知られてないかもしれません。
名前の通り一万を超える仏像が安置されている「真山の万体仏」
「真山の万体仏(しんざんのまんたいぶつ)」は国道101号線から男鹿温泉郷までをつなぐ、通称「なまはげライン」と呼ばれる幹線道路を進み、真山神社への目印である北浦真山地区の「なまはげの塔」を曲がってしばらく進むと左側に見えてきます。
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外観は言ってしまえば「色々な地域でよく見かけるお堂」なので、特に目を引かれるものでもありません。
この日は「なまはげ紫灯まつり」の当日だったので、多くの車が真山神社に向かうためにこの道路を通っていましたが、自分以外にここに止まる車は一台もありませんでした。それほど「普通の見た目」をしています。
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近づいてみても何の変哲もありません。そして日中でも真っ暗な堂内は、まだこの時は何も見えません。
お参りをすることはたまにあってもこういった堂内に「入る」という経験はあまりないので、少し緊張しながら近づいていきます。そして中の様子がだんだんと見えてくると、正直最初の感想は「ゾッとした」というのが近いかもしれません。
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手を合わせ、恐る恐る中に入ると、堂内の四方全面から天井近くまで、木彫りの小さな仏像で埋め尽くされています。
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男鹿市の観光サイトにも掲載されている場所で、決して「近づいてはならない場所」や「怪異が起きる場所」というわけではないのですが、あまりにも異常な光景に一人だったことも合わさり「恐ろしい」という感情が最初に出てきてしまいました。
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入り口にあった案内板の伝承によると
江戸時代中期の1714年に、普明(ふみょう)という僧侶が、不幸な死を遂げた自分の弟子を弔うとともに、幼くして亡くなった多くの子ども達を供養するためにお堂を建て、子どもの霊を救う仏である地蔵菩薩像を彫ったとされ、この地域では現在でも無病息災・大漁・安産などを願って篤く信仰されているそうです。
このことは江戸時代の紀行家 菅江真澄(すがえますみ)の著作『男鹿の春風』の中にも「真山の光飯寺(現在の真山神社)金剛童子堂で普明が刻んだ木端仏(こばぼとけ)」と記載されているようです。
その後、金剛童子堂は明治の神仏分離令で現在地に移り「真山の万体仏」と呼ばれるようになりました。
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約5.4m四方の小さな堂内に、20cmほどの杉の木彫りの地蔵菩薩像がおよそ1万2千~3千体納められています。 これだけ多くの仏像があるお堂はやはり全国でも珍しいもののようです。
なまはげの地だけあって、中には無病息災のお守りといわれるなまはげのケデ(なまはげが身に着けている藁を編んだ羽織もの)から落ちたものと思われる藁をまかれている地蔵菩薩像も。
滅多にみられる光景ではないので、なまはげを巡って観光に訪れる際はちょっと寄り道してみてもいいのではないでしょうか。その際はしっかりと手を合わせ、お参りの気持ちは忘れないようにしましょう!
真山の万体仏<Information>
- 名 称:真山の万体仏
- 住 所:〒010-0685 秋田県男鹿市北浦真山白根坂台121
- 電話番号:ー
- 公式URL:男鹿ナビ – 真山の万体仏